上 下
68 / 92

68. お知らせが届いた③

しおりを挟む
「ああ、実はな、またこの国を未来を視てほしいのだが、頼めるか?」
と言うと、
「任せて。最近“能力”を使う機会はなかなかないし、自分自身は見えないんだからちょうどいい。」
と言い、ケーキを頬張ると席から立ち上がり、
「我、ここに宣言する。我、この者の未来を案じ、未来を知ることを望む、“未来視クロノス・アイ”」
と言う。すると、彼女の目から光が失われ、脱力し、椅子に力なく座り込む。そうして数分後、
「ぅん……」
と言う声とともに彼女の目に光が戻った。
「おかえり。どんな感じじゃったか?」
と聞くと、
「うん、結構まずいと思う。」
「と言うと?」
「えっとね、まず、あなたは今年中に王座から降ろされると思う。」
「それはわしが病気とかで…ってことかの?」
「うんん。未来視ではよくわからなかった。けど多分反乱だと思う。」
「そうか。ちなみに中心人物はわかるか?」
「ごめんなさい。そこまではわからないの。でもこれだけは教えてくれたの。」
「教えてくれたって、あの時空神がか?」
「ええ。“アリアには気をつけろ”だって。」
「わかった。ありがとう。」
と言うとわしは席を立った。すると、アイラは
「え、もう返っちゃうの?」
と聞いてきた。
「すまんな、これから仕事なんじゃよ。また来る。それまで待っていてくれんか?」
「うん、待ってる。」
「すまんな。今度は何が食べたい?」
「う~ん、お肉が食べたいな♪」
「わかった。じゃあの。」
と言いわしは聖女の塔を後にした。その後、足早に神殿長のいる部屋に戻り、神殿長と話していた宰相と御者に対して
「帰るぞ!さっさと用意せい!」
と言うと足早に馬車に向かった。
(まずい、まずいぞ…よりにもよってアリアがか…どうにかしてアリアを引きずり落とさなければ…)
とわしは不安になった。
その後わしはさまざまなデータを読み漁り、数日後、税を納める量が他領より大分少ないことを発見しそこを突き、アリア家を領主の座から下ろし、代わりにステラに収めさせることにした。
(真面目なステラのことだ。きっとうまく納めることができるだろう。)
この時、ギャプリエルは知らなかった。この判断がのちに大変なことにあると言うことを…
しおりを挟む

処理中です...