おいでませ!?DIVERPG世界でセカンドライフの時間だよ!

祁季みのる

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■第2楽章:2つの異なる道標

EPISODE 21:世界終末の足音

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 トネリコが“5年前の事件”について話をしている頃、世界統一政府機関の本城は炎上し燃え盛っていた。

 ジェイドは中の人々を非難させながら、レイヴンとクロノスは共に最奥の部屋で狂ったように笑っているクーロンを見つけていた。


「クーロン」

「あはっ、あはははっ!これを笑っていなくて、どうしろって言うんや?導いてくれていた方からの最後の“預言”は、世界の終末なんやで!?この世界を終わらせるために、動くように言われたから……やっているんや」

「それでも、“世界統一政府機関”の統括者の台詞か?力無き者達の為に、盾となり剣となるという誓いを忘れたのか!?」

「盾?剣?アハハハハッ!!力無き者のために?巫山戯るな!!あんなヤツらが、何の役に立つんや!!」

「レイヴン」

「クロノスさん、これは我々で片付けよう」


 レイヴンが大剣を構えクロノスが槍を構えると、それを見たクーロンは深い笑みを浮かべては可笑しそうに嗤っている。


「お前らに、ワテは殺せへんで?死ぬのは、お前らの方や」

「そうだとしても、これは我々の責任の一つでもある」


 クーロンは大きめの扇子を出して開くと顔を隠しては、微かに笑みを浮かべて笑みを浮かべることをやめれば大きめの扇子を閉じると同時に赤黒い蝶の群れがクーロンの背後に現れる。


「なら、お望み通りに全員殺してやるわ」


 クーロンがレイヴンとクロノスと戦っている最中、ジェイドは燃え盛る拠点をただ眺める事しか出来なかった。

 突然としての“爆発”と“炎上”によって、世界統一政府機関の拠点の半分は喪失し崩落していくのをジェイドは眺めていた。


「統括議長のご乱心により、世界統一政府機関は幕を閉じるという事か……」


 積み上げてきた事が、こんなにも簡単に崩落し喪うというのは辛いというよりも唖然とした気持ちしか湧き上がらなかった。

 議長達が目指した“平穏”とは?

 そう疑問を投げかけたとしても、どうにもならないのは確かな話なのだろう。


「これが、本当の報いという裁きなのかもしれないな……(民衆からの暴動は、直ぐに行われるだろう。私は、それを大人しく受け入れる)」


 民衆からの怒りの矛先は、生き残った世界統一政府機関の議長に向くのは確かな事だろう。

 だが、その後の残っている怒りの矛先は何処へと向かうのか。

 それは“冒険者ギルド”へと、その怒りの矛先が向くのは確実だろう。
 そうなってしまえば、世界規模で混乱が起き下手すれば人々は残らなくなるかもしれない。


「そうなってしまえば、本当に世界は終末へと向かい世界に生き残るのは“異世界の住民”だけとなるだろうな。もしくは、ランクA以上の冒険者と共に“異世界の現住民”だけだろうな」


 ジェイドは考えては微かに嘲笑うように笑みを浮かべてから、燃え盛る拠点の最上階にて大きな爆発が起きると赤黒い蝶の群れが溢れて城下町へと流れて飛んでくる。


「やはり、クーロン統括議長のが上手だったわけだな……そりゃあ、レーヴェやオズワルドを目標に目指していた方だから勝てるわけがない。だが、住民はシェルターに移動させて、もう封鎖はしてある」


 この城下町に残っているのは、冒険者ギルドに所属しているクランや冒険者だけだ。

 この日、世界統一政府機関は喪い中央都市として栄えていた都市さえも廃墟となった。
 ジェイドの行方は分からないが、ラムダとの約束を果たすためにフィロソフィーが居る島に向かった可能性は高いだろう。


 世界統一政府機関についての情報は、リーオからオズワルドに報せが入りトネリコは分かっていたかのような表情をして紅茶を飲んでいた。


「多分、“アイツ”がクーロンに“世界の終末”について話をしたんだと思う」

「“世界の終末”?」

「アタシと“アイツ”は一つの“人工的な特異点”だけど、本来なら“異世界側”に“本当の特異点”が居るとは思う。“特異点”が行うのは、世界のリセットを行い新たな文明を築き新たな時代を導くのが仕事だからね」

「それを“人工的な特異点”が、それを行おうとしているって所かな……。“本当の特異点”は、まだ望まないとすれば助かる可能性はあるだろうね」


 だが、そもそもの話だ。

 “本当の特異点”が何なのかというのは、誰一人として知らない。
 もしかしたら、リーオなら情報屋として何かを知っているかもしれない。だが、何となくだがリーオは伝えるつもりはないのだろう。


「(あの時、触れたからこそ分かるけど。“本当の特異点”は、フィロソフィーさんなんだと思う。だから、もしも止めれる手段があったとしてもリーオさん達に阻止されるだろうね)」


 初めてフィロソフィーと出逢い触れた事で、フィロソフィーが“本来の特異点”である事は分かっていた。
 何よりも“フラグメント”を視るという体質は、それは“特異点”だからこそ出来る事だからだ。

 だからこそ、フィロソフィーもトネリコの正体にも気付いてはいる可能性はある。


「(彼女が世界を愛しているならば、アタシも“アイツ”も見過ごせるような事ではないと思う。だけど、あの感じだと………“見守る”事にしたのかもしれない。だけど、もしも何かが変われば彼女はアタシと“アイツ”を消すのは確かなんだろうけど………)」


 トネリコはティーカップをテーブルに置いてから、椅子の背もたれに寄りかかり雲が一つもない青色の空を見上げていた。


「(でも、それはそれでいいのかもしれない。ヴェイグさんやレーヴェ、オズくんやクロムさん達に手を汚させる事もなく消える事が出来るなら……)」

「何か余計な事を考えているんじゃないのか?リコ」

「レーヴェ」


 青色の空を見上げていたトネリコの視界にレーヴェの顔が映り、どうやら勝手にフラスコから出てきたレーヴェがトネリコの顔を見るために見下ろしていたようだ。


「まぁ、それは思っていたね」

「リコは、終わらせたいのか?」

「そうだね。気持ちは2つもあって、どうしたらいいのかって考えてはいるよ?でも、何よりも最善な事を考えたらレーヴェ達にとっても最悪な方を選んじゃうの」

「……リコと“アイツ”が1つになった際に、この世界から喪失する事、だよな」

「うん」


 “人工的な特異点”だろうとも“文明リセット”なんて出来るだろうから、融合する前の世界に戻す事なんて簡単に出来るだろう。
 何よりも“トネリコという存在”が、また再び存在する可能性は低くはない逆に高いのは確実だろう。

 それならば、二度と起こさないためには何がいいのか?


「だから、フィロソフィーさんに会おうと思ってる」

「あの時のガキ?」

「あの人ならば、全てがゼロになった場合でも覚えている可能性があるから。それならば、フィロソフィーさんに託すしかないんだよ……レーヴェと出逢う前のアタシを始末してもらうために」

「!?」

「“文明リセット”が起きた場合、融合前に戻る事は確実なんだよ。そうしたら、アタシは“存在”している事になる。だから、二度と起こさないためには覚えている人に殺してもらう事……」


 全ての始まりは“トネリコという存在”が、この出来事を作り上げた。
 ならば、“トネリコという存在”を消してしまえば二度と起きる事はない。

 レーヴェは怒りからなのか悔しさからなのか、テーブルを強く殴りテーブルを真っ二つにすると近くに居たオズワルドとヴェイグは驚いた表情をして駆け寄ってくる。


「レーヴェの旦那!?何、テーブルを真っ二つしてんの!?」

「トネリコ?」

「リコ、俺はっ……。それだけは、承諾なんて出来ねぇっ!!リコと出逢いを無かった事になんて、俺はするつもりなんてない!!」

「「!?」」

「レーヴェ」

「もしも、そうなったとしてもっ!!俺は、意地でも思い出してやるっ!!俺にとって、リコとの過ごした日々は最高な日々だったんだ!!何もかもつまらなくて退屈な日々に、リコと出逢って白黒な日々が色づいて楽しくなっていたんだ!!それを“何もない”状態?リコと会わなかった日々なんて、想像なんて出来るわけがないっ!!」


 レーヴェは拳を強く握り微かに血を滲ませ垂らそうとも、トネリコとの出逢いを無くされる事に怒りと哀しみを堪えていた。


「でも、それが最善なんだよ。レーヴェ?誰一人として死ぬ事もなく、辛い日々を繰り返すこともない。何よりも、世界は2つに分かれている状態で深く干渉する事もないんだ」


 融合する前ならば世界には薄い壊れない壁があったからこそ、プレイヤーも“現住民”もどちらにも被害はなく“普通のRPGゲームの世界”であったんだ。

 融合してしまったからこそ、こんなにも生きるのに辛い世界へと変貌して誰もが苦しく悲しく生きることしか出来ない世界へと変わった。

 だったら、それこそ“何もなかった時”に戻すべきなんだ。


 辛い記憶。
 悲しい記憶。
 怒りの記憶。


 全てを無かった事にする。


 あぁ、もしかしたら。

 もう、自分は“アイツ”の思考に呑まれているのかもしれない。


「それに、“分かっている”んじゃないかな?長年、一緒に旅をしてきたレーヴェなら」

「っ……」


 トネリコは椅子から立ち上がりレーヴェの頬に触れようとするが、レーヴェはトネリコの手を振り払うとオズワルドとヴェイグは何かに気付いては武器を構えていた。


「リコ“本人”なら、本当なら深く悩んで歩みを止めたりする。だけど、目の前のリコは“悩まずに1つの答え”を言って否定されても肯定させようとしてくる」

「そうだよ。もうね、“アタシ”は蝕まれているんだよ。全て終わらせようと、そのために無理矢理みんなから話をまとめさせようとしてる」


 トネリコは軽く笑みを浮かべては振り払われた手を見つめては目を閉じると、レーヴェが慌てた声を出していた。

 トネリコが自分の首にナイフを宛てがい、レーヴェとオズワルドとヴェイグを見ては妖しく笑みを浮かべていた。


「ねぇ、そんなに大切なのかイ?ただの欠片じゃないカ?それなのに、そんなに必死になるなんて馬鹿なのかイ?人間って、変な存在だネ?」

「てめぇっ」

「ふふふっ、キミらに猶予を与えてあげようかと思って少しだけコンタクトさせてもらっているだけだヨ」









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