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(24)デートにしたかった男⑧
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例の映画は本物魔族が突如現れた前代未聞の映画となった。
映画館はほぼ半壊した。
だが当時入館していた客全員は死傷者もなく、映画館の地下に密かに建設してあったシェルターに避難し、誰一人として犠牲者は出なかった。
魔族出現警報が解除されて間もなくの事件で政府はかなり非難されたが、出現したのは予想不可能の高位魔族な事、間髪入れずに対処したのが勇者であった為に大惨事を免れた点が目眩ましとなり批判はすぐに沈静化した。
代わりと言っていいものか、その日は主演俳優を筆頭に共演者や監督などの舞台挨拶を取材しに来館していたマスコミ達が突如現れた魔族と勇者の撮影に成功し、ニュースやワイドショーで連日放送し、また、この様子の動画を撮影していた複数の観覧客がSNSで拡散させた結果そちらの方に国民の関心はほとんど全て移ってしまって多いに盛り上がっていた。
金髪碧眼の見目麗しい青年が剣を振るい魔法を駆使して自分より一回りは大きい男に引けを取るどころか押しまくる姿は圧巻であった。
避難の為に強制退去させられるまで映像は撮られた。
世間は盛り上がる。
今まで髪の色以外秘匿とされていた勇者のビジュアルが解禁となったのだ。
人気ナンバーワン俳優も霞む美形に人々、特に女性陣が熱狂した。
かなり短い映像にも関わらず、マスメディアやSNSでは何度も何度も再生されたのであった。
そんな世間の盛り上がりとは裏腹にかなり盛り下がっている人間が若干一名いた。
ジョルジオだった。
魂が口から出て頭上にフワフワと浮いている。糸で繋がっているだけの状態。
勇者業務サポート以外はぼーーーーっとしていて食欲もない。
一応食べる。エネルギー摂取の為に。
このぼーーーーっとしている状態が現在の基準であり、思い出したように落ち込んで行く。
これを一日中繰り返している。
頭の中にあるのは常にケイトの事だった。
あの場から離れたくない、行きたくないと言い張ったのは勇者がいたからだ。
知ってる、分かる。
あんなにも後ろ髪を引かれていた。必死に訴える様子が今更ながらに胸を締めつける。
あと、仕方無かった事とはいえ、大きな声で怒鳴ってしまったのも少し…。
勇者により討伐された魔族の完全消滅が確認された後、映画館の地下シェルターに避難していた来館者達は簡単なカウセリングを受けてそれぞれ帰途に着いた。
王都では主要道路や公共機関の要所要所に軍隊や警察らが配置されている。
久々の物々しい雰囲気に王都は包まれる。
高位魔族を勇者が倒したのを見届けた後、ジョルジオはすぐにでもケイトの元に駆け付けたかったが、勇者のサポート役としてはそうもいかず、悶々とした思いを振り切って職務を遂行した。
優先順位を間違える訳にはいかない。
こんなにもどかしく歯がゆく、切ないものだとジョルジオは思った。
それからケイトに連絡を取れていない。
向こうからも来ない。
真っ先に思ったのは『嫌われたかも』だった。
嫌われた絶対嫌われた。
どうすればいい。
どうすれば元に戻れる?
繰り返し考える。
答えはない。
「ケイトさあん…」
しょぼくれた大型犬が一人。
ぴんぽ~~~ん。
突如、来訪を告げるチャイムが聴こえ、とぼとぼとモニターに向かい、慌ててささっと身なりを整えた。
映画館はほぼ半壊した。
だが当時入館していた客全員は死傷者もなく、映画館の地下に密かに建設してあったシェルターに避難し、誰一人として犠牲者は出なかった。
魔族出現警報が解除されて間もなくの事件で政府はかなり非難されたが、出現したのは予想不可能の高位魔族な事、間髪入れずに対処したのが勇者であった為に大惨事を免れた点が目眩ましとなり批判はすぐに沈静化した。
代わりと言っていいものか、その日は主演俳優を筆頭に共演者や監督などの舞台挨拶を取材しに来館していたマスコミ達が突如現れた魔族と勇者の撮影に成功し、ニュースやワイドショーで連日放送し、また、この様子の動画を撮影していた複数の観覧客がSNSで拡散させた結果そちらの方に国民の関心はほとんど全て移ってしまって多いに盛り上がっていた。
金髪碧眼の見目麗しい青年が剣を振るい魔法を駆使して自分より一回りは大きい男に引けを取るどころか押しまくる姿は圧巻であった。
避難の為に強制退去させられるまで映像は撮られた。
世間は盛り上がる。
今まで髪の色以外秘匿とされていた勇者のビジュアルが解禁となったのだ。
人気ナンバーワン俳優も霞む美形に人々、特に女性陣が熱狂した。
かなり短い映像にも関わらず、マスメディアやSNSでは何度も何度も再生されたのであった。
そんな世間の盛り上がりとは裏腹にかなり盛り下がっている人間が若干一名いた。
ジョルジオだった。
魂が口から出て頭上にフワフワと浮いている。糸で繋がっているだけの状態。
勇者業務サポート以外はぼーーーーっとしていて食欲もない。
一応食べる。エネルギー摂取の為に。
このぼーーーーっとしている状態が現在の基準であり、思い出したように落ち込んで行く。
これを一日中繰り返している。
頭の中にあるのは常にケイトの事だった。
あの場から離れたくない、行きたくないと言い張ったのは勇者がいたからだ。
知ってる、分かる。
あんなにも後ろ髪を引かれていた。必死に訴える様子が今更ながらに胸を締めつける。
あと、仕方無かった事とはいえ、大きな声で怒鳴ってしまったのも少し…。
勇者により討伐された魔族の完全消滅が確認された後、映画館の地下シェルターに避難していた来館者達は簡単なカウセリングを受けてそれぞれ帰途に着いた。
王都では主要道路や公共機関の要所要所に軍隊や警察らが配置されている。
久々の物々しい雰囲気に王都は包まれる。
高位魔族を勇者が倒したのを見届けた後、ジョルジオはすぐにでもケイトの元に駆け付けたかったが、勇者のサポート役としてはそうもいかず、悶々とした思いを振り切って職務を遂行した。
優先順位を間違える訳にはいかない。
こんなにもどかしく歯がゆく、切ないものだとジョルジオは思った。
それからケイトに連絡を取れていない。
向こうからも来ない。
真っ先に思ったのは『嫌われたかも』だった。
嫌われた絶対嫌われた。
どうすればいい。
どうすれば元に戻れる?
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答えはない。
「ケイトさあん…」
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