異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

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第六章 激震、マーリレンス大陸

#01 回想録① 勇者パーティー拡充

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 ───勇者達の修行に付き合い始めて一月程経った。

 その間いろいろとあったんだけど…ホントいろいろあり過ぎてもういっぱいいっぱいだった。

 まずは…こっちの話を。
 あれからすぐリオに乗り全員で精霊王国まで行って(初めて乗った人と数百年振りに乗ったシルファは大はしゃぎだった)、まずはフラムの家へ何故か俺達も含め全員で行く事に…。
 まぁ弘史達も関係ないけどラナの家に来てたし、あんまり気にしなくていいかっていうのと、弘史だから気を遣うだけ損だと思ってそのまま一緒に歓待されることにした。
 フラムの家族も大喜びしてて、ここエルフの国でも漂流者はやっぱり優遇されてるんだなって…でも相手は弘史なんだけど本当にいいのか?と思ったのは内緒で。

 で、フラムの実家で一泊させてもらい、弘史がフラウをガルムドゲルンまで転移で送って戻って来た後、シルファの家、精霊王国宰相の家に皆でご厄介になることに…いきなりお偉い様の所へ行ってもいいのかと思ったけど、精霊王国もかなりオープンで寧ろ歓迎されたほどだった。
 エルフといえば元の世界のイメージでは閉鎖的なところがあると思ってたんだけど、そんなことは全然無くて皆かなりフレンドリーだった…本当にこの大陸、何処に行ってもこんな感じなんだな、と。

 そこで早速勇者達の仲間になってくれるという二人のエルフ、魔弓師マジックアーチャーのブリッズ…ブリッズァイシス・フリッジフォグスとマジックユーザー(精霊魔法エレメトリア)のヴォルド…ヴォルドライング・エレキトロンを紹介された。
 ブリッズは氷霊姓、ヴォルドは雷霊姓らしく、エルフの中では比較的珍しい精霊と契約してるそうだ。
 歳は人種で言うところの攻瑠美、護璃と同じ位らしくて、二人共めちゃくちゃ美少年。
 ブリッズは青みがかった白髪で涼し気な感じ、やっぱり氷だからかクールな印象を受ける。
 ヴォルドは黄色がかった白髪でツンツンした髪形、体格もブリッズよりはがっしりしてて接近戦も得意らしい。

 そんな二人と初めて会った時は…こんな感じだった。




 
―・―・―・―・―・―・―・―






「はい、連れてきたわよー。この二人がクルミとマモリに付いていくから。ほら二人とも、挨拶してっ」

「俺はブリッズァイシス・フリッジフォグス、ブリッズでいいぜ。ま、よろしく頼まぁ!」

「……ヴォルドライング・エレキトロン、ヴォルドでいい。よろしく」

「えっと、ブリッズが氷霊姓でヴォルドが雷霊姓ね。エルフの中ではちょっと珍しい精霊と契約してるんだけど、だからこそ力はそれなりよ。みんなよろしくしてあげてねっ」

「ブリッズにヴォルドねー。ボクは攻盾の勇者で楯攻瑠美、クルミでいいよー、よろしくねっ」

「私は護剣の勇者で御剣護璃です。私もマモリで構いません。よろしくお願いします」

「にゃーはペルーチカマーシャ、見ての通り獣人、猫人族にゃ。ペルでいいにゃー」

「チュチュはチューチュナーデっちゅ。鼠人族っちゅよ。よろしくっちゅ」

 この二人、氷のブリッズが見た目クール系なのにちょっと熱血入ってるみたいで、雷のヴォルドがトゲトゲしくてイケイケな感じなのにクールだった…今代の勇者パーティーは何でこんな見た目に反してるの?攻瑠美も黙っていれば清楚に見えるのにボクっ娘だし、護璃はちょいギャルに見えて真面目丁寧語だし…。
 いや、別に見た目とかで魔王討伐するわけじゃないからいいんだけど、ちょっと気になったというか。
 流石にペルとチュチュはそのまんまだから全員じゃないけど…これで実はペルが鼠でチュチュが猫でしたーとか言ったらもう完全に全員見た目詐欺集団になる気が。

「で、そっちのみんながあなた達の訓練相手になってくれる冒険者パーティーの人達よ」

「『黒惹華』のリーダー、ナオトです。よろしく」

「『雷銃』のリーダー、ヒロシだ。そこの勇者達と縁があってな、面倒見ることになった。ま、よろしくな」

「…なんかよぉ、すっげーキレイどころばっかのパーティーじゃね?なぁヴォルド」

「……否定はしない」

「ま、この二人はハーレムマスターらしいからな、当然っちゃ当然だな。しかもアレだぜ、ナオトはかなりのテクニシャンらしいからなぁ?」

「おいっカインっ!お前もいらんこと言うなよっ!」

「ふむ、そうなのか…。一体どんなテクニックなのか興味があるな」

「お、アベルもそう思うか?なら今度ゆっくり二人でナオトに伝授いただこうぜ?酒でも飲みながらよぉっ」

「いい案だな、漂流者と語らうなど滅多に無い機会だしな」

「俺が教えることなんて何も無いよっ!そういうのは弘史の方が適任だっ!」

「あ?俺は至って普通だっての。お前がヘンなんだよ、二十人以上侍らせといて何もしてねぇお前がな」


『『『二十人……』』』


 パーティーリーダーとして挨拶しただけなのに何で変な方向に話がいくんだ…まぁブリッズの言はもっともだと同意するとして、カイン!そのテクニシャンとか言うの止めてくれないかっ、ホント何もしてないよっ!事故はそれなりにあったかもしれないけど…でもアレは男だったら誰でもそうなるんじゃないかっ、だってあの双丘は漢の浪漫を果てし無く想起させるものだと思うぞ!違うかっ!
 まったくアベル…シルファのもう一人の付き人、アーベルトロイア・ファフレイム、真っ赤な炎髪でキリッとした精悍な顔付きをした真面目そうな奴にまで余計なことを吹き込んでっ…こっちの世界を存分に楽しんでるっていう意味では、俺より弘史の方が間違い無くそっち方面の適任者だと思ってたら、俺の方が変だって…確かにこの人数は俺もおかしいとは思ってるよっ!

「いやだから俺は進んでこうしたわけじゃないんだって!」

「まぁ、ウチらが半分押し掛けたようなもんやしな、ナオのこと気に入って」

「つってもそれを受け入れたのはナオトだぜー?」

「ちゃんとわたし達のこと気に入ってくれてるんですもんねっ!だってあんなに……ウフッ、エヘへヘっ……」

「ラーちゃん~…みんなのぉ前でぇ~しちゃぁいけないぃ顔してるよぉ~……」

「……ラナ………ズル、い………。…私、も……したい、な………マスター……………」

「ちょっ、ラナっ…思い出させないで………って、お前らも何してんのっ?」


「「…………」」


「はぁ!?私達も主としたいって……なんの事だか分かってないだろ、お前らっ!?」

 皆に気に入ってもらえたのは大変光栄というか、未だ奇跡だと思ってる部分もあるんです…こんな可愛い娘達に気に入られて断れる男がどれだけいると?
 ラナもその顔はやめなさいっ、思い出したらまたしたくなるでしょうにっ!それにやっぱりリオも言い出したし…イアとランに至っては絶対分かってないよなこれっ!足元に抱き付いて下から見上げてくるのやめなさいっ、抱っこしたくなるだろっ!

「あ、相変わらずなな、仲がいいです、ね」

「フンッ!なによラナったら…あんな締りのない顔しちゃって……」

「そういうモリーもニヤけているのだがな」

「っ!?にっ、ニヤけてなんかないわよっ!」

「あ?なんだよモリー、やっぱ嬉しかったのかよ?」

「うう、うるさいわねっ、もうっ!うっきーっ!」

 ここに思い出した人がもう一人…。
 そっちもそっちで仲が良さそうで何よりだ。
 まぁこんな感じの2パーティーなんだけど、これからやる事は和気藹々とやるようなものじゃないんだよなぁ…。

「おいおい、こんなんで大丈夫なのか?オレ達の相手なんて務まんのかよ?」

「あぁ?んだよっ、アタイらじゃ相手にならねーとでも言いてぇのかよっ」


「………今の様子を見る限りでは、そうだ」

「まぁ、ボク達もまだ見たことないからねー。どれくらいなのか分かんないや」

「へっ…言うじゃねぇか……。なら早速手合わせといくか?あ?」

「アーネ…少しはマシになったと思うとったけど、やっぱ変わらんなぁ……」

「もぅ~アーちゃんもぉ~、虎人族のぉ血がぁ~ってぇ言い出してもぉ~おかしくぅないねぇ~…」

「はぁっ!?言うかよっ!んなことっ!」

「言わなくてもイーナさんそっくりだって、アーネってば……」

「アーネちゃん、ダイの旦那そっくりだなぁ」

「んなっ!?ヒロシまでっ!?」

「俺達の世界の言葉にな、「この親にしてこの子あり」って言葉があるんだよ。アーネはまさにソレな」

「…流れる血は受け継がれる、ということか」

「ち、血は争えない、です、ね」

「ま、あの二人に育てられたんだから当然の結果よねっ」

「ダーッ!うるせぇーっ!いいからやるならとっととやるぜっ!!」

「そうね、それじゃ早速やってみましょうか。どうしようかしら…庭でもいいけど、この人数だからちゃんとした所でやりましょうか」

「だな、それがいいと思うぜ、お嬢。パーティー戦だしよ」

「では訓練場まで移動しよう。皆付いてきてくれ」

 アーネがブリッズに煽られて早々に訓練開始となった…ダイさん、イーナさん、あなた達の娘はこんなに元気ですよ。
 もうちょっと余裕持っててほしいんだけどな…多分というか、まず間違い無くうちの娘達の方が強いから。
 恐らく同じ称号持ちの弘史のパーティーメンバー達も今の勇者達より上だと思う…マスターの経験値が勝手に入るんだから。

 あれだな、始める前に能力値だけでも確認しておこうかな、どれくらい差があるかでどんだけの力出してやればいいのか把握するためにも。



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