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46. 模擬戦の終わりと緊急事態③

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魔法力の暴走。それは装備品や強化魔法などで強化された結果、自分の魔法力の上限をはるかに超えた状態のこと。
簡単に言うと、コップにいっぱいいっぱいまで水を入れた状態でさらに水を入れることに近いだろう。そうしてあふれた魔法力は自分の体を傷つけるだけにとどまらず周りにまで影響を与える。自分のスキル、能力、使える魔法が混ざり合い大破壊を起こし続けた。
「あ、あわわわわわわ…く、クロエちゃん。お、起きて起きて!なんかやばいことになってるよ!」
とシエンはクロエを揺すり起こした。
「ん…?」
とクロエが目を擦りながら体を起こし…
「な、何何?なんの騒ぎ!?」
と慌てていた。ルイトたちのところでは、
「ルイト!大きく跳べ!」
とダイヤが叫ぶ。
「へ?うおぁ!?」
と飛んだ瞬間に足元をレーザーが抉った。
「ナギエの援護射撃か?ふん、こんなもの片手で…」
と片手で受けようとしたノールンディ先生はジュッと言う音と共に突き出した腕が消し飛んだ
「…は?」
とノールンディは訝しんだ。今まで絶対的な防御力を持っていた自分の肉体が一瞬で一部とはいえ消し飛んだのだ。そういう反応があってもおかしくはないだろう。
「なるほど…そういうカラクリですか…」
とダイヤが言った。
「ん?カラクリ?ダイヤ、どうゆうことだ?」
とルイトが聞いてきた。
「おそらくですが、ノールンディ先生、あなたのスキル“勇気の武器”の効果は光属性の耐性を0にする代わりに他のあらゆる耐性と身体能力を向上する。…って言った感じですね?」
とダイヤが言い放つと、
「いい洞察力だ。だが、それがどうした?お前らは光属性は使えない。それに唯一使えたナギエはあのざまだ。お前らじゃ俺には敵わない違うか?」
とノールンディは言ったが、ダイヤは首を振った。
「何を言ってるんですか?私はナギエお嬢さまが作り出した存在。魂では私はナギエお嬢様と繋がっているんですよ?」
とダイヤは言い、続けて
「だからこんなこともできます。」
と言いダイヤは
「光の精霊よ、力をお貸しください…《ホーリー・ウェポンズ》!」
と魔法を発動させた。すると、ダイヤを中心に虚空から神々しい光を纏った銀色に光るナイフが無数にノールンディに向かって飛来していく
「くそっ!」
と毒吐きながらその場から飛び退ろうとしたノールンディだが、地を蹴って後ろに下がろうとして…ジャラッと言う音と共に動きが止まり地に落ちた。右足には黄色に輝く鎖が何重にも巻き付いていた。
「行かせないっすよ!ようやく掴んだチャンスなんで、すみませんけど妨害させていただきます!《バインド》!」
と唱えノールンディの動きを黄色の鎖が縛り上げ、動きをほぼ完全に封じた。
「くそ…くそぉぉぉぉ!」
と身を捩りながら叫ぶが鎖は弛まず、逆に締め上げていき…
ドスッ!ドスドスドス!
とナイフが全身を刺し貫き…ノールンディの体は光と溶けた…
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