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第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン
#21 行動方針(リーダー無視)
しおりを挟む「あー、そうだ。ちょっと明日のこと話しとこうか」
「なんだよ、何か作戦でもあるのか?」
「いや、作戦ってほどでもないけど、とりあえず俺達の行動方針みたいな感じかな」
「どうすればぁいいのぉ~?」
俺が自由に動けるよう、ある程度皆の行動に指示出しさせてもらおうってことで。
「えーと、まずは…リオ」
「………?…………」
「ドラゴンに変化するのと…火竜魔法は、使わないと切り抜けられないくらいの状況にならない限り、出来るだけ使わないでほしいかな。あと、邪霊魔法使うならこっそり使って」
「………ど、う……して………?……」
「んー…これは俺の我が儘なんだけど……あんまり目立つような事をしたくないってのが一番の理由かな。変に目を付けられたくないんだよね…」
貴族とか国のお偉いさんとか、目付けられると囲われそうな気がして。
何か頼まれたりすると、俺断れる自信が無いんだよ…流されるの得意だし。
「まぁ、いきなりドラゴンなんか現れたらみんな驚くやろうしな…」
「混乱するのも避けたいし、ね」
「……(コクっ……。………分かっ、た…………」
「ありがとうリオ。それから、リオはマールと一緒に組んでほしいんだ」
「私とぉ~?」
「うん。マールとリオには前線での回復支援をお願いしたいんだよ。だから、リオにはマールの護衛も兼ねてほしい」
「………マール、を………守、り…なが、ら………他の…みん、な……を…………助、け…る………?……」
「そうそう、そんな感じで。神聖魔法使えるし、リオの強さならいけるんじゃないかなって…。どう?」
「………(コクコクっ……。……分、かった………マール、は……わた、し………が、守る……よ………」
「んん~っ、リーちゃん~っ、ありがとぉ、よろしくねぇ~っ」
「………(コクっ……。………任、せ……て…………」
うん、こっちのコンビは大丈夫そうだな。
恐らく後方に回復支援部隊みたいなのが配置されるんじゃないかと思ってるけど、リオをそこに配置させるのはなんか勿体無い気がして…強さ的に。
その分前線で走り回ってもらわなきゃだけど、マールもいるし、それ程無茶は出来ないだろうって……いや、でも、マール…なんだよな……スイッチ入ったら無茶しそうな気がしてきた…あれ?俺間違えたか?
「ってかよー、さっきから火竜魔法だの邪霊魔法だの神聖魔法言ってるけどよ…なんの事だよ、それ」
「あれ?あー、俺言ってなかったっけ。リオが持ってるスキルだよ。全部使えるんだって」
「え?全部って…邪霊魔法と神聖魔法も同時に使えるん……?あ、そやった、リオの職種は…特殊やもんな……」
「ふふっ、リーちゃんはぁ~凄いねぇ~。うふふっ」
その上種族も特殊っぽいですからね…。
しかしマールさんや…さっきからずっとリオのこと抱きしめっぱなしですやん…あ、でも、心なしかリオの表情が柔らかくなった気がする。
話して少しは楽になれたのかな…?ま、焦んないでもいいか、ゆっくりリオのペースで気持ちに整理つけてってくれれば。
「で、マールは今言った通りね。ただし、無茶はしないように。リオもその辺気を付けてあげて」
「うん~…分かりましたぁ……」
「………わ、たし……が………いる、か…ら………大丈、夫…………」
「頼りにしてるよ、リオ。それからシータは…」
「ウチは多分マジックユーザーの部隊に組み込まれると思うで?」
「やっぱりそうだよね。じゃあシータはそれでいいとして…後はアーネだよな…。一人になっちゃうから、出来たらシータの護衛とかやってほしいんだけど…」
「そーだなぁ…後方まで来ないとも限らねぇしな。ちと物足りねぇ気もするけど、まぁ、しゃーねーか」
アーネは暴れ回りたい方だから前に出たいんだろうけど、シータだけにするのはちょっと心配だったのと、誰かに不測の事態があって、俺が助けに入る時、出来るだけ分散してて欲しくないってのがあって。
組分けしとけば2箇所で済むし。
「シータの事頼んだよ、アーネ。これで多分俺もそこそこ動き回れるようになると思うから」
「わーったよ、シータは任せとけ。何かあった時はどうすりゃいい?」
「そっか、通信手段ね…何かそういう類いの魔導具とかあったりする?」
「無いことは無いんやけど…持ち運び出来るようなもんやないな……」
「そうなんだ。んーどうしようかな…」
「[ギルドカード:パーティー編成機能をアコとリンク可能。これによりギルドカードによる念話通信が可能]」
「んんっ?アコ、そんなこと出来るのか?」
「[パーティーメンバー全員のギルドカード提示を要求]」
何かアコがやってくれるっぽいけど…なんでそんなこと出来るの?お前…確か分析解説ってスキルじゃなかったっけ…?
「…よく分かんないけど、とりあえずアコの言う通りにしてもらっていい?みんな」
「ええよ。ギルドカード出せばええの?」
そう言ってみんなにギルドカード出してもらった。
テーブルの上に全員分のギルドカードが乗ってる…これでいいのか?アコ。
「[………リンク完了。念話通信可能]」
「何か出来るようになったっぽいけど…どうすりゃいい?念話っていうくらいだから、頭の中で話せばいいのか?」
「ここにはぁ~今ぁ全員いるからぁ~、良くぅ分からないぃよねぇ~」
「じゃあ、一回俺、部屋に戻るよ。そこから話してみる」
自分のギルドカードをテーブルから取り上げて一旦姫達の部屋を後に。
そのまま一階分降りて自分の部屋に戻った後、頭の中でみんなに話し掛けるように念じてみた。
「(あー、聞こえるかー?)」
「(何やこれ、変な感じするな…)」
「(あー、聞こえてるぜ)」
「(こっちからのもぉ~、聞こえてるぅ~?)」
「(おー、聞こえてる聞こえてる、大丈夫そうだな)」
「(………マスター………聞こ、える……?………)」
「(うん、リオのもちゃんと聞こえてるよ)」
「(慣れると便利そうやな、これ)」
「(なぁ、これ、アコも話せるんか?)」
「([可能です])」
「(話せるんだぁねぇ~。じゃぁ~アコちゃんもぉ~、パーティーメンバーだぁ~、ふふっ)」
「([恐縮です])」
「(いやお前俺のスキルだからなっ!?)」
「(まぁいいじゃねぇか、アコのおかげなんだしよ)」
「(せやな、アコはん様様やわ。ところでこれ、どれくらい離れてても大丈夫なん?)」
「([同、時空間座標内であれば距離制限無く通信可能])」
「(同、時空間ってことは…あ、ギルドカード収納したら念話出来なくなるのか)」
「([肯定します])」
「(じゃぁ~、肌身離さずぅ~身に付けてぇないとぉねぇ~)」
「(アーネ、失くすなよ?)」
「(何でアタイだけに言うんだよっ!全員同じだろーがっ!)」
「(いや、一番失くしそうだなーって。動き回るし)」
「(失くさねぇよっ!ったく、そーゆーナオトこそ失くすんじゃねえぞ?収納使えねぇんだからなっ)」
「(分かってるって。まぁみんな気を付けようってことで)」
「(うん~分かったぁ~。これでぇ連絡手段もぉ大丈夫ぅだねぇ~)」
「(そうだな。じゃあ、何かあったらこれで連絡取るってことで。あとは…特に俺からは無いかな)」
「(了解や。ほなみんな、明日はそんな感じで気張っていくで!)」
「(いや、まぁ、気張っていくのはいいんだけどよぉ…もうあれだよな、リーダーナオトにすりゃいんじゃね?)」
「(そうだぁねぇ…こうやってぇ、作戦みたいなぁ指示もぉ~出してるしぃねぇ……)」
「(実はウチも話しててそう思っとったわ…)」
「(あ…な、なんかごめん…出しゃばってシータ無視したみたいになっちゃって……)」
「(別に悪かねぇよ。つーか、マスターだしなぁ)」
「(………うん……マスター……だ、し……)」
「(せやなぁ、マスターやしなぁ~)」
「(そうだねぇ~、マスターだもんねぇ~)」
「(だからマスター違うっての!ホント勘違いしちゃうからヤメてっ!)」
「(…あー、うん、リオ、そこで首傾げててもナオトには分かんねぇからな?これ念話だし)」
「(まぁええか。リオも入ったしパーティー名も変えんとならん思うてたしな。その時にリーダーも変えてまおう)」
「(賛成ぃ~。パーティー名もぉ考えてぇおくねぇ~。うふふっ)」
「(頼むから変なパーティー名にするのだけは止めてね…。リーダーは…まぁ、みんながいいって言うなら、やってもいい…けど……リーダーって柄じゃないと思うんだけどなぁ)」
「(何言ってんだ、ティシャやヒナリィの時だって、リオの時だって結局ナオトの言う通りにしてたじゃねーか、アタイら)」
「(それは…そう、かもだけど……あれ?俺って最初っから偉そうにしてた?もしかして……)」
「(別に偉そうにはしとらんて。ちゃんとウチらの事考えてくれてたんやろ?)」
「(そのつもりではいたけど…)」
「(ならぁ~何もぉ~心配するぅ必要はぁ無いねぇ~)」
「(ま、ナオトのやりたいようにしてくれて構わねぇさ。アタイらだってダメなもんはダメだって、イヤなもんはイヤだってハッキリ言うつもりだしな)」
「(みんながそうしてくれるなら、まぁ大丈夫かな…。とりあえず、明日はそんな感じでよろしく。俺はこのまま部屋にいるから、何か用があったら呼んで。じゃあ念話の確認は終了で)」
…ふぅ、これで明日は何とかなりそうかな。
後は…俺が気合い入れて動くだけだ。
アコ、悪いんだけど明日は全力でサポート頼むわ。
俺の…目標の為に。
[了解しました。アコの名にかけて]
頼もしい返事だな…マジで頼りにしてるからなっ。
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