転生したら、周辺環境がクソだったので、人形と共に改革していく 〜せっかく転生したのならゆっくりのんびり生きたい〜

甘夏かん

文字の大きさ
30 / 92

30. 新しい人形

しおりを挟む
「うーん、やっぱりオオカミもいいけどここは狐かな?」
と人形の完成形を想像する。“作成”スキルを使えば確かに人形の完成形を作ることは容易いがそれでは愛着が湧かない。だからこそ、僕は材料までしか出さないようにしているのだ。
そうして僕は作成スキルによって、数種類の色の布と糸、それに綿を作成し、製作を始めた。
「ただいま~ナギエいる~?」
しばらく集中していると、クロエが帰ってきた。
「あれっ?何やってるの?」
と僕の手元を覗き込み、
「…ぬいぐるみ…?」
と言葉をこぼす。
「うん、久しぶりにね。最近面白い事も無いしさ、こうやって暇潰しになることしないと暇すぎて色々とやる気が下がりそうだしね。」
と言いながら僕は手を動かす。ちくちくと尻尾の部分を縫う。
「ふぅん、そうなんだ。じゃあ私ちょっと出かけて来る。」
と言って彼女は出かけていった。そうして4時間後、
「よし…できた…疲れた…」
僕の目の前には9本の尻尾を持った真っ白な狐のぬいぐるみがちょこんと座っていた。
「ふ~できたー!」
と言いグイーっと伸びをする。背骨からバキバキと音がする。大体この音を聞くときはルイトのどこかしらの関節が大変なことになっているからこういった形でこの音を聞くのはなかなかに新鮮だ。
「この子の名前はどうしようかな…狐…確か外国だとフーシエンとか言ってたな…じゃあシエンにしようかな…よし、君のことは“シエン”だ。」
と言うと、シエンと名付けた狐のぬいぐるみの目の部分につけている真っ黒なボタンにはっきりとした光沢があらわれた気がした。
「ん~そろそろ晩御飯の時間か…よし、シズー、ご飯だよ~。」
とシズを呼ぶ。
わしわしと喉元を掻いてやる。
「お前はまだ小さくて可愛いなぁ。いつになったらおっきなドラゴンになるのかねぇ。」
と言うと、
「え?シズならもうこの校舎よりもおっきいよ?」
とシズが言った。
「あれ?シズって喋れたっけ?」
と言うと、
「私とクロエさんの2人で教えましたよ。」
とダイヤが言う
「え?マジで?僕なんかより全然親できてるじゃん…僕のいる意味って…」
と、項垂れていると、
「そ、そんな落ち込まなくても…」
とダイヤがと言い、
「そ、そうだよ、ナギままはいてくれるだけでもいいんだよ。」
とシズも言ってくれる。うぅ…自分の子供に慰められる親って一体…と考えていると
「そうですよ!あなたがいるだけでも救われる人だってきっといますよ!」
と聞きなれない声がする。
ん?と思い後ろを向くと、シエンが宙を浮かんでいた。
「えっと…一応確認だけど、今の声はシエンでいいんだよね?」
と、問うと、
「はい、もちろん私です。ナギエさん。これからもよろしいくお願いします。」
と礼儀正しい口調で自己紹介をした。
「うん、これからよろしく。」
と自己紹介をする。
「ただいま…て…えぇ!?ふ、増えてる…ダイヤみたいなのが増えてる…か、可愛い…」
とクロエが言う…どうやらクロエが帰ってきたようだ。
「クロエ、おk「ちょっと⁉︎何なんですかあなた?」
「わーふわふわだ~」
…どうやら僕らのことは眼中にないらしい。
「…クロエさん、お帰りなさい。そろそろ夕食時ですのでナギエ様とご一緒に夕食を食べに行かれてはどうですか?」
とダイヤが提案してくる。
「そうだね。じゃあナギちゃんいこっか。」
とその提案をのんで僕を誘ってくる。まぁいいけどその前に…
「どこにいくんですかぁ~っ!は、話してください~」
とクロエの腕の中でシエンがもがく。
「あ、後で好きなだけも触ればいいからさ、ちょっと一回置いてってもらってもいいかな?」
と言うと、
「な、ナギエちゃん!?売るの?私のこと売っちゃうの?ねぇ、それはちょっとひどくないですか?いっくら生みの親とはいえそれは許されなくないですか?」
とシエンが叫ぶ。
「はいはい。じゃあ早く行こうか、ほらシエンを離して。ご飯行くよ。」
と言うと、渋々だが、手放して僕と一緒に食堂へ向かう。
「で?今日はどこに行ってたんだい?」
とクロエに今日あったことを聞いた。
・一方その頃ナギエ&クロエの寮室
「はぁ、はぁ、何?今の…」
とシエンは肩で息をしながら先輩であろうオオカミのぬいぐるみに聞いていた。
「彼女はクロエさん。ナギエ様のご友人であり、ルームメイトの方ですよ。」
と説明してくれた。
「ありがとうございます…えと…」
と言葉を詰まらせるシエンに対して
「私はダイヤです。ぜひ、ダイヤとお呼びください。」
と言う
「ご丁寧にありがとうございます。あのついでなんですけど、あの綺麗な龍は?」
「あぁ、シズさんのことですね。彼女は結晶龍のシズです。彼女はそうですね…ナギエさんの娘さんという認識でよろしいかと思います。…それよりも一つお願いをしてもいいでしょうか?」
と言われ少し身を硬くしながら、
「な、何でしょうか?」
と聞くと、
「あなた、“化ける”ことはできますか?」
と聞かれた。化ける…変化するということだろうか。
「…やってみます。」
と言い、私はイメージをする…そして身体中に魔法力を通して目を開ける…すると、
「あれ?目線が少し高い?」
と言い、下を見ると人間の足があった…
「えっと…これはどう言うことでしょうか?」
とダイヤに聞くと、
「完全な“人化”ではありませんが、きちんとできていますよ。」
と言い、私に手鏡を見せてくる。そこには焦茶色の長髪に狐の耳をはやし、9本の尻尾を持った可愛らしい幼女が写っていた。
「えと…これ私ですか?」
「はい、あなたです。」
わ、私って人…というか獣人になれたんだ…えへへ…よぉしこれで私を売ったナギエちゃんを驚かせてやろう!と私は構想を寝るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...