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プロローグ〜開幕〜
第二十八話
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「さようなら、秋花」
別れを告げて、彼女の首を掴む両手の力を緩めた。
その瞬間だった。
「ん"!」
「!!」
自分の意志とは違う右腕の急な脱力感。上手く力の調整ができないことに気づいた烏水。そして、脳を直接刺激する程の衝撃的な強い痛みを感じる。
「やっと、油断した」
秋花の左手には、先程折れた烏水の刀の破片。それが真っ直ぐ烏水の右側の首の付け根に刺さっている。
右腕の力が抜けたと同時に、秋花は烏水の左手を振り解く。突き刺さった刀身を支点に秋花が体を大きく揺らすと、バランスを崩した烏水の右半身が下に傾き、秋花が烏水の背後を取る。
酸欠状態で朦朧とする中、振り落とされないように、足で烏水の身体を掴んで首の刀身を引き抜くと、秋花は容赦なく彼の右翼の肩羽に刀身を下ろした。
「ッ!!!!」
負傷した右翼で飛ぶことは不可能。
秋花諸共、真っ逆さまに降下し始めた。
「私の……勝ち」
・
・
・
その時なぜか、刃物で突き刺されたにも関わらず、私の体は鎖が砕かれたかのような一瞬の開放感に満たされた。ずっと、何かに足を縛り付けられていたような重い感覚がなくなり、ずっと張り詰めていた緊張が消え、我に返った感覚に陥った。
「私の……勝ち」
真下に落ち行く目の前にいる彼女が、掠れた声で言った。あと数秒で体が地面に打ち付けられて死ぬと言うのに、私の目を見て「勝ち」と誇るその声色は、少し嬉しそうに聞こえた。
やめてくれ、秋花。
お前は結香じゃない。本当は結香に似ているなんて、一度も思ったことない。僧正坊に操られた私が、結香を失った事実を受け入れたくなくて、たまたま出会ったお前に面影をのせただけ。お前は私の寂しさに巻き込まれただけだ。
……それなのに、何故、今になって、あの子と同じことをしようとするんだ。
______『兄者、ありがとう』
結香は、本当は愛妾になんてなりたくなかったはずだ。それでも、私の為に自分を犠牲にしたあの子は、生かす選択肢を選んだ私に、嬉しそうに礼を述べた。『これからも生きられる』と思ってもないことを口にして、それが最後の別れだった。
私の為に自分を犠牲にするな。お前達の生殺与奪は、お前達の為に決めなければならない。
_______二人の妹の命を礎に生きる、愚かな兄になるものか!
「秋花!」
烏水は左翼のみのアンバランスな飛行で前進し、秋花の方に手を伸ばした。
最大限に手を伸ばし、落下する秋花の身体を掴み自身の方へ抱き寄せると、少しでも落下速度を落とそうと最後まで左翼を動かし続けて、森の中へ落ちて行った。
別れを告げて、彼女の首を掴む両手の力を緩めた。
その瞬間だった。
「ん"!」
「!!」
自分の意志とは違う右腕の急な脱力感。上手く力の調整ができないことに気づいた烏水。そして、脳を直接刺激する程の衝撃的な強い痛みを感じる。
「やっと、油断した」
秋花の左手には、先程折れた烏水の刀の破片。それが真っ直ぐ烏水の右側の首の付け根に刺さっている。
右腕の力が抜けたと同時に、秋花は烏水の左手を振り解く。突き刺さった刀身を支点に秋花が体を大きく揺らすと、バランスを崩した烏水の右半身が下に傾き、秋花が烏水の背後を取る。
酸欠状態で朦朧とする中、振り落とされないように、足で烏水の身体を掴んで首の刀身を引き抜くと、秋花は容赦なく彼の右翼の肩羽に刀身を下ろした。
「ッ!!!!」
負傷した右翼で飛ぶことは不可能。
秋花諸共、真っ逆さまに降下し始めた。
「私の……勝ち」
・
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その時なぜか、刃物で突き刺されたにも関わらず、私の体は鎖が砕かれたかのような一瞬の開放感に満たされた。ずっと、何かに足を縛り付けられていたような重い感覚がなくなり、ずっと張り詰めていた緊張が消え、我に返った感覚に陥った。
「私の……勝ち」
真下に落ち行く目の前にいる彼女が、掠れた声で言った。あと数秒で体が地面に打ち付けられて死ぬと言うのに、私の目を見て「勝ち」と誇るその声色は、少し嬉しそうに聞こえた。
やめてくれ、秋花。
お前は結香じゃない。本当は結香に似ているなんて、一度も思ったことない。僧正坊に操られた私が、結香を失った事実を受け入れたくなくて、たまたま出会ったお前に面影をのせただけ。お前は私の寂しさに巻き込まれただけだ。
……それなのに、何故、今になって、あの子と同じことをしようとするんだ。
______『兄者、ありがとう』
結香は、本当は愛妾になんてなりたくなかったはずだ。それでも、私の為に自分を犠牲にしたあの子は、生かす選択肢を選んだ私に、嬉しそうに礼を述べた。『これからも生きられる』と思ってもないことを口にして、それが最後の別れだった。
私の為に自分を犠牲にするな。お前達の生殺与奪は、お前達の為に決めなければならない。
_______二人の妹の命を礎に生きる、愚かな兄になるものか!
「秋花!」
烏水は左翼のみのアンバランスな飛行で前進し、秋花の方に手を伸ばした。
最大限に手を伸ばし、落下する秋花の身体を掴み自身の方へ抱き寄せると、少しでも落下速度を落とそうと最後まで左翼を動かし続けて、森の中へ落ちて行った。
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