デュアル・ギア!

蒼猫

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第1章・グランカルト

黒の尖兵

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声がかけられた方向を見ると、少年がこちらに走ってくるのが見えた。
鎧を着て、剣を下げている同い年くらいの少年だ。
「大丈・・・ぶふっ!?な、なんだこれ!?」
その少年は、僕の傍らに倒れているドラゴンの死体を見るや、驚愕に目を見開いた。
「こ、これ君がやったのか?」
誰がやったかって聞かれたら僕とは答えれない。
なにせあのドラゴンが自分のブレスで死んだのだから。
今死んでるのはあの少年の反応からしても、相当強い生物なのだろう。
それを何の装備もなしに倒したなどと言えば面倒は必至。
なので本当のことを言っておく。
手早く真実を伝えるなら、当然こうなる。
「目の前に急に出てきて、興奮して触ろうとしたらブレスで自爆しました。」
・・・何とも意味不明で、間抜けな最期だ。
「・・・は?あのドラゴンが自爆・・・?」
あぁ、困ってる困ってる。
「えと、正確にはこっちに吐いてきたブレスが途中で爆発したんです。」
「は!?途中で爆発!?」
あれ、今のは結構状況を細かく伝えれたと思ったんだけどな。
説明された本人は余計に困惑していた。
「え、あ・・・と、とりあえずドラゴンの死体を運ぶために仲間たちを呼んでこよう、付いてきてくれ。」
そう言うと、少年は街へと歩き出した。
・・・これ、絶対面倒な方向行ってるよね、事情とか出身とか聞かれるのかな。
はぁ~あ、めんどいなぁ~。
とりあえず、この世界のことを聞きたいんだけど...流石にそんなこと聞いたら怪しまれるよね。
だから今向かっている街のことを聞こうか。
・・・っと、その前に。
「ねぇ、君の名前、教えてくれません?」
「俺の名前か?」
「とりあえず、お互い名前とか知ってた方がいいかなって思って。」
「あぁ、そうだな。元々騎士達と合流したら、そこん所を聞こうと思ってたから好都合だ。」
「俺の名前はシュルク、シュルク・ハルベルトだ。」
そう名乗り、少年────シュルクはニヤリと笑いこちらを見る。
「どうだ、聞いたことはあるだろ?」
「いや、無いね。」
当然だ、なぜならこの世界で出会った最初の人間は君だもの。
「えぇぇぇぇ!?」
いや、驚かれてもなぁ。
「光剣のシュルクって言えばすっげぇ有名なんだぞ、なんで知らないの!?」
おぉ、なんかかっこいい2つ名が出てきた。
だが知らないものは知らない。
「光剣っていうと、光属性...か?」
「あ・・・いや・・・その・・・、まぁそんなとこだ!」
おい、なんか今怪しかったぞ。
「ま、まぁ気にすんな、お、近いな。」
と、何かコンパスのようなものを見ながらそんなことを言っている。
気になることはまだ未解決だが、それは合流する騎士達とやらに聞けばいいか。
「ここを少し進んだところだ・・・なんだ?動きが少しおかしいな・・・」
「どうかした?」
「あぁ、いや、ちょっとあいつらの様子がおかしいと思ってさ、少し急ごうか。」
そう言って小走りで先を急ぐシュルクについて行くこと2分程度。
少し道の開けたところでは5人の鎧を着込んだ男が、黒ローブを着込んだ人間と対峙していた。
「し、シュルク!逃げろ、街へ戻って救援を呼んでくれ!」
騎士の1人がこちらに気づき、叫ぶ。
「逃げるなんて、出来るかよ!」
だがその叫びを無視してシュルクが黒ローブに向かって剣を抜く。
だがその剣が黒ローブに届く前にシュルクが蹴り飛ばされる。
「ぐぁっ・・・!」
木の幹に体を打ち付け、崩れ落ちるように倒れ込む。
「クソッ、無茶しやがって。」
騎士の1人がそう言ってこちらを見る。
「おいあんた、逃げろ、どういう経緯でここに来たかは知らねえが邪魔だ、どっか行ってくんねぇか。」
別にこのまま普通に街に向かってもいいが、放っておいたらきっとこいつら全員死ぬだろうな。
それに、あの黒ローブがこの場面に遭遇した以上生かしては置けぬ、みたいなこと言うやつだったらあとが怖いし。
なので、立ち向かうことにした。
1歩ずつ、黒ローブに近づく。
「お、おいあんた!死にたいのか!?」
後ろで先程の騎士が叫んでくるが、無視。
僕は今、安心しきっている。
あの黒ローブから、さっきが漏れているから。
黒ローブへ、話しかける。
それはまるで友達のように(実際、友達はいないが)気楽に今から何をしようかと他愛のない話を始めようとするように。
一言。

「君の攻撃は一切僕には通じない。だから退いてくれないかな?」
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