転生したら、周辺環境がクソだったので、人形と共に改革していく 〜せっかく転生したのならゆっくりのんびり生きたい〜

71． 嵐の前の楽しさ①

4人の待ち合わせ場所に行くとそこにはもうナギエがいた。
「よっ、もう準備はいいのか？」
と聞くと、
「うん。大事なものは全部しまっておいた。」
とナギエが言う。
「そうか。」
とだけ返すと、それ以上の会話がなくなった。無言で立っていると、僕らの横を他の生徒たちが通り過ぎてゆく。3分ぐらい待っただろうかようやくルイトとルプスがやってきた。
「すまん、遅れた！」
とルイトとルプスが走りながら言い、僕らの前で止まった。
「じゃあ、行きますか。」
と僕が仕切ると、
『オォー！』
と3人が腕を真上に上げた。その後は、“ゲート”を使って祭の中心街に出て、そこから徒歩でステラとの待ち合わせである王城の桟橋を目指す…のだが…
「あれ？ルプスは？」
と僕は少し進んだあたりでルプスがいないことに気がつく。
「あれ？ルイトくんは？」
とナギエも言った。どうやらあの2人がどこかに行ったようだ。辺りを見回して、2人を探していると、
「ごめんごめん。急に消えたりして。」
と言ってルイトがなんか色々持って帰ってきた。
「なんだルイト。考えることは同じだな。」
とルプスも帰ってきた…ルイトと同じようになんか色々持っているが…
「ちょっと、2人とも！これからめっちゃ大事なことするのに何やってるの！」
とナギエが叱責するが、ルイトもルプスも悪びれる様子もなく、
「「まあいいだろ？腹が減ってはなんとやら（うんたらかんたら）だって。」」
と同時に言った。
「なんでそこがハモるのよ…」
とナギエが呆れながらも、ルイトの持っていたリンゴ飴を一個奪うと、一口齧り、
「歩きながら食べれるものにして、食べ過ぎないのよ。」
とだけ言った。
「じゃあルプス、俺もこれもらうな。」
と言って僕はルプスが持っていた笹の包みを一つ取ると開いた。
中身は、箸まきという小麦粉を水で解いて、野菜を細くしたものを入れ焼いた後、箸にぐるぐる巻きにした後に甘辛いソースをかけた物が入っていた。箸をもつとガブりとかぶりついた。
「ん～、おいひい。」
適温で美味しい。それに懐かしさを感じる味だ。小学生のころ、夏休みに広島の祖父母の家に行った時にやっていたお祭りでよく買ってもらってたっけ…なんて、柄にもなく郷愁に浸っていると、
「それ美味しそうね。私も買ってこようかしら？」
と横から声がしてそちらを向くと、
「こんばんわ。お久しぶりね。ミナト、ナギエ、ルイト。…でそっちがこの前連絡で教えてくれたルプス？」
…ステラがいた。びっくりして前方への注意を疎かにした僕は前から来た人とぶつかった。
「っ、あ、すみません。」
とすぐに謝ったのだが…
「あぁん？このクソガキ、今の行動がこの俺が“剛力のカルタス”様だと知っての行動か？あぁん？」
と絡んできた。その男は確かに筋肉モリモリマッチョマンだったが…なんというか…前世の記憶があるせいかどうしても小物感が出てくる。
「この方は冒険者の中でも、エリート中のエリート！C級ライセンスの方ですよ？これはただ口頭だけの社じゃ意図は行きませんよぉお坊ちゃん、ここは大人な謝罪の方法ですぜｸﾞﾍﾍ。」
と近くにいたひょろっとしたおっちゃんが言ってくる。
「なんだ。C級か。」
とつい言ってしまう。だってしょうがないじゃん。僕らは今日の日のために訓練と称してギルドの依頼を受けまくったため、僕らは特A級ライセンスというものをもらった。このカードはカードをもらったギルド内ではそのランク帯…つまりA級冒険者として扱ってもらえるのだ。これは結構異例なことで僕らのことは冒険者ギルド内でも結構有名なんだよなぁ。
なんて思っていると、目の前の…なんだっけ名前…がプルプルと震え出した。
「もう起こったぞクソガキ…いや、ゴミガキだな。目上の人に対する態度ってやつを教えてやるよ。」
というと周りの腰巾着どもが叫んだ。
「さあてここで始まりました。冒険者のタイマン！ルールは簡単、先に相手を行動不能にした方の勝ち。ルールは無用！最終的に買ったやつが勝者だ！」
「さぁ貼った貼った！C級冒険者と学生さんのタイマン！どっちが勝つか、ベットしてくれよ！」
するといつの間にか周りの人たちが一斉に離れ、大きな円ができた。
ナギエたちはあちゃ～と言った風に額に手を当て、近くにいたステラには、
「あなたの実力、見させてもらうわよ。」
と言ってナギエたちの元に戻った。
「一瞬で片してやる。死なないといいなぁ。」
とその男はニタっと笑った。