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69.お知らせが届いた④

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全員の注文した料理が出揃ったところでステラは話し始めた。
「まず、クーデターの話をする前に、アリア領についてちょっと話をしなければならないわね…」
とステラは話し出した。
「アリア領?アリア領とクーデターにどう言う繋がりがあるんだ?」
とルイトが聞くと、ステラは、
「まずアリア領じゃなくなったの。今はステラ領。私が最高統治者になったの。」
と言った。
「ハァァア?あのおっちゃんが何かやらかしたんか?」
とルイトが叫ぶ。しかしステラは頭を振る。
「いいえ。これは国王のお抱えの聖女、アイラ・ホシガミのスキル、“未来視”による『お告げ』でアリア家に気をつけろと出たから早めに手を打ったのでしょうね。確かに、アリア領から学びに王都まできた人がクーデターに参加すると言う意味合いでもそうだし、アリア領の現当主、シェルフォードは商人の間でも人気の人だからね、確かに今のお父様からしたら脅威でしか無いわね。まあこればっかりは仕方の無いことよ。まあでもお父様に内緒で代理として起用しているからあんまり変わりは無いわ。強いて言うなら名称が変わった程度よ。」
とステラは言いきると、抹茶の入ったお椀を手に取り、中身を飲んだ。
「それで?クーデターはいつ決行だ?」
と僕は単刀直入に聞いた。
「そこまで焦らなくても良いんじゃないのかしら?」
と言うが僕は
「こう言うのはさっさと終わらせるに限るからな。」
「まあそれも一理あるわね。じゃあ話しましょうか。」
と言うと、ステラは崩していた姿勢を治すと、
「今のところ、クーデターを行うのは大体3週間後の予定よ。」
「3週間後…と言うと解放祭の日?」
とナギエは聞く。
「そうね、まあ正確にはその前夜祭の日を狙うの。そして解放祭のグランドフィナーレとしてクーデターを成功させ、お父様の権威を落としてブタ箱にポイする。まあ奇襲してドンが今の所の想定ね。」
「なるほど。」
と僕は呟いて餅を齧る。中に入っている甘いあんこが口の中の苦味をリセットしてくれる。
「これが概要…大体戦力差が2倍以上…特に王専用の護衛騎士の騎士団長は化け物よ。1人で一騎当千の力を持つの。だから、注意をするのは3点。各団の総団長、この作戦が決行前に敵に知られること。そして、お父様。」
「お父さん…てことは国王か…そいつそんなに強いのか?」
とルイトがきいた。
「ええ。国王にしか使えない魔法がいくつかあるのだけど、お父様はそのどれもが使える。だからこそ気をつける必要があるの。」
とステラは言った。と、ここでゴ~ン、ゴ~ンと鐘が鳴った。
「すまない。門限が近づいたみたいだ。そろそろ帰ってもいいか?」
「ええ。長い間付き合ってくれてありがとうね。Xデーは解放祭の前夜祭の時、王宮の桟橋に集合。その後に作戦開始よ。クロエちゃん助けて、解放祭の日に国王が玉座から解放させられるよう。頑張りましょうね。」
と言うとステラは拳を差し出してきた。僕ら3人はその拳に自らの拳を合わせ、
「頑張りましょうね。」
とナギエが言った。それにオーと僕らは答えるのだった。
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