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■第1楽章:融合した世界
EPISODE 7:これからの方針
しおりを挟む「そうだっ!!トネリコさんっ、怪我はないですか!?」
オズワルドは、ハッとなりすぐにトネリコの側まで走ってくればチラッとレーヴェを見るがレーヴェは気にしている気配は無かった。
「アタシは、大丈夫だよ。首を掴まれただけだし」
「……少し、痣になっているじゃないですかっ…もっと、早くに到着していればっ」
「これぐらい、治療術式で簡単に治るから大丈夫……。それより、“副リーダー”は?」
「あぁ、それについては……ヴェイグさんが“ギャンブル”で殺していましたよ」
「へ???」
オズワルドが此処へと来る数分前の出来事なのだが、無事に屋敷の中へと入ったクロム達は各自で分担する事にしていた。
フェイトとロイドは、安全確保の為に裏口で奴隷として捕まった人達の逃げ道を作りに動いていた。クロムは単身で奴隷で捕まっていた場所で、追っ手の冒険者などを向かい撃って出ていた。
その間、オズワルドとヴェイグは“アンドロメダガーデン”の“副リーダー”である“ナムル”と遭遇していた。
「あぁ、凄く良い感じの人達じゃないですか……ねぇ、ボクと楽しい事をしません?」
「はぁ?」
「明らかに、男色じゃん」
「俺、苦手なんですけど……」
「ははっ……」
「ねぇ、聞いているんですけど~?」
「……オズちゃん、ちょいちょい」
「なんです?ヴェイさん」
ヴェイグはオズワルドを手招きで呼びつけてオズワルドの耳元で軽く何かを言えば、オズワルドは一瞬何かを考えたが“任せました”と言ってから廊下の窓を蹴破り外へと出ていく。
「あれ、1人行っちゃった……でも、おにーさんのが逞しそうっ」
「ははっ、それは嬉しい言葉なんだけどよ~?男のガキに言われても、オレは全然嬉しくもなんともないんだなー……リコちゃんなら、大歓迎だけども」
「おにーさん、女の子が好きなわけ?凄くカッコいいのに、女の子を追いかけるなんて勿体ない!」
「はははっ!」
ヴェイグはナムルの言葉に軽く嘲笑うように笑ってから、トランプのカードをシャフルさせながらも1枚のトランプカードだけを取り出す。
「残念だけど、オレは一途なんでね」
ヴェイグは取り出したトランプのカード“ハートのクイーン”をナムルに見せてから、何処となく妖しい笑みを浮かべてはトランプのカード“ハートのクイーン”に触れる口付けをする。
それと同時にヴェイグの目の前に立っていたナムルの首が“何か”で切り落とされ、ナムルは何が起きたのか分からず身体が崩れていく。
「“ハートのクイーン”、“粛清のギロチン”……それが、当たるなんてカワイソウに……ククッ」
ヴェイグはナムルの遺体を見下ろしてから、蹴破られた窓から外を見つめては懐から煙草を取り出して1本だけ出して口に咥えると勝手に火がついていた。
「“オレら”の気狂いってのは、いつ頃から存在していたのかなんて……それは、出逢いからに決まっているだろうに、な」
「あ、ヴェイさん!!此方にいたんですか!」
「クロムさん」
「あ、此方は片付いたんですか?僕の方も、無事に捕まっていた方々をフェイトくん達に託しましたよ」
「おう、此方は終わったぞー!オズちゃんは、リコちゃんが心配で先に外に向かったぜ」
「さ、流石……。じゃあ、僕らもトネリコちゃんの所に行きましょうっか!」
「おう~」
ヴェイグはチラッとナムルの遺体を見てから先に走って行ったクロムの後をついていくと、外ではクロムとヴェイグ以外がトネリコの所に合流していた。
「これで、ちゃんと片付いたかな?」
「最後の“片付け”は、オレがしておくよ~リコ~?ついで、補給になるし」
「わかった。片付けが終わったなら、ちゃんとフラスコに戻ってきてね」
「おー」
レーヴェはトネリコの額に口付けをしてから、レーヴェが屋敷の闇の中へと溶けて消え去ると同時に生き残っていたと思われる冒険者達の悲鳴と断末魔が聴こえてくる。
「片付けって、そっちかよ……エグっ」
「いや、ヴェイさんよりはマシなんじゃ……」
「クロムさん???」
「じゃあ、皆して拠点に戻って司くんの様子を確認しないとね」
「んじゃー、戻りますっか!」
トネリコ達は屋敷を見てから転移の石を使って拠点に戻り、トネリコはベッドで眠っている司の様子を確認してみれば施されていたモノは消え去っていて治療も完璧に施す事が出来た。
「あとは、本人の体力次第だね」
「つかさ、もう、大丈夫なのっ?」
「うん、ちゃんと休んでいれば大丈夫」
「よかったぁっ……っ」
パメラはベッドの端に寄りかかりながらも身を乗り出し、ベッドで眠っている司の手を掴んでは嬉しそうに笑みを浮かべていた。
トネリコは世界で起きている現状は、明らかに何かが起きているのは確かなのだろうと考えていた。
その理由としては、“人の感情”というより“欲”に何かが施されているかのように人々の感情の行く末が可笑しくなっているからだ。
(もしも、あの事件後に何か別の何かが起きていたとしたら?そうなると、“アイツ”が何かをバラ撒いたと考えていいのかもしれないけど)
あの事件が起きてすぐは、此処まで酷い状態ではなかったのは“情報屋”から聞かされていた。
その原因の原点は、何なのかは今だに不明確なままでいる。
(やっぱり、色々と調べるしかないかぁ…。じゃないと、“アイツ”を捜すのも殺すことも出来ない)
「リコちゃん、お疲れ様」
「あ…」
ヴェイグは考え事をしているトネリコの頭に手を置いて、優しい眼差しでトネリコの頭を優しく撫でている。
周りを見れば、いつの間にか廊下に出ていたのかトネリコとヴェイグしか居ない状態だった。
それと、いつの間にかレーヴェは戻ってきていたのか腰に身に着けている大きめなフラスコの中身が戻って居た。
「ヴェイグさんも、お疲れ様!助かったよ、本当に」
「ふふっ、それはリコちゃんのお願いなら何だってするって」
「ヴェイグさんもオズくんも、本当に変わっているよね……レーヴェも、そうだけど」
「ん?なーにが?」
「三人とも、何でアタシなんかに絡んでくるのか分からなくて」
「んー、それは惹かれたから?」
「意味がわかんない」
「はははっ、そのままの意味なんだけどなー」
「それは、わかっているけど!」
トネリコは納得いかずといった表情でヴェイグを見上げれば、ヴェイグはトネリコの顎に手を添えてはトネリコの唇に自身の唇を重ねては触れるだけの口付けをする。
突然の事にトネリコが固まっていると、ヴェイグは悪戯っ子のように笑みを浮かべてからトネリコから離れる。
「って、いきなり何をして!?」
「ふふっ、わかっていない娘が居たから思わず?」
「もー……」
「んで、これからどうする?領土の整備は、するんだろうけど」
「まぁ、整備はするよ?人が住めるようには、住居を増やしたり店だって出来るようにもするし……結界があるから、魔物は入ってこれないから色々と作る予定ではある」
トネリコは廊下の窓から外を見れば、日の出が上がっていて少し明るくなった空を見上げる。
“難民の受け入れ”は、元々は受け入れをする予定ではあった。
特に“チルドレン”と呼ばれてしまっている“第2世代”に対しては、本気で受け入れるつもりだ。
彼らは“何の罪もない存在”であり、1番の“被害者”とも言える。
「“チルドレン”の子達は、特に居場所なんて無い扱いを受けている。何かの影響で、一部の人々の“欲”の枷が外れてしまったのは確かだし……その原因見つけたい。1番の目的は、“アイツ”を探し出すのが目的だけど……領土の主としては、それが1番の目的かな?」
「まぁ、そうだろうなー……リコちゃんやレーヴェの旦那にとっては、全ての元凶を探し出して“殺す”ってのが目的だな」
「うん。“アイツ”を捜すのも一苦労だと、思っているよ?あの“最後のダンジョン”も、何処に出現したのか分からないし……色々と“情報屋”から仕入れないといけないかな」
世界が融合してから“本来のダンジョン”は、世界各地へと散らばったのは確かだろう。
オズワルドが攻略に出向いた“東北地方ダンジョン”もその一つでもあるならば、土地が生きている“北海道”“関東地方”“関西地方”“九州地方”“沖縄”にもある可能性はある。
それに、日本だけではなく他の国の土地にもある可能性はある。
土地さえ生きていれば、外国の土地にも存在するのが““生きた”ダンジョン”なんだ。
「そうなると、一応オズちゃんが見つけていた“東北地方ダンジョン”も出向くのか?」
「うん、そのつもりだよ」
「まぁ、“生きた”ダンジョンなわけだし?オズちゃんの話なよれば、“東北地方ダンジョン”の核は見つけていないって言うからな」
「うん、だから見つけたら“壊す”」
“ダンジョン”が存在していると、どんどん魔物が湧いてくるのは確実な話だ。
ならば、魔物を減らすためにも“ダンジョン”の核を壊さないと意味がない。
“ダンジョンの核”というのは、“深淵なるモノ”と呼ばれた存在の何かがなっている。
以前のゲームの内容だと、七つのダンジョンが存在し“深淵なる七つの大罪”という存在が支配していた。
トネリコ達が探している存在も“深淵なるモノ”であり、その“深淵なるモノ”の統轄者とも言える存在だ。
「ダンジョンが存在しているなら、何処かのダンジョンに“深淵なるモノ”は居るのは確実だろうからね。特に、“生きた”ダンジョンの中でも“特異な存在”となったダンジョンは怪しい」
「例えば?」
「“意志を持ったダンジョン”って言うのが、1番しっくりと来るかも」
「へぇー」
「何かの“目的”持ったダンジョンって、言い換えた方が分かるかな?例えば“暴食”ならば、糧となる存在を呼び寄せたり?“怠惰”ならば、その周辺の街などに影響を与えては人々の活力を奪ったり」
「そういえば、ゲームではそんな感じだったな……そういうダンジョンの側にあると、被害がとんでもなかったって奴だな」
「うん」
“特異なダンジョン”ならば、その周辺の影響はとんでもないだろう。そうなると、“東北地方ダンジョン”も怪しいかもしれない。
「だから、一応“東北地方ダンジョン”も確認しないといけないね」
「おう、そうだな」
「オズくんとの約束もあるし、ちゃんと探索しないと……」
「約束?」
「うん。一緒に攻略する約束」
「あー、なるほど?」
NeXT
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