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第1章・グランカルト
傍観する鬼・刹那の惨劇
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走る、走る、走る。
ただひたすらに獣のような速度で。
だが実際走っているのは白装束の鬼。
「人の気配・・・」
急停止。跳躍して木の上に飛び乗る。
そこから見渡せば複数人の人間が倒れているのが見える。
「あれは・・・?」
その中で黒い布で身を包んだ人間が倒れている人間たちと同じ格好をした人間に囲まれている。
少し様子を見ていると1人の男が黒ローブに斬りかかった。
「な・・・!?」
鬼は驚いた。
斬りかかったにも関わらず吹き飛ばされた男に、ではない。
実力が黒ローブの方が圧倒的に高いというのは見てれば分かる。問題はその実力が見立てより遥かに上回っていたから。
遠くから見ているとはいえ、黒ローブの動きがほとんど見えなかった。
「あいつが・・・あの龍を?」
そんなことを考えてみたが鬼としての勘が違うと告げる。
龍の頭部を消し飛ばす力を持つくらいなら、先程の男など粒子レベルまで粉砕出来るだろうと。
「でも、戦ってみる価値はありそうだな」
動きが視認出来なかった。もしかしたら少し鈍ってるのかもな。
そんなことを考えながら跳躍、一気に目標に接近しようとするが、止める。
変わった服を着た少年が歩み出てきたから。
気楽に、まるで友達のように話しかけている。
「・・・面白そうだな」
鬼は、その少年の行く末を見届けることにした。
〇 〇 〇
「君の攻撃は一切僕には通じない。だから退いてくれないかな?」
それを聞いた黒ローブは僅かに揺れる、が。
退く気は微塵もないらしい。
ローブの間から黒い包帯を巻いた右腕が出てきた。
その手には殺意を具現化したかのような赤黒く、禍々しいナイフを握っている。
攻撃は一切通じない。もちろんブラフだ。
だが真っ赤な嘘ではない。
ただあの力の発動条件が未だに掴めないだけだ。
どーすればいいんだ、踏ん張る?とりあえず踏ん張っとこ。
と、思考通り踏ん張って構えていると目の前に黒ローブが現れた。
否、現れたのではなく移動しただけ。
────文字通り、目にも留まらぬ速さで。
「うっ・・・!!」
咄嗟に目を閉じる。
ヒュッ、という刃物が風を切る音。
そのすぐ後にヒュインッ、という聞きなれない音。
目を開けると、黒ローブの腕が肩から消し飛んでいた。
「・・・・・・!?」
黒ローブがそれを認識し、後ろへ飛び退くと同時に消し飛んだ肩から蛇口が壊れたかのように血が噴出する。
「今だ!行くぞ!」
『 おぉ!!』
後ろで構えていた騎士達が黒ローブに斬りかかる。
だが、黒ローブはどこから取り出したのか、青い輝石を地面に投げつける。
パリンッ、とガラスが割れる音がして、それと同時に黒ローブ足元の地面に模様────魔法陣が浮かび上がる。
「・・・くっ!止まれ、転移術だ!」
リーダー格と思しき男が叫ぶ。
だが、数人は聞こえなかったようでそのまま突撃していく。
魔法陣の光は増していき、ついに転移が発動し黒ローブはその場から消えた。
突撃した騎士達と共に。
いや、正確には魔法陣に入っていなかった部分、鎧の一部や鞘の先。
────服と思しきものを纏った肉塊を遺して。
黒ローブと共に転移した騎士達はきっと今頃身体の一部を失った痛みに絶叫しているだろう。
「・・・クソッ、あいつ、絶対殺してやるっ・・・!」
その騎士達を救えない無力さに、シュルクを含む残った騎士達は歯噛みし、黒ローブへの復讐を誓った。
ただひたすらに獣のような速度で。
だが実際走っているのは白装束の鬼。
「人の気配・・・」
急停止。跳躍して木の上に飛び乗る。
そこから見渡せば複数人の人間が倒れているのが見える。
「あれは・・・?」
その中で黒い布で身を包んだ人間が倒れている人間たちと同じ格好をした人間に囲まれている。
少し様子を見ていると1人の男が黒ローブに斬りかかった。
「な・・・!?」
鬼は驚いた。
斬りかかったにも関わらず吹き飛ばされた男に、ではない。
実力が黒ローブの方が圧倒的に高いというのは見てれば分かる。問題はその実力が見立てより遥かに上回っていたから。
遠くから見ているとはいえ、黒ローブの動きがほとんど見えなかった。
「あいつが・・・あの龍を?」
そんなことを考えてみたが鬼としての勘が違うと告げる。
龍の頭部を消し飛ばす力を持つくらいなら、先程の男など粒子レベルまで粉砕出来るだろうと。
「でも、戦ってみる価値はありそうだな」
動きが視認出来なかった。もしかしたら少し鈍ってるのかもな。
そんなことを考えながら跳躍、一気に目標に接近しようとするが、止める。
変わった服を着た少年が歩み出てきたから。
気楽に、まるで友達のように話しかけている。
「・・・面白そうだな」
鬼は、その少年の行く末を見届けることにした。
〇 〇 〇
「君の攻撃は一切僕には通じない。だから退いてくれないかな?」
それを聞いた黒ローブは僅かに揺れる、が。
退く気は微塵もないらしい。
ローブの間から黒い包帯を巻いた右腕が出てきた。
その手には殺意を具現化したかのような赤黒く、禍々しいナイフを握っている。
攻撃は一切通じない。もちろんブラフだ。
だが真っ赤な嘘ではない。
ただあの力の発動条件が未だに掴めないだけだ。
どーすればいいんだ、踏ん張る?とりあえず踏ん張っとこ。
と、思考通り踏ん張って構えていると目の前に黒ローブが現れた。
否、現れたのではなく移動しただけ。
────文字通り、目にも留まらぬ速さで。
「うっ・・・!!」
咄嗟に目を閉じる。
ヒュッ、という刃物が風を切る音。
そのすぐ後にヒュインッ、という聞きなれない音。
目を開けると、黒ローブの腕が肩から消し飛んでいた。
「・・・・・・!?」
黒ローブがそれを認識し、後ろへ飛び退くと同時に消し飛んだ肩から蛇口が壊れたかのように血が噴出する。
「今だ!行くぞ!」
『 おぉ!!』
後ろで構えていた騎士達が黒ローブに斬りかかる。
だが、黒ローブはどこから取り出したのか、青い輝石を地面に投げつける。
パリンッ、とガラスが割れる音がして、それと同時に黒ローブ足元の地面に模様────魔法陣が浮かび上がる。
「・・・くっ!止まれ、転移術だ!」
リーダー格と思しき男が叫ぶ。
だが、数人は聞こえなかったようでそのまま突撃していく。
魔法陣の光は増していき、ついに転移が発動し黒ローブはその場から消えた。
突撃した騎士達と共に。
いや、正確には魔法陣に入っていなかった部分、鎧の一部や鞘の先。
────服と思しきものを纏った肉塊を遺して。
黒ローブと共に転移した騎士達はきっと今頃身体の一部を失った痛みに絶叫しているだろう。
「・・・クソッ、あいつ、絶対殺してやるっ・・・!」
その騎士達を救えない無力さに、シュルクを含む残った騎士達は歯噛みし、黒ローブへの復讐を誓った。
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