異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

文字の大きさ
42 / 214
第二章 冒険者稼業の始まり

#18 怒りの討伐

しおりを挟む


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「ふっ!(ザシュッ………っし、コイツで最後だ、お疲れさんっ!」

「すまないっ、救援感謝するっ!全員っ、動けるものは今すぐお嬢様達を追うぞっ!急げっ!」

「ちょっ、おい待てっ!お嬢様達ってなんだよっ!」

「図体のデカいゴブリンが1体お嬢様達を追っているんだっ!我々はここで足止めを喰らってしまった…急がないと間に合わなくなるっ!」

「それなら心配あらへんよ」

「!?どういうことだ…?」

「もう追い掛けてるってことや…ウチらのパーティーの主力が、な」

「主力…?…っ!そうかっ、ゴブリンの上位種を倒したのは……」

「そうや、しかも漂流者。これで少しは安心出来るやろ?」

「!?漂流者…それならば…何とかなるかもしれん……。あとは間に合ってさえくれれば………」

「そこは…運次第やな……。その逃げたっちゅうお嬢様達の体力に祈るしかあらへん………」

「とりあえず今は待つしかねーだろ…全員こんな状態で何が出来るってんだよ。後は任せて少し休もーぜ」

「…くっ……そうだな…そうするしかあるまい…………。お嬢様方……どうかご無事で…………」


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 全力であの執事が指差した方向に走り出して来たが、マップ上一向にマーカーが現れない…もしかして方向が違うのか?早く…早くしないと間に合わない…っ!

 焦りながらも全速力は緩めずそのまま走っていたら、マップ上端に四角いマーカーがヒョコっと現れた…こいつかっ!さっきアコが調整してくれたお陰で魔物の情報も分かる!
 その四角いマーカーには、[ギガントゴブリン(ゴブリン変異種)]と表示されていた…変異種?しかもギガントとなると、通常のゴブリンとは違いそれなりに大きいんだろうな…。

 そんな奴に追われているのかっ、そのお嬢様は!と憤っていると、四角いマーカーのすぐ近くに丸いマーカーが二つ追加表示された…これかっ!二つってことはお嬢様は二人いるのかっ……まだ動いてる……けど、マーカーの位置的にもうほとんど追いつかれてるだろ、これっ!くっそ間に合えっ!

 マップのマーカーが表示されている方向を肉眼で見たが、まだ見えてこない……もう一刻の猶予も無いはずだ、早く、早くっ!
 マップ上では俺と奴の位置はどんどん近付いているのが分かるけど…肉眼で識別出来るところまで捉えないとあの闇黒魔法は使えない……兎に角見えるところまでは死にもの狂いで走るしかないっ……!

 半分祈りつつ、残り半分で必死に走り続け、ついに肉眼で奴を捉える距離まで来たっ!まだ遠目だから豆粒程度だ…もう少し、もう少しだっ!と既に全速力だが更に速度を上げるつもりで脚を動かし続けていたら、ようやくその姿をハッキリ識別できるところまで来た……が、奴は右手に持った丸太のような棍棒を振り上げて、今まさにそれを振り下ろそうとしているところだった……っ!


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「…はぁっ……はぁっ…はぁっ…………あっ!(バタッ」

「っ!?ヒナリィっ!」

「はぁっ…イタっ……はぁっ……ティシャ……はぁっ…もう、ダメ……はぁっ…はし…れ、ない………はっ、はっ………」

「はぁっ……なっ、なにをっ、言ってるのっ!はぁっ…あき、らめてはっ、はぁっ…ダメよっ!……はっ、はっ…」

「はっ…でも……はっ……ホン、トにっ……もう……はっ………うご、けな…い……はぁっ……」

「そっ、そんなっ……はぁっ……こ、このままだと…はっ……もう、追い付かれ──」

「グォォアアアアアッ!」


「「ヒッ!!」」


「…いや……たす、けて………だれ…か……………おね、がい…………………」


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「〔瞬影動フラッシェーダムーン〕っ!!」


 ブォンッ!…ガキィィィィン!!

 …間に…合っ……たぁぁあっ!!


[闇黒魔法・瞬影動フラッシェーダムーン(笑):自身を、定めた対象の元へ瞬間的に移動させる。但し、定められる対象は自身の目視で識別可能なものに限る]


 ギガントゴブリンの大棍棒が振り下ろされた瞬間、お嬢様達とギガントゴブリンの間に一瞬で割り込みながら、背負ったダルクブラウヴァーを居合の如く抜刀し、左手一本で大棍棒を受け止めた…遠目でデカいのは何となく分かってたけど、目の前まで来てはっきり分かった…かなりの巨体、3メートルは超えてるんじゃないかと思う。
 こんなデカブツに追い掛けられて、それから逃げていたのかと想像しただけで、怒りが沸々と沸き上がってきた…。

 そんな巨体を持つギガントゴブリンが、一瞬何が起きたか分からなかったんだろう、大棍棒を振り下ろしたまま少しの間固まった。

 奴が固まったその一瞬で、俺は大棍棒をダルクブラウヴァーで受け止めたまま、チラッと後ろに庇ったお嬢様達の姿が見えるくらいの角度に首を傾けた。

 形振り構わず走り続けてきたんだろう、かなり薄汚れたドレス…ガタガタと身体を震わせ、ギュッとお互いを確かめるように抱き合い、その眼に恐怖と、そして絶望を涙と一緒に浮かべている…二人の、小さな少女だった……。


 フ゛チ ッ !!


 俺の中で何かがキレた音がした…視線をすぐ奴に戻し、ほぼ無意識にダルクブラウヴァーで受け止めていた大棍棒を力任せに薙ぎ払った直後、奴の土手っ腹に思いっ切り変則前蹴りをブチかました…その、人を脅かすことしか出来ない醜悪な身体を、この場からすぐに引き剥がしたかった。


 ドゴォッ!


「グァァァァアア……」


 10メートル程吹き飛んだ所で倒れ込みながら止まり、腹を抑えて呻き声っぽいのを上げたが、その場ですぐよろけながらも立ち上がろうとしてきた…けどな……お前をもう、これ以上、ここに近付けさせるわけにはいかねぇんだよぉっ!!


「〔氷羽アイスフェザー〕ぁっ!!」


 シュゥゥゥゥゥ……ヒュンヒュンヒュンッ!


 ゆっくりと奴に歩み寄りながら技を叫ぶと、ダルクブラウヴァーのブレイドから凍気が漏れ出し、その凍気が無数の羽を形取って剣の周りに浮かんだ…それを歩きながら奴に向かって一振りすると、浮かんでいた無数の氷の羽が全て奴目掛けて飛んでいった…銃弾のような勢いで。


 グサグサグサッ!パキッ…ピキキッ……


 無数の氷の羽は奴のいる地面に、そして奴の身体…脚や腕、肩に突き刺さり、刺さった部分を中心として徐々に氷を広げていった。
 そう時間は掛からず、奴の脚…立ち上る途中だったから膝立ち状態のまま、氷で地面に固定されそこから動くことは出来なくなり、肩や腕も完全に氷で包まれて動かすことが出来なくなった…が、胸部や頭部まではまだその氷には覆われていない。
 無意識に動きを封じるためなのを強く思ったせいか、胸部や頭部には氷の羽が突き刺さっていなかったせいだろう。


「グガァァァッ!グォアアアアアッッ!!」


 顔は凍っていないから声だけは出せる状態で、動かなくなった手足をどうにかしようと叫んだんだろうが、お前の声すらもうあの子達には聞かせたくねぇんだよ……っ!!


「煩ぇな……黙れよ………」

「グガッ…グゥゥ………」


 ゆっくり一歩ずつ、奴を威圧しながら近付き、まだ抜いていなかった絶刹那たちせつなの柄を右手に掛けてゆっくりと鞘から抜刀した…二つの刀剣を引っ提げて、俺は更に奴に近付く…トドメを刺すために。


「アコ、奴の魔石の位置を教えてくれ…」

「[魔石位置・ギガントゴブリン(ゴブリン変異種):胸部中心および頭部前方の2箇所]」

「分かった…」


 声を出してアコに話し掛けたせいだろう、アコもそれに合わせて音声出力に切り替えて応えてくれた。

 魔石が2箇所…二個も魔石を持っているから変異種なのか……けどな、そんなことはどうでもいいっ!だったらそれを全て壊すだけだっ!!


「…子供はな……襲うもんじゃねぇ………愛でるもんだろぉがぁぁっ!!」


 ザッ!!


「絶!乱瞑舞っ!乱舞死殺技っ!〔討伐たずなうち〕ぃっ!!」


 5メートルくらいまで近付いていた位置から、二振りの刀剣を前方に向けて構え、一足飛びで奴目掛けて突っ込んでいき…ダルクブラウヴァーで胸部の魔石を、絶刹那たちせつなで頭部の魔石を、2連突でほぼ同時に貫いた。


「グギャァァァァアア…アァァ……」


 断末魔を上げたギガントゴブリンに突き刺した刀剣を引き抜くと、魔石があった位置…胸部と頭部からサラサラと身体が朽ちていき、それと一緒に凍っていた部分も粉々に砕け散り……そして、真っ二つに割れた魔石が二つ、転がって残った…。









 ああああああっ!!やっちまったぁぁぁ!!




 ブチ切れて我を忘れるとか、元の世界でもやったことねぇよっ!どーすんだよっこれ!怒りに任せてあんなに叫び散らして、俺が怖がらせてどうすんだって話だよっ!!あぁ…後ろを振り向くのが怖い……けど、やっちまったもんはどうしようもない…と、とりあえず深呼吸して落ち着こう…。

「すぅぅぅ……はぁぁぁぁ~……」

 …うん、少し落ち着いた……そういや納刀すらしてなかった、動転し過ぎだろ、俺…。
 兎に角ヤツを倒したんだから、これで良しってことで自分を納得させるとして…この魔石すら見たくもないから粉々に砕いちまおうか…と思ったんだけど、二個持ちの変異種だったからギルドに報告した方がいいんだろうな…しょうがない、嫌だけど持っていくか…収納墓地に回収して、と。

 さて…覚悟を決めて、少女達の元に向かうとしますか……どうか怖がって逃げられませんようにお願いします…っ!

 ゆっくりと振り返ってみたら…とりあえずまだその場には居てくれた、よかった…。
 でもまだ安心は出来ない、恐がらせないようにゆっくりと少女達の元へ歩いて行く…逃げる素振りはみせないから、何とか大丈夫か?いやいやここで油断したら全てがパーだ、落ち着いていけ、俺。

 無事少女達の元に辿り着き、目の前にしゃがみ込んだ…ヤンキー座りで。
 まだ怯えた感じで震えてる…そりゃ当然か、あんな事があったばっかで普通でいられるわけはない…っていうかこれ、俺が怖くて震えてるんじゃない…よな?ごめん、おいちゃん怖くないよー、だからそんなに怖がらないでねっ!

 二人の少女の前でヤンキー座りをした俺は、両腕を広げてみせた…傍からみたらシコ踏んでるみたいになってるんだろうけど、そんなのはどうでもいい、今は目の前の少女達だ。

 二人は一瞬ビクッとしながらも、俺の方をじっと見ている…まぁ、知らない人が目の前でシコ踏んでたら、そりゃ誰でも不思議がるよな…。

「…ん」

 なるべく言葉少なく、俺は広げた両腕を少し揺らしてアピールした…意図が伝わるといいんだけど。

 すると少女の内の片方…煤けて少しボサボサになっているけどキレイな金髪で、幼いながらも芯がしっかりしてそうな如何にもお嬢様っぽい娘が、恐る恐る俺と同じように両腕を広げてきた…うん、賢いな、この娘は。

 それを見たもう一人の少女…こっちも金髪のお嬢様と同じように煤けてボサボサだけど、キレイな薄桃色の髪をツインテールにした、パッと見ちょっと勝ち気な感じの娘も、お嬢様がやったからか追随して両腕を広げてくれた。

 うん、意図が伝わってくれてよかった…そうやって両腕を広げた少女達を、片方ずつ片腕で抱き締めて、そのまま立って抱き上げた。

 また二人ともビクッてなったけど、抱き上げちまったらこっちのモンってことで、そのままゆっくりと歩き始めた…うん、もう大丈夫だから…帰ろうな……。


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波
ファンタジー
想いというのは中々厄介なものであろう。 それは人の手には余るものであり、人ならざる者にとってはさらに融通の利かないもの。 それでも、突き進むだけの感情は誰にも止めようがなく… これは、そんな重い想いにいつのまにかつながれていたものの物語である。 ――― 感想・指摘など可能な限り受け付けます。 小説家になろう様でも掲載しております。 興味があれば、ぜひどうぞ!!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

処理中です...