スモールソード

RubrumDragonfly

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旅立ち

最後の狩り

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ムンとする洞窟の独特な湿気に呑まれた。右手には松明を、左手には薬草を持っている。すぐ後ろから長らく狩りとチンピラ払いを共にやってきたソトがついて来る。両手の塞がっているセルムの代わりにレイピアを鞘から抜いて目を光らせている。
「この辺か?」
「そうしようか。」
薬草を比較的濡れていない場所に置き、松明を置いて火を付けた。薬草が燻されて水辺の独特な香りが立ち込めた。
それを見届けるとソトは地上に向かって走り始めた。
当然セルムもそれに続く。松明を置いてきてしまっているので視界は無く、ソトの皮の防具が擦れる音とセルムの斧の柄が軋む音が響くばかりだ。彼らにとっての蔵であるこの洞窟はたとえ灯がなくとも、普段から使う場所なら容易く行き来することができた。
 外に出るとソトは入り口の横に、セルムは正面に陣取った。
今にも刃が落ちそうな斧を担ぎ上げてセルムは言った。
「ここでの狩りがこれで最後だ。死ぬなよ。」
「心配するな。万が一の時もこのレイピアで獲物の頭蓋骨を過貫通して見せるよ。」
先から三分の一程で折れた彼の愛剣を此方に向けた。
「そうだ、俺の王都行きが決まったし餞別に俺の魔法薬セットをやるよ。」
ポーチをソトに投げる。
「餞別は旅立つ人に渡すものだろ。それにこれは村長からの借り物だろう。」
「バレなきゃいいさ。この村はそれ以外何もしてくれなかったからな。何より期限切れだし。それはそうと、俺のアイゼンもやる。前に作ってやったやつよりは多少頑丈なはずだ。」
これも投げた。
「ありがとう。これで村長の娘に求婚できそうだ。」
「おいっ、抜け駆けはダメだぞ。」
すると、洞窟の中から何者かが駆ける振動が伝わってきた。
「来るか。」
「…なんか多くないか?」
「デカい方を俺が先にケリをつける。それまで耐えてくれ。」
ソトが荷物を投げ捨てた。
「まあ、なんとかするさ。」
すると、光る六つの点が洞窟の穴に現れた。
「三頭だと!一番軽い奴を任せる!」
真っ先に飛び出してきたのは熊だった。
それにタイミングを見計らって斧を眉間に落とす。
斧が深々と突き刺さると、熊は崩れ落ち、
勢いそのままに逸れて行った。
その直後、虎ともう一頭の熊が同時に出て来た。
出て来る虎はソトの側から出て来たので、またしても熊を正面に迎えた。
しかし、今度は斧を振り上げられていない。
先程のようには一撃で葬り去ることはできないのだ。
斧を引いて熊の顎に振り上げた。
ふとソトを見ると、見事に洞窟脇の岩の上から奇襲を成功させており、安心しきってしまった。
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