自分を「悪役令嬢」だと言い出して特待生をいじめ始めた婚約者を持つ王太子のぼやき

雀40

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 邪悪が世界を侵す時、光の神子が現れる――――。

 太陽の化身である神は、世界を滅ぼす邪悪に対抗するために光の神子を遣わされる。
 邪悪が持つ強大な力と深い闇はどんな力も受け付けない。ただひとつ、光の神子の強い想いだけが闇を祓うのだ。
 
 そして、邪悪とは多種多様である。

 あるときは、永い生を持て余した竜が魔に蝕まれ邪竜となった。
 あるときは、深く強く絶望した只人が魔王となった。
 またあるときは、異界の侵略者だったこともある……らしい。

 各国は、神の慈悲たるこの言い伝えを守り受け継ぎ、邪悪へ備えることを忘れなかった。
 もちろん、我が国もそのうちのひとつである。つまり、王太子たる私――アデルラートも、その守り手のひとりだ。

 もし、我が国に光の神子が遣わされたのであれば、全身全霊を持って神子を支えようと思うのだ。
 邪悪へ挑むという過酷な運命を課せられた神子が、人間の権力争いなどというくらだぬ事象で潰されぬためにも。

『――――ええ、お任せください。なにせ、わたくしは悪役令嬢アクヤクレイジョウですから!』

 とはいえ、婚約者のシャルベリーンが妙なことを言い出してからというものの、私のそんな決意は実に空疎なものだったと実感している。
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