おいでませ!?DIVERPG世界でセカンドライフの時間だよ!

祁季みのる

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■第2楽章:2つの異なる道標

EPISODE 17:小さな診療所の主

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 レーヴェの奪還から1週間が経ち、トネリコ達は慌ただしくしながらも“客人”が来るのを待っていた。
 この日、オズワルドの師匠と共にトネリコが1番会ってみたい人物が来る日だからだ。


「今日、なんだよね……っ」

「もしかして、緊張してる?トネリコ」

「そ、それは………!うん、凄くしてるっ」


 トネリコが緊張しているのを心配そうにオズワルドは見ていたが、端末が鳴って中身を確認してから正門の方を見てみれば其処には、ピンク色の髪色をした腰ぐらいの長さを三つ編みにしており、頭にはゴーグルを身に着けていて、モスグリーン色の瞳色をした切れ長なツリ目をしている青年が前を歩きながら後ろを気にしながら歩いている。

 その青年の後ろで周りの物を興味津々で目を輝かせているのは、黒色の髪色をした低い位置のロングツインテールで、パッチリ目をした青色の瞳色をした背の低い少女である。


「リーオ師匠」

「ん、約束とおーりに来たよーオズワルド」

「応えてくださり本当に、ありがとうございます」

「まぁ、珍しくオズワルドが頼んできたからねー?で、そちらが?」

「はい」

「はじめまして、オズくんの師匠さん」

「まぁ、何回かやりとりしているけど?オレ“情報屋の主”だから」

「あ!だから、聞き覚えが……?」

「おーい!リーオ、1人だけズルで!?ボクも、ちゃんと挨拶したいっ!」

「はいはい、分かった、分かったから落ち着け?」


 リーオの服を掴んでは引っ張り怒った表情をしているのだが、その引っ張られているリーオは微かにニマニマと笑っている。


「ボクは、“町の診療所”を運営している“フィロソフィー”や!まさか、リーオに“外界”に知り合いが居るとは知らんかったわ!でも、こうやって話せて嬉しいんやで」

「はじめまして、フィロソフィーちゃん。アタシは、この領土を管理しているトネリコです」

「わぁー、普通の女の子やわぁ~」

「???」


 フィロソフィーは目を輝かせながらも、トネリコの両手を自身の両手で掴んでは嬉しそうに笑みを浮かべてから首を傾げている。


「もしかして、トネリコちゃんって“呪われている”状態なん?」

「え?」


 トネリコは驚いた表情してからオズワルドを見るのだが、オズワルドは何も知らなくて驚いた表情をして首を左右に振っていた。


「え、あの、なんで知って……」


 トネリコが困惑しながらも困った表情をしていると、何かを感じたリーオが満面な笑みでフィロソフィーの肩を掴み引き寄せると同時に黒い大鎌が地面に刺さると大鎌が砕けてレーヴェが出てくる。


「なんで、リコが“呪われている”って気付いた?“アイツ”の差し金か?」

「え?え?なんの事や??」

「酷いんじゃないのー?オズワルド」

「すみません、躾がなっていないバカ犬で」

「ウチのシュヴァルツみたいな犬だねー。まぁ、どっちも狂犬な番犬みたいだけど」

「答えろ」

「いやー、その“アイツ”ってのは知らんやけど?ただ、触った時にトネリコちゃんの“フラグメント”にノイズが視えたんや」

「え?“フラグメント”、視えるんですか?」

「え?あ、うん?視えるで、全部」


 トネリコとレーヴェとオズワルドはフィロソフィーの“規格外”な事に3人して驚いているのだが、そんなフィロソフィー自身は何も分かっていない様子で居て両手をアワアワと振っていて、リーオは呆れた表情をしながらフィロソフィーの頭を優しく撫でていた。


「フィロは、基本的に“自覚”していないんだよねー。悪いけど」

「えぇ!?!?」

「????」

「それより、話があるんでしょ?さっさと、済ませたいんだけど?」

「あ、はい」


 オズワルドは“お茶会”の場所となる中庭へとリーオとフィロソフィーを案内しに行き、トネリコはレーヴェと共に“フィロソフィーについて”話をしていた。


「何なんだ、あのお子様」

「“規格外”過ぎるって……、でも納得かもしれない。“フラグメント”が視えているならば、散らばった“フラグメント”を呼び寄せて書き換える事も可能だから“蘇生”だって出来るよ……うん」

「ってか、アイツらって“プレイヤー”じゃないだろ」

「うん、それは直ぐに分かったけど……気配が“現地人”と同じだったから。とりあえず、何事も話をしなきゃ始まらないよ」


 トネリコ達が中庭へと行くとフィロソフィーは物珍しそうに建物を見ていたり、中庭の飾りとかも眺めていたりしていた。


「珍しいですか、フィロソフィーちゃん」

「うん!見たことないのが多くて、思わず見惚れておったん!そういえば、リーオから聞いたけど大切な話がしたいって言っておったよな?」

「はい」


 フィロソフィーはトネリコに問うと席に座り、オズワルドが淹れたココアを飲んで満足そうな笑みを浮かべる。
 そんなフィロソフィーの傍らに立ったままでいるリーオは、フィロソフィーの嬉しそうな笑みを見てはニマニマとした表情をしていた。

 トネリコがフィロソフィーの向かいの席に座り、その傍らの左右にはオズワルドとレーヴェが立って待機している。


「フィロソフィーちゃんに会いたかった理由としては、1番は物事が終わった後に頼みたい事があるんです」

「頼みたいこと?何や何や、その頼みってのは??」


 フィロソフィーは頼られて目を輝かせて身を乗り出そうとしたら、隣に待機していたリーオがフィロソフィーの肩を掴んでは座らせる。


「アタシ達は“融合世界”になった原因の“元凶”、ソイツを倒してからレーヴェとヴェイグさんの“ホムンクルス化”の解除をフィロソフィーさんに頼みたいんです」

「“ホムンクルス化”??」

「謂わば、一度死んだ者に“深淵なるモノ”と融合させるものです」

「ふむふむ」

「そのため、何かを糧にして補填されていれば死ぬことも老いることも出来なくなります。ですが
 、“ホムンクルス化”をする事で身体能力やスキルの進化が可能となり大幅な戦力上げが出来ます……。なので、物事が終わったら彼ら2人を元の人間に戻したい」


 トネリコは心からの切実な願いを込めてフィロソフィーに伝えると、フィロソフィーは真剣な眼差しでトネリコを見つめていた。
 その眼差しは、目の前にいるトネリコの真意を探るかのような強い眼差しでいる。


「……その彼らは、トネリコちゃんにとっては凄く大切なんやな?」

「はい」

「それは、もしも……“トネリコちゃんの命を差し出せ”って言われても出すんやな?」

「はい」

「リコ!?」

「元々、何かがあって恨まれて殺される事になろうとも受け入れるつもりだったので」

「っ……」


 トネリコが嘘偽りもなく話をするとレーヴェは悲痛な表情をしては、顔を背けてフィロソフィーの次なる言葉を待っていた。

 自分達はトネリコを恨むわけがないのに、恨まれて殺される覚悟まであるなんて思いたくも無かったからという気持ちがあった。


「そうなんやな。うん、分かったで!その時が来たなら、ボクが彼らを元の人間に戻したる!」

「!!、本当に?」

「うん!トネリコちゃんからは、嘘偽りもない純粋な気持ちから願っている事なんだって分かっとるからな!それと、もしも物事に困った事があったら何時でも連絡おくれ?ボク達は、トネリコちゃんの力になったる!」

「っ……、ありがとうございます」

「ほらほら、泣かんといて?折角の別嬪さんなんやから、な?」


 トネリコは自然と嬉しさで、涙が溢れて両手で顔を覆っては声を出さずに泣いてしまうがフィロソフィーは椅子に乗って身を乗り出して、トネリコの頭を優しく撫でる。


「フィロ、行儀が悪いよ」

「うっ、届かなへんや!こうしないとっ!」

「ってか、勝手に話を進めないでよ」

「なんやと!?これは、ボクの大事な話なんや!ボクが、決めないと意味があらへん!それに、トネリコちゃんの気持ちは、凄く分かるから断るつもりなんて無い!同じ立場なら、リーオ達が同じ事になっているって言うならボクも頼んどる!!」


 フィロソフィーはリーオに指を向けながらも、何処となく説教をするかのように話をするからなのかリーオは困惑な表情をしていた。


「…………そう言われたら、これ以上は何も言えないよ」

「よしっ」

「そういえば、お二人は幼馴染ってききましたけど……」

「うん!リーオとは幼馴染だし、他にも3人おるで?町の領主とか、よろず屋とか、メイドもどきとか……」

「そ、そうなんですね」


 オズワルドはリーオをチラッと見れば、少し不貞腐れたかのような表情をしてはジトッ目をしてフィロソフィーを見ていた。

 アレは明らかに、案件に対して承諾したフィロソフィーに納得していないのは明らかだろう。


「今日は、泊まっていきます?」

「いや、今日は…」

「うん!泊まっていく!トネリコちゃんと、もっと話がしたいっ!」

「フィロ~……、シュヴァルツ達が煩くなるってば」

「だってぇ、折角の普通の女の子やぞ!?ここは、恋バナや世間話をせなアカンやろ!?」

「いや、恋バナって」

「だから、今日は泊まるで!トネリコちゃんっ!」

「あ、うんっ!?(いや、明らかに不機嫌になってますけど!?)」


 フィロソフィーの我儘でトネリコ達の屋敷で泊まることになり、明らかに不機嫌そうな表情をしているリーオを見たトネリコ達は“これは、後が怖そう”と思っていた。

 その日の夜は、フィロソフィーの宣言通りに世間話をトネリコとして花を咲かせたのは言うまでもない。

 ただ、その世間話の中ではフィロソフィーが“町の外”に出たのが今回が始めてだという事にトネリコは凄く驚いていた。


(だから、あんなに物珍しそうに目を輝かせては眺めていたのかな?でも、どうして“町の外”に出た事がないのかな?何か理由がある?あのリーオさんの警戒も、それに繋がっているのかな?ずっと、1人で廊下で待機しては周りを警戒していたし……。何よりも、ずっと此方に対してだけ殺気を飛ばしていたからレーヴェを抑えるのが大変だった………)


 トネリコは隣で眠っているフィロソフィーを見てから、少し安心した表情をしてから扉の方を見つめる。


(でも、これで二人とも人間に戻せるんだよね…。それだけでも、何よりも安心出来るよ……1番、気掛かりな事だったから)










NeXT
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