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■第1楽章:融合した世界
EPISODE 1:融合した新世界で
しおりを挟む世界は“本来の形”を失い、世界は“融合”して“新たな形”へと変わった。
それは、本当に“突然”だった。
“全てをリアルに”。
VRゲームから何十年経った時に、1つの大きな発見と発明が行われた。
それは“並行世界開通”という“異世界”の存在と、“異世界”への渡航が可能となる大きな出来事だ。それにより、沢山の人々は娯楽として楽しんでいた。
人によってそれは“リアル”な世界で、それこそ別の人生を歩み続けようとする人もいる。
“LIVE配信”する事で投げ銭による金稼ぎも出来るため、“配信者”として活動する者も多いぐらい“LIVE配信”が主な世界となっている。
それ以外にも、ダンジョン攻略や大陸の開拓も金稼ぎとしても行える。
それが“全てがリアル”というのが、このゲームのテーマであり売り“だった”。
そう、“5年前”までは。
“5年前”、とある大きな事件と共に2つの世界は“混ざってしまった”からだ。
今までの見知った世界は、ガラッと大きく変化し力を持たない人々は“魔物に狩られる”という恐怖の中、力無き人々は隠れながらも生きて暮らすしか無かった。
だが、半年後にはランク上位の一部プレイヤーが作った“ルール”が設けられた城壁要塞の都市で暮らす事になった。
それは、“護られる代わりに不自由となる”という事である。カードに刻まれた羽根の色によって立場が変わる“市民権の証”で、それは身分の格差を与えられた。
そんな事態の中で、“市民権の証”を持たず未開拓の地を購入して領土を手にした者がいる。
「よしよし、土地の状態的には文句はないね、うんうん」
「此処なら、のびのびと楽しく暮らせるってもんだよね。まぁ、“元北海道”だけども……“融合世界”になってからは一つの大陸で“四季”が楽しめるような大陸になったけど」
此処は“本来は北海道”があった場所だが、融合した世界に変化してからは未開拓の“四季のある大陸”として変わってしまった場所である。
シャチに似た巨大な水棲魔物を片手で持って歩いていた薄めのピンクで一部分だけ赤色が入ったロングウルフカットで尻尾部分を三つ編みにしており、前髪か長いが偶に見えているパッチリ目をした青緑色の瞳色で瞳孔が山羊のような瞳孔をしているエルフの少女が立っていた。
彼女の名は“トネリコ”。
最上位ランクのトッププレイヤーでもあり、“市民権の証”を持たずに未開拓を“たった1人”で到達してきた変わり者である。
「さて、まずは此処らへん辺りを綺麗な平地にしないとねー……5年前まであった建物の廃墟とかあるし片付けないと拠点とか畑とか施設が建てられない」
トネリコは右手を前に出しては、大きな機械のツルハシを出して地面へと振り下ろし地面に突き刺すと一定の広範囲を“一瞬で”更地へと変えてみせる。
「さて、どんな拠点にしようかなー」
小さな端末を懐から取り出しては、“建築カタログ”のリストを眺めては直ぐに閉じて端末を懐に仕舞う。
「……なんか、古い“カタログ”しかないわー……買うの忘れた。今どきのやつ、どんなのがあったっけぇ?都市に行って、カタログのデータ買ってくるしかないかなぁ~」
(そういえば、今日は“推しクランのLIVE配信”だっけ?一応、見ておこうかなー)
トネリコは端末を再び出しては、“LIVE配信中”のリストから“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”の“LIVE配信”をつける。
“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”は、どうやら“下級クエスト”中の初心者の集まりでもあるクランの手伝いをしているみたいだ。
「相変わらず、お人好しな人達だなぁ……。まぁそれが、凄く魅力的な所の一つってもんだよね~……投げ銭投げ銭~」
トネリコは“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”に、投げ銭“100万”も投げ入れると“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”達は驚いた声を上げていた。
「あ、間違えて“100万”投げちゃったわ……まぁ、うん……出来心ってもんだ、うん」
“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”達が驚いたのは金額もそうだが、投げ銭をしたのが最上位ランクのプレイヤーでもある“トネリコ”の名前まで載っていた事に驚いていたのだが、それについてトネリコは知らない。
まさか、推していたクラン“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”に逆に推されていたってのは本人は露知らず。
「さて、都市に行こうかなー……??」
トネリコは“LIVE”を眺めていたが、何かの異変に気付いて“LIVE”画面を目を細めて見つめていたが直ぐに左腕にある腕輪に触れると此処を登録してから、“LIVE中継地”でもある“Fファーストダンジョン”謂わば“チュートリアルダンジョン”へと転移する。
トネリコが異変に気付いて転移してくる少し前の時、“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”達は違和感に気付いて拓けた場所で立ち止まる。
「……なぁ、コレって偶然ですかね?それとも、何か別の事が起きていたりしないですかね?ヴェイさんっ」
金色の髪色で少し長めのショートで、朱色の瞳色をした切れ長なツリ目をしている片方が折れた2本の竜の角を生やした男性は考えるそぶりをしながらも、目の前に現れた“風竜リンドヴルム”を睨み構えている。
「どーだろうなー、それにしても護りながらなんてオレらには無理だぞ!?クロムさん!?相手は、リンドヴルムだってのにっ!」
黒色の髪色でセミロングを軽く束ねていて前髪が長めにしており、暗めの紫色の瞳色をした少しタレ目のツリ目をしている男性は自分の後ろに居させている初心者三人をチラッと見る。
クロムとヴェイグが突然として現れた“風竜リンドヴルム”に対して、予測不能な出来事なのは理解している。
なにせ、こんな“初心者ダンジョン”に高レベルのレイドボスでもある“風竜リンドヴルム”なんて出ないからだ。
「オズワルドなら、簡単に倒せるだろうけど……彼は別のダンジョン攻略中だし……僕らでは、護りながら戦うってのは難儀だって!」
「た、確かに、オズちゃんなら簡単だろうけどっ!!オレら、だからな!?今、居るのはっ!!」
クロムとヴェイグが考えを回している時、“風竜リンドヴルム”が咆哮を放ち飛び上がり風の魔法を放とうとしていた。
「ヴェイさん!!」
「お、おうっ!!任せろっ!」
ヴェイグが魔術の結界を全員を囲むように展開させると同時に、“風竜リンドヴルム”は暴風の渦をヴェイグ達へと放つ。
「長くは、もたねぇーぞっ、これぇ!!」
「万事休す、かっ……!」
ヴェイグとクロムの二人が初心者の冒険者三人を庇うように立つと同時に、周りがノイズ入ると同時に電子パネルが現れ“Warning”と書かさる。
「え?」
「わ、わーにんぐ??」
『ホーリランス』
無数の光の槍が上空に顕現し“風竜リンドヴルム”へと放たれ、“風竜リンドヴルム”を串刺しにして倒すと無数の光の粒子となり消え去る。
「よく、頑張ったねー二人とも?護りながらなんて、そうそう出来る事じゃないよ」
「あ……」
「リコちゃん!!?」
「やぁー?久方ぶり、だね!ヴェイグさん、クロムさん」
トネリコはヴェイグとクロムの前に降り立つと軽く首を傾げてから、周りが危険じゃないかを周りをキョロキョロと見渡して確認してから笑みを浮かべる。
「どうやら、もう大丈夫みたいだね~」
「どうして、トネリコさんが?」
「LIVE配信見ていたら、リンドヴルムの影が見えたから心配で転移してきた~」
「でも、凄く助かったぜ!流石、リコちゃんだわ~」
「まぁ、リンドヴルムぐらいは簡単にチョチョイのチョイだよ!それより、街に戻って初心者さん達を安心させてきなよ」
「あ、はい!」
クロムがヴェイグの方を見てから初心者の冒険者三人を街へと誘導しに歩いていくと、トネリコは端末を懐から取り出して見ては時間をしっかりと確認する。
「さて、アタシも街に戻ろうかなーカタログ買いたいし」
トネリコは背伸びをしてから端末を懐に仕舞い、転移で街へと戻ると何やら騒ぎ声が聞こえてくる。
その騒ぎ声は、トラブルを起こしたクロム達への罵声でもあった。
(この街では、“市民権”を持っているモノが“ルール”を護れなかったりすると剥奪されるのが当たり前)
(まぁ、一部の上位者の勝手に作った“ルール”だけども)
“融合した世界”では、これが当たり前となっている。
特に“力を持たない者”にとって、安息の地があるならば“上位者のルール”に従う事で生きていけるからだ。
例え“不自由な世界”になっていようとも、生きることを決めた者にとっては此処は安全地帯だからだ。ちょっとでも外に出れば、そこは“命を奪われる世界”へと踏み込んでしまう。
だから、少しでも自分達に危険を感じるような事があれば罵声を浴びさせて街から追い出そうとする。
(ほ~ら、面倒くさい“世界統一政府機関”がやってきた)
金色の髪色をした背中ぐらいロングポニーテールで、黄緑色の瞳色をした切れ長なツリ目をしているエルフの男性が数人の武装騎士達を連れて歩いてくると、クロムとヴェイグの前に立つと二人を睨んでいる。
「さっきのLIVE配信に映っていた二人だな、貴様らは」
「そうですが……、何か用でしょうか?“第七機関議長ジェイド”さん」
「“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”のリーダー、クロムだな?私が此処へと来た理由だと?検討などついているだろう?」
「……」
“世界統一政府機関”には、7つの機関と7つの機関を束ねている最高機関が存在している。
それぞれの機関には、それぞれの役割が振り分けられている。
“第七機関”というのは、“治安維持”を任されている機関だ。だからこそ、此処へとやってきたのだろう。
「盤上一致で今日から“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”は、この地の市民権を剥奪し追放とする!」
「っ!?」
「何を驚く?市民を危険に晒したのだから、当たり前の処置だろう?さぁ、市民権カードを出してから出ていけ!なに、今日中に買い出しなどをして準備を終えてから出ていくといい……最上位ランクの貴様達ならば生きていけるだろう?」
「…………わかりました」
「クロムさん!?」
「ヴェイさん、これは仕方ないですよ……ヴェイさんは、他の3人に連絡を頼みます……俺は、色々と手続きがあるんで」
クロムが少し辛そうな表情をして自分達の拠点でもある建物がある方へと歩いていくと、ヴェイグは悔しそうな表情をしてクロムの背中を見つめていた。
(こうやって、理不尽な事で追い出されるってのは日常的にある“よくある事の一つ”でもあるんだよね~)
トネリコは静かにクロムの後をついていきながらも、色々と何かを考えていた。
彼ら“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”は、昔から自分が推しているグループでもある。どうにか、彼ら“憩の工房(IKOIworks(いこいわーくす))”を護れる方法を考えていたのだ。
(そうだ!アタシの土地へと呼んで、其処に拠点を構えてもらおう!此処とは、関係のない場所だから活動は続けられる)
トネリコは急ぎ歩きしてクロムの服を掴んでクロムを止めると、クロムは何事かと立ち止まり振り向けば驚いた表情をしていた。
「トネリコちゃん!?」
「クロムさん、歩くの早いってば~……」
「え?ええ??あ、あのっ???」
「さっきの“アレ”見ていたんたけど」
「あー……、ははっ……恥ずかしい所を見せてしまいましたね」
「別に恥ずかしくないでしょ、クロムさん達は“当たり前の事をした”それだけの話なんだから」
「トネリコちゃん……」
「そ・こ・で!モノは相談なんだけど、クロムさん」
「へ???」
トネリコが自分の提案をクロムに説明している頃、ヴェイグは端末を使ってオズワルドへと通信していた。
通信の電子パネルのモニターには、暗めのモスグリーン色でショートにしており、少しツリ目をした青緑色の瞳色をしている背の低い青年か映っていた。
「………そういう事だから、さ」
『意味がわからない、それ』
「でも、決定なんだよ……悔しいけどさ」
『……そう、ですか』
『他の二人にも、同じように伝えておきます』
「あぁ、頼むわ」
『いいえ、1番辛いのはヴェイさんとクロさんだと思うので』
ヴェイグは通信を切って端末を強く握っては、さっきの事を思い出しては辛そうな表情をしては目を閉じる。
「やりきれねぇーわ、こんなのって……此処まで、頑張ってきたってのにっ」
「ヴェイさんーー!!!」
「??、クロムさん??拠点に向かったんじゃ??」
「それなんですけど、ちょっとグループ通信を開いて他のメンバーにも話をしたい事がありましてっ!!」
「へ???」
NeXT
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