転生したら、周辺環境がクソだったので、人形と共に改革していく 〜せっかく転生したのならゆっくりのんびり生きたい〜

76． クーデター④

ものすごい速さで飛んでいった矢は吸い込まれるように件の兵士の頭にあたろうとしていたが、寸前で丸い魔法陣のようなものが現れ矢と衝突した。
「チッ、魔道具か。」
とルプスは舌打ちをする。直後、僕はステラを抱え後ろに飛んだ。その数秒後、僕とステラのいた場所を数十の火炎弾が焼いた。ルプスは咄嗟に守りの魔法で難を逃れていた。
「ありがとう。察知能力が高いわね。」
とステラは感心しているが、ルプスは、
「おい、ミナト！くるってわかってんなら教えろや！」
と怒っていた。
「まぁ生きてるから良いじゃん。」
と言うと僕は魔法の詠唱を始めた。詠唱と言っても呪文を唱えるわけじゃない。この世界の魔法は術者本人のイメージによって威力や効力が大きく変わる。今回僕が使おうとしている魔法は、大規模な爆発魔法だ。
（死人が出ないように爆発の威力を弱めて、かわりに音と衝撃を強くする…イメージは…花火）
「いくよ…“ギガントエクスプロージョン”！」
と唱えると、とんでもない爆音とともに爆発がローブを纏った人たちを叩き、ローブの人たちが宙をまった。…もちろん例の兵士も一緒だ。突拍子もなく打ったのだから、敵も味方も全員その場でフリーズしていた。
「ナイスよ。さぁ、みんな！やってしまいなさい。」
とステラが指示を飛ばすと戦いが再開したが、敵兵に最初のような勢いはなく、消耗こそそこそこしたが、まだ全然人数は残っていた。

・sideナギエ＆ルイト
「それで？あの量の兵士どうやってやっつけるの？」
と私…ナギエはルイトに聞くと、
「え？正面突破じゃないの？」
と何の考えもないルイトの頭を私は一発シバき、
「バッカじゃない？そんなことしたらあっという間に捕まっちゃうでしょ！」
「大丈夫だってそこは俺の実力と、このディライト・トゥ・ファンタジアでサクサクっと…」
と調子のいいことを言っていたので、私はその発言を無視しながら逡巡する。
「私の魔法で敵の兵士を全員眠らせるか…いや、耐性があったら…」
とぐるぐる考えていると、
「いたぞ！あそこだ！」
と言う声と共に数人の兵士が現れた。
「ゲェ、ど、どうすんだ？ナギエ？」
とルイトがこっちに聞いてきた。
「ああ、もう。」
と私はそれまでの考えを全て放棄すると、私はいくつかの魔法を並列で発動待機状態で展開すると、
「迎え撃つよ！作戦はその後！」
と言うと、ルイトは待ってましたとばかりに双剣を鞘から抜くと、
「よっしゃ！行くぞ！」
と突っ込んでいった。