3 / 6
03 選択の余地はない
しおりを挟む
「――やあモーリア嬢、帝国食文化の新版が入っていたけど、読んだ?」
「アルサング先輩、ごきげんよう。そちらは未確認です。今年と昨年のワイン評論を見比べていまして……」
「ああ、公国ワイン暴落のアレ?」
「はい……。急激に評価を落としていて何故かと……天候不順があったわけでもありませんし」
「あれね、あそこの大公妃が帝国の下位貴族層に喧嘩売っちゃったんだよ。単純な質の評価ではなく政治案件」
「えぇー……。そういうことなら、あふれた分が平民層にまわる可能性もありますね」
「たぶん、帝都やその周辺ではなく、地方やうちみたいな属国を狙ってくるんじゃないかな」
「しばらくは相場の注視が必要でしょうか。これって、私の実家に連絡しても良い内容ですか?」
「大丈夫だよ。君の家は隣と仲がいいから、そちらから話が行ってる可能性もあるし――」
新聞や噂話をかき集め、ゲームのシナリオに関する事案を探ること、はや数ヶ月。
アルサングとは図書館以外でも話をすることが増え、外交官を目指す彼から黒幕が住まう帝国の情報を得ることにも成功。
しかし、ゲームシナリオに通ずる情報は、特に見つかることはなかった。
焦りだけが募り時間は進み、ゲームの通りであれば学園に黒幕の手が伸びてきてもおかしくない時期になっていた。
「……シナリオではもう、希望の象徴である『星』のヒロインや『太陽』の王太子殿下が狙われている時期だけど……この学園に居ない以上、何もわからないし……」
学園の昼休み、あまり人気がない大きな池にせり出した四阿で、モーリアはぶつぶつと思索にふけっていた。
冬の乾いた風が通り抜け、ウールの外套ごと自分の身体を抱きしめる。最近はひとりになりたくて、冬場はほとんど誰も来ないここでぼんやりと考え事をするのが常だった。
「帝都の呪い騒ぎも起きていなさそうだし……これはもう本格的に何も起きないってことかも――」
「やあ、モーリア嬢。その話は興味深いね。詳しく聞かせてほしいな」
ここのところ聞き慣れてきた声が、モーリアの耳に届く。
声の持ち主と言葉を理解した瞬時にモーリアの血の気が引き、視界が一瞬だけふらりと揺れる。
冬の池は、本当に人気がなかった。そのため、モーリアは完全に油断をしていた。
四阿内のベンチに座り行儀悪く天井を仰いでいたため、周囲に気を配っていなかったのだ。
一箇所しかない四阿の入口で、柱に体重を預けたアルサングが楽しそうに眼を細めていた。
(……………………まずい、けど……)
崩れていた姿勢を正し、青ざめた顔色のまま咄嗟につくろった笑顔で、モーリアはアルサングを見上げる。
ゲームという前提条件がなければ、いま呟いていたのは若干不謹慎なだけの与太話だ。まだなんとか誤魔化せる段階だと、モーリアは脳内で言い訳を組み立てていく。
「…………ええと、申し訳ございません。先ほどのは最近見た夢の話でして……」
「夢、ねぇ? 我が国の第一王子が『太陽』だというのは、非公開情報のはずなんだけど」
「んぐ」
逃げ場を即座に塞がれて、組み上げた言い訳を崩されたモーリアは続く言葉を飲み込んだ。
すうっと背中が冷え、外套の内外がモーリアの体温を奪っていく。
ゲームのアルサングは、国のために生きることを自身の存在理由にしていた。
母親に捨てられ、義家族とは距離を置かれ、秘密裏に時折会う父親だけが彼のすべてだったからだ。たとえ、決して父と呼べなくとも。
ゆるめで凪いだ表面上の態度から想像できないほどに、その精神は脆く余裕が無い。それが「盤上のアルカナ」で設定されたアルサングというキャラクターだ。
そしてその脆さゆえ、アルサングには闇落ちルートが存在する。シナリオ進度によって好感度の調整が必要な、少々厄介なキャラクターだった。
その脆く繊細な心を支えるのが、アルサングルートにおけるヒロインなのだが……いま、モーリアの眼の前に立つ彼はどうだろうか。
モーリアはいままで何度も彼と会ってきたが、不安定さを感じることは一度もなかった。もちろん、平和だったために均衡を崩す事態がなかっただけかもしれないが。
「もしかして、君には帝都やこの学園で何かが起きるという確信があった?」
「えっ……」
「たとえば、帝都の神殿に魔の……いや、はっきり言うのは不敬だからやめておこうか」
「…………あ……その、ええと……」
つい先程まで考えていたことを的確に補足され、モーリアの頭の中は真っ白になってしまった。
何故ならそれについて、声に出していないはずなのだ。
ゲームの黒幕である「魔の者」は、帝都の神殿に住まう皇弟の精神を汚染し、そこを足がかりにして大陸中に戦乱の種を蒔いていく。モーリアが気にしている「帝都の呪い騒ぎ」もその一手である。
魔の者は、この世界の外からきた神に近い上位存在で、生物が生み出す負の感情を好むのだ。
しかし、高潔な魂を持つ皇弟は、十数年もの間無意識下で汚染に抵抗し続けた。その猶予の間に魔の者の干渉を世界が察知し、生み出されたのが金等級の奇跡持ちの面々……という設定がある。
「たまにだけど、君は各国の新聞を読んでいるとき、鬼気迫るほどの焦りと圧を出してるんだよね。自分で気づいていたかな?」
「い、いいえ。そのようなことは……ないかと……」
「あとね、君が僕を見る時、たまに義家族と同じような視線があるんだ。まぁ、主に憐れみ……といったところかな。それは、何故?」
「………………」
「君は、何を知って、何を探っている?」
――言うべきか、言わざるべきか。
本来であれば知るはずのないことを知っている……と確信を持たれている。おそらくは、魔の者に繋がりがあると疑われているのだろう。
冗談じゃない、とモーリアの体は冷えていくが心は燃える。モーリアが望むのは平和であって、戦乱などではない。
しかし、最大の問題は、仮に正直に説明したところで欠片も信憑性がないことだ。
だとしても、このまま夢の話だと強弁したところで、モーリアに不利な疑惑が募るだけである。
本心を隠しきれなかったモーリアが悪いのか、気付いたアルサングが鋭いのか。
数ヶ月に渡る観察が疑いの根幹になっているため、これ以上の半端な言い訳は逆効果だ。
自分の行く先も恐ろしいが、家や領地に害が及ぶことも恐ろしい。
さらに言うのなら、眼の前のアルサングが既に闇落ちしている可能性も考えられる。その場合だと、もう何を言っても手遅れだろう。
「……そうそう。ここで全部僕に話すか、取調室で全部話すか。いまなら選べるけど、どうする?」
「いま、ここで、お話しますっ!」
モーリアは、選択の損益を考える余裕もなく叫んでしまった。
「アルサング先輩、ごきげんよう。そちらは未確認です。今年と昨年のワイン評論を見比べていまして……」
「ああ、公国ワイン暴落のアレ?」
「はい……。急激に評価を落としていて何故かと……天候不順があったわけでもありませんし」
「あれね、あそこの大公妃が帝国の下位貴族層に喧嘩売っちゃったんだよ。単純な質の評価ではなく政治案件」
「えぇー……。そういうことなら、あふれた分が平民層にまわる可能性もありますね」
「たぶん、帝都やその周辺ではなく、地方やうちみたいな属国を狙ってくるんじゃないかな」
「しばらくは相場の注視が必要でしょうか。これって、私の実家に連絡しても良い内容ですか?」
「大丈夫だよ。君の家は隣と仲がいいから、そちらから話が行ってる可能性もあるし――」
新聞や噂話をかき集め、ゲームのシナリオに関する事案を探ること、はや数ヶ月。
アルサングとは図書館以外でも話をすることが増え、外交官を目指す彼から黒幕が住まう帝国の情報を得ることにも成功。
しかし、ゲームシナリオに通ずる情報は、特に見つかることはなかった。
焦りだけが募り時間は進み、ゲームの通りであれば学園に黒幕の手が伸びてきてもおかしくない時期になっていた。
「……シナリオではもう、希望の象徴である『星』のヒロインや『太陽』の王太子殿下が狙われている時期だけど……この学園に居ない以上、何もわからないし……」
学園の昼休み、あまり人気がない大きな池にせり出した四阿で、モーリアはぶつぶつと思索にふけっていた。
冬の乾いた風が通り抜け、ウールの外套ごと自分の身体を抱きしめる。最近はひとりになりたくて、冬場はほとんど誰も来ないここでぼんやりと考え事をするのが常だった。
「帝都の呪い騒ぎも起きていなさそうだし……これはもう本格的に何も起きないってことかも――」
「やあ、モーリア嬢。その話は興味深いね。詳しく聞かせてほしいな」
ここのところ聞き慣れてきた声が、モーリアの耳に届く。
声の持ち主と言葉を理解した瞬時にモーリアの血の気が引き、視界が一瞬だけふらりと揺れる。
冬の池は、本当に人気がなかった。そのため、モーリアは完全に油断をしていた。
四阿内のベンチに座り行儀悪く天井を仰いでいたため、周囲に気を配っていなかったのだ。
一箇所しかない四阿の入口で、柱に体重を預けたアルサングが楽しそうに眼を細めていた。
(……………………まずい、けど……)
崩れていた姿勢を正し、青ざめた顔色のまま咄嗟につくろった笑顔で、モーリアはアルサングを見上げる。
ゲームという前提条件がなければ、いま呟いていたのは若干不謹慎なだけの与太話だ。まだなんとか誤魔化せる段階だと、モーリアは脳内で言い訳を組み立てていく。
「…………ええと、申し訳ございません。先ほどのは最近見た夢の話でして……」
「夢、ねぇ? 我が国の第一王子が『太陽』だというのは、非公開情報のはずなんだけど」
「んぐ」
逃げ場を即座に塞がれて、組み上げた言い訳を崩されたモーリアは続く言葉を飲み込んだ。
すうっと背中が冷え、外套の内外がモーリアの体温を奪っていく。
ゲームのアルサングは、国のために生きることを自身の存在理由にしていた。
母親に捨てられ、義家族とは距離を置かれ、秘密裏に時折会う父親だけが彼のすべてだったからだ。たとえ、決して父と呼べなくとも。
ゆるめで凪いだ表面上の態度から想像できないほどに、その精神は脆く余裕が無い。それが「盤上のアルカナ」で設定されたアルサングというキャラクターだ。
そしてその脆さゆえ、アルサングには闇落ちルートが存在する。シナリオ進度によって好感度の調整が必要な、少々厄介なキャラクターだった。
その脆く繊細な心を支えるのが、アルサングルートにおけるヒロインなのだが……いま、モーリアの眼の前に立つ彼はどうだろうか。
モーリアはいままで何度も彼と会ってきたが、不安定さを感じることは一度もなかった。もちろん、平和だったために均衡を崩す事態がなかっただけかもしれないが。
「もしかして、君には帝都やこの学園で何かが起きるという確信があった?」
「えっ……」
「たとえば、帝都の神殿に魔の……いや、はっきり言うのは不敬だからやめておこうか」
「…………あ……その、ええと……」
つい先程まで考えていたことを的確に補足され、モーリアの頭の中は真っ白になってしまった。
何故ならそれについて、声に出していないはずなのだ。
ゲームの黒幕である「魔の者」は、帝都の神殿に住まう皇弟の精神を汚染し、そこを足がかりにして大陸中に戦乱の種を蒔いていく。モーリアが気にしている「帝都の呪い騒ぎ」もその一手である。
魔の者は、この世界の外からきた神に近い上位存在で、生物が生み出す負の感情を好むのだ。
しかし、高潔な魂を持つ皇弟は、十数年もの間無意識下で汚染に抵抗し続けた。その猶予の間に魔の者の干渉を世界が察知し、生み出されたのが金等級の奇跡持ちの面々……という設定がある。
「たまにだけど、君は各国の新聞を読んでいるとき、鬼気迫るほどの焦りと圧を出してるんだよね。自分で気づいていたかな?」
「い、いいえ。そのようなことは……ないかと……」
「あとね、君が僕を見る時、たまに義家族と同じような視線があるんだ。まぁ、主に憐れみ……といったところかな。それは、何故?」
「………………」
「君は、何を知って、何を探っている?」
――言うべきか、言わざるべきか。
本来であれば知るはずのないことを知っている……と確信を持たれている。おそらくは、魔の者に繋がりがあると疑われているのだろう。
冗談じゃない、とモーリアの体は冷えていくが心は燃える。モーリアが望むのは平和であって、戦乱などではない。
しかし、最大の問題は、仮に正直に説明したところで欠片も信憑性がないことだ。
だとしても、このまま夢の話だと強弁したところで、モーリアに不利な疑惑が募るだけである。
本心を隠しきれなかったモーリアが悪いのか、気付いたアルサングが鋭いのか。
数ヶ月に渡る観察が疑いの根幹になっているため、これ以上の半端な言い訳は逆効果だ。
自分の行く先も恐ろしいが、家や領地に害が及ぶことも恐ろしい。
さらに言うのなら、眼の前のアルサングが既に闇落ちしている可能性も考えられる。その場合だと、もう何を言っても手遅れだろう。
「……そうそう。ここで全部僕に話すか、取調室で全部話すか。いまなら選べるけど、どうする?」
「いま、ここで、お話しますっ!」
モーリアは、選択の損益を考える余裕もなく叫んでしまった。
1
あなたにおすすめの小説
推しであるヤンデレ当て馬令息さまを救うつもりで執事と相談していますが、なぜか私が幸せになっています。
石河 翠
恋愛
伯爵令嬢ミランダは、前世日本人だった転生者。彼女は階段から落ちたことで、自分がかつてドはまりしていたWeb小説の世界に転生したことに気がついた。
そこで彼女は、前世の推しである侯爵令息エドワードの幸せのために動くことを決意する。好きな相手に振られ、ヤンデレ闇落ちする姿を見たくなかったのだ。
そんなミランダを支えるのは、スパダリな執事グウィン。暴走しがちなミランダを制御しながら行動してくれる頼れるイケメンだ。
ある日ミランダは推しが本命を射止めたことを知る。推しが幸せになれたのなら、自分の将来はどうなってもいいと言わんばかりの態度のミランダはグウィンに問い詰められ……。
いつも全力、一生懸命なヒロインと、密かに彼女を囲い込むヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:31360863)をお借りしております。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる