デュアル・ギア!

蒼猫

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プロローグ

セカンド・ギア 2節 鬼は嗤う

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1日5匹、怪物を殺してきた。
5匹目を殺した時には全身血まみれだったが、俺の血は1滴たりともそこには無い。
・・・この1日をどれくらい繰り返してきただろう、いつ終わるのだろう。

ハクという少年は強くなる。
幾度も接するうちに、遂には不完全ながら怪物の心まで読めるようになりはじめた。

急接近すると心が跳ねる────驚愕している。
爪で胴体を切り裂くと心が脈打つ────恐怖している。
もう一撃、蹴りで胴体をぶち抜くと心が・・・読めなくなる────今日の5匹目が終わった。

『怪物の時間』が終わると、その後は好きな物をくれる。
出来うる限りのことをしてくれる。
だけど、外に出してという要望は1度も通ったことは無い。
なんでも、俺が外に出たら危険なんだそうだ。
────ある日、夢を見た。
真っ黒な、漆黒の世界。
そこに白くくり抜かれたかのように、俺が映っていた。
その漆黒の世界に佇む俺は、俺より少し小さい子供と話していた。

『君はいつも、何をしているんだい?』
子供は尋ねる。
「怪物を殺しているんだ。」
それに俺は答える。
『何のために、殺しているの?』
再び問が重ねられる。
「分からない、ただそうしろと言われてるから。」
そう、分からない。
何故この戦いを繰り返しているのかも、殺し続けた先に何があるのかも。
そんなことを考えているとふと、子供が口を開く。
『キミは、今が楽しいかい?』
その問いを投げかけた子供の口調は先程とはかけ離れていて・・・酷く、冷たい声だった。
────楽しいわけがない。
ただ殺して、殺して、殺し続けて。
血の海に身を投じる。
こんなのただの────

────悪夢だ。

そんな俺の心を見透かしたかのように子供は言う。
『僕が、君を連れて行ってあげようか?』
「連れて・・・いく?」
『そうだよ、僕の世界に君を招待しよう。』

意味が分からなかった。
言葉の意味が、ではなくこんなにも喜んでいる自分に・・・だ。
────たかが夢なのに。
やれるものならやってみろ。
────出来るなら・・・連れて行ってほしい。
そう思った、思ってしまった。
そしてまたもその子供は言葉無くして俺を理解した。
『じゃ、決まりだね。眠りから覚めると同時に君は、新しい世界に転生する。』
今までで1番の笑顔で子供は言った。
『それじゃ、いずれ僕のところにたどり着くまで!』
最後のところは聴覚が遠のいて聞き取れなかったが、今はいいだろう。
視界が、黒く染まる。
くり抜かれていた白を、侵食して。
数秒後、視界は完全に黒に────塗りつぶされた。

目が、覚める。
夢を思い出し、辺りを見回す────外だ。
大地がある、空がある。
あぁ、ここが────

「ここが────新しい世界・・・か、」

数年ぶりの開放感に、自由に、鬼は────


嗤った。
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