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(22)デートにしたかった男⑥
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場面が切り替わった。
今までの甘い雰囲気は一変し、暗く重厚な音楽が流れる。
空は厚い雲に覆われて、あちこちで稲光が見える。雷鳴がとどろいて稲妻が天を走り、地上へと降り注いだ。
上空から下を俯瞰した画が映る。
灰色の空から見える灰色の景色。
時折雨と雪が交互に降っては空気を冷やし続ける。
生命の息吹を感じられない様子がぐるり全回転に長回しで撮られた後、切り立った崖の上にそびえ立つ優美な城が下から上へと煽りで映し出された。
蝋燭に灯る明かりだけが頼りの広い廊下が真昼の太陽の様な明かりに照らされる。
魔法使いが明かりの魔法で辺りを照らして勇者一行は用心しながら魔王の居室がある最上階へと進んで行った。
大概の勇者の討伐ストーリーでは何故だか魔王はいつ何時も謁見室の王の椅子にふんぞり返って座り、命知らずな侵入者を待っているのが定番だが、この映画もそれに倣うらしい。
いついかなる時も魔王様は律儀なのである。
バカ素直で大変可愛らしい(偏見)。
燭台を大アップでぼかして映した後に、階段を上がって廊下に一歩踏み入れた所で剣戟の音が一つ。明かりの呪文で隅々まで明るくなった画から勇者一行の城の魔族との戦闘シーンになる。魔法使いと魔術師の詠唱をバックに華やかな剣術に質実剛健そのままの剣術とが画面いっぱいに映し出されて魔族を討って行く。連携が取れた動きに爽快感溢れた音楽が流れて観客の興奮を煽った。
見下していた人間に次々に城を制覇されて行き、魔族は焦るばかり。必死に応戦するも一行の勢いは止まる事なく一階、また一階と魔王の玉座の間へと近づいて行く。
謁見の間まであと少し。
『この虫ケラごときがあ!!』
ビリビリと空間を震わす大物魔族の怒声がスピーカーから聴こえると、大半の観客がびくっと一斉に肩を震わせた。
ケイトもびくっとしてしまう。動悸がしてしまう。あの一声から戦闘シーンに移っても、ずっと心臓がばくばくしていた。
一方ジョルジオは平然としていた。あんなのは普通なのである。映画だから無害で良い。安心して観ていられる。怒号が衝撃波とか珍しくないのだ。魔法使いや魔術師に頼らず、防御壁を自分で張って戦いに臨むのは常識なのである。最もこれはソロ仕様だけれども。
緊迫した戦闘シーンが流れる。
否が応でもでも魔王との対面に期待が、気分が高揚していく。
スクリーンに突然、影が差した。
画面に釘付けの観客の前に突如、誰かが登壇したようだった。
立ち塞がるようにまた、誰かがふっと現れる。
「ケイトさん!そのままで!!」
いきなり大声を上げた隣に座っていた友人に、ケイトは視線を合わせる暇もない。
言い放ちジョルジオが椅子から立ち上がって前方へと跳躍した。
「勇者様!!」
「―――っ!?」
思わずケイトは立ち上がる。ロイヤルプレミアム席からスクリーンの光りのせいで逆光と会場の暗さも相まって良く見えない、けれど、あの人を探した。
今までの甘い雰囲気は一変し、暗く重厚な音楽が流れる。
空は厚い雲に覆われて、あちこちで稲光が見える。雷鳴がとどろいて稲妻が天を走り、地上へと降り注いだ。
上空から下を俯瞰した画が映る。
灰色の空から見える灰色の景色。
時折雨と雪が交互に降っては空気を冷やし続ける。
生命の息吹を感じられない様子がぐるり全回転に長回しで撮られた後、切り立った崖の上にそびえ立つ優美な城が下から上へと煽りで映し出された。
蝋燭に灯る明かりだけが頼りの広い廊下が真昼の太陽の様な明かりに照らされる。
魔法使いが明かりの魔法で辺りを照らして勇者一行は用心しながら魔王の居室がある最上階へと進んで行った。
大概の勇者の討伐ストーリーでは何故だか魔王はいつ何時も謁見室の王の椅子にふんぞり返って座り、命知らずな侵入者を待っているのが定番だが、この映画もそれに倣うらしい。
いついかなる時も魔王様は律儀なのである。
バカ素直で大変可愛らしい(偏見)。
燭台を大アップでぼかして映した後に、階段を上がって廊下に一歩踏み入れた所で剣戟の音が一つ。明かりの呪文で隅々まで明るくなった画から勇者一行の城の魔族との戦闘シーンになる。魔法使いと魔術師の詠唱をバックに華やかな剣術に質実剛健そのままの剣術とが画面いっぱいに映し出されて魔族を討って行く。連携が取れた動きに爽快感溢れた音楽が流れて観客の興奮を煽った。
見下していた人間に次々に城を制覇されて行き、魔族は焦るばかり。必死に応戦するも一行の勢いは止まる事なく一階、また一階と魔王の玉座の間へと近づいて行く。
謁見の間まであと少し。
『この虫ケラごときがあ!!』
ビリビリと空間を震わす大物魔族の怒声がスピーカーから聴こえると、大半の観客がびくっと一斉に肩を震わせた。
ケイトもびくっとしてしまう。動悸がしてしまう。あの一声から戦闘シーンに移っても、ずっと心臓がばくばくしていた。
一方ジョルジオは平然としていた。あんなのは普通なのである。映画だから無害で良い。安心して観ていられる。怒号が衝撃波とか珍しくないのだ。魔法使いや魔術師に頼らず、防御壁を自分で張って戦いに臨むのは常識なのである。最もこれはソロ仕様だけれども。
緊迫した戦闘シーンが流れる。
否が応でもでも魔王との対面に期待が、気分が高揚していく。
スクリーンに突然、影が差した。
画面に釘付けの観客の前に突如、誰かが登壇したようだった。
立ち塞がるようにまた、誰かがふっと現れる。
「ケイトさん!そのままで!!」
いきなり大声を上げた隣に座っていた友人に、ケイトは視線を合わせる暇もない。
言い放ちジョルジオが椅子から立ち上がって前方へと跳躍した。
「勇者様!!」
「―――っ!?」
思わずケイトは立ち上がる。ロイヤルプレミアム席からスクリーンの光りのせいで逆光と会場の暗さも相まって良く見えない、けれど、あの人を探した。
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