転生したら、周辺環境がクソだったので、人形と共に改革していく 〜せっかく転生したのならゆっくりのんびり生きたい〜

43． 模擬戦⑩

「ふう、終わった終わった。あ…そうだそうだ、シエン、力、返しておくね。」
と言い私はシエンから吸い取った魔法力をシエンに返す。しばらくすると、
「う～ひどいやクロエ…まっさか魔法力を抜かれるとは思わなかったよ…」
とシエンが浮かんでくる。
「ごめんごめん。…は～疲れた…ちょっと休憩…」
と私はその場にひっくり返った。
「やれやれ…仕方ないか、ちょっとだけだけど見張っててあげるか。」
と僕はクロエの横に座り込んだ。



・ナギエside
「追い詰めたぞ、ナギエ！」
とフォーレッタが声高らかに宣言する。と言ってもこれは僕の作戦のうちなんだけどね…ここは路地の中でも袋小路で出口は上かフォーレッタの後ろにしかない。…でも僕はここにフォーレッタ達を誘い込んだのだ。
「唱え、《アイアン・ウェブ》」
と言って僕はこの場に仕掛けていた物質生成魔法を発動させた。《#鉄の蜘蛛の巣_＿アイアン・ウェブ__#》は一定範囲内に鉄製のワイヤーを蜘蛛の巣のように縦横無尽に張り巡らせ、この魔法を発動させた者以外の動きを若干阻害する能力を持つ。つまるところ、フォーレッタたちはも逃げられないのだ。そしてこのワイヤーを使えば機動力を上げることができる今回僕は、殲滅目的でこの魔法を使った。
「水＋風…《アクア・エッジ》！」
と僕は水と風の魔力で構築された刃を右の手刀に纏わせ、ワイヤーを駆使し、某アニメの首狩ウサギの如くフォーレッタたちに襲いかかった。そして数分後…
「はぁ…はぁ…くそ…もう、あと俺だけか…へ、平民のくせして相当強い…なぜだ？平民は胴上げいても貴族には勝てないのが世の真理じゃないのか？」
とフォーレッタは建物の中でつぶやいていた…
1対4。4人は貴族で1人は平民、この世界ではさまざまな血が混ざり合い、強さを他の血に打ち消され、弱い血をもつ平民と誇り高く、神により選ばれし加護をもらい、強いスキルや特殊な血統のみが扱えるような魔法が扱える貴族。どっちがより優れているかなんて3歳児でもわかる様なことだ。しかし、今目の前に起こっていた光景は優秀なはずの貴族4人がたった1人の平民にフルボッコ…フォーレッタの貴族としての誇りやら何やらはボキボキにへし折れていた。しかし、これまで、家庭教師で魔法を教えてくれた先生や魔法学の最高峰エリクドラ学園に入学が決まった時の父の喜び様がフォーレッタの最後のプライドをへし折れるギリギリの所で持ち堪えさせた。
「まだだ…まだ僕にはあの魔法がある…」
と言いフォーレッタはとある魔法を構築し始めた。
そうして今…
「フォーレッタ君、見ーつけた。」
と僕は言った。
「ナギエ…ここでお前を倒す！喰らえ！魂散魔法《ヒューデット・アンサーグ》！」
とフォーレッタは見たことない構築の魔法を打ち出す…フォーレッタの前方15mほどに青白い光が迸り…僕はその光を浴び…とてつもない吐き気に襲われた。
「うぅ…ぉえぇ…」
と呻く…き、気持ち悪い…
「は、《反転》！」
と能力を使おうとしたがスキルが発動できなかった。まずい…と思ったが、
「な…なんで？お前の魂を冥界に送り、一時的に死ぬ魔法だぞ？なんで動けるんだ？」
とフォーレッタも驚いている…フォーレッタの言葉の言葉を借りれば、フォーレッタの目論見は僕の魂を冥界に送り殺して、強制的にリタイヤさせるつもりだったようだ。
そしてふと気づいた。僕の体に異変が起きていることを…髪の色が変わった。緑がかった銀髪から真っ黒に変わった。全くどう言うことかわからない…そうだ！こう言う時こそ神様からもらったスキルを使う時だ！
「スキル発動！《付与術》！ステルシング・シールド！」
と僕の周辺に外から見えなくなり、攻撃を弾く結界を張る。
そして僕はその結界の中で、
「スキル《神族対話》発動！」
とスキルを使い…僕の意識は眩い白い光に溶けていくのであった