30 / 271
五章
温泉 14
しおりを挟む
軽く汗を流して湯船を出た。
朝風呂だからね。
そんな長居はしない。
別に、気まずかった訳じゃないよ?
ま、仮に昨日食べたのが毒キノコだったとして。
キノコ系はね。
仕方がない。
見分けが難しいのだ。
前世でも、慣れた人が食中毒で運ばれるなんて事は度々あった。
味としては美味しかったし。
俺は被害を受けてないから問題ない。
そういう事で。
おっちゃん?
それは、まぁ……
どんまい。
いや、別にそうと決まった訳じゃないけどね。
キノコで食中毒とか。
ただの俺の妄想でしかない。
本当に湯冷めして体調を崩したのかもしれないし。
そもそも、だ。
初めから朝風呂に入る気なかった説もある。
普通に部屋で熟睡してるパターン。
別に待ち合わせとかした訳じゃないから。
全部、仮定の話だ。
むしろ、女将の裸独り占め出来たし。
結果プラスだったのでは?
いや、ジロジロ見るのは失礼だと言いつつも。
視界の端には入っていた。
当然である。
あれを見るなって方が無理だよね?
男として。
むしろ無礼というもの。
熟れた体。
普段指名するような娼館の嬢よりはだらしがない。
でも、魅力的な。
女を感じるシルエットだ。
何度思わず手が伸びそうになったか。
流石に引っ込めたけど。
普通に他のお客さんも入ってくる時間帯だからね。
受け入れられる可能性は皆無。
無駄に嫌われるだけ。
ビビり?
いいや、違うな。
こういうのは勇気ではなく蛮勇と呼ぶのだ。
風呂から出る際も、ちょっとしたトラブルが。
せっかく下を向いててくれた息子が、いつの間にか上向きに。
それを抑えるのに必死だった。
表情には出さない。
引かれても困るし。
視線も含めバレていた様な気もするけど。
視界の端には入れつつも直接ジロジロ見ないってのと一緒。
表向き、建前は大切だ。
部屋着から着替え、宿を出る。
室内から景色を眺めていてもいいんだが。
大体はそうしているし。
今日は天気が最高だからね。
そういう気分なのだ。
どうせ1人旅。
思うがままに行動するのが吉。
ひんやりした風を感じる。
温泉であったまった体から熱を奪っていく感覚。
髪も半分濡れた様な状態。
もうほぼ水。
頭が冷やされる。
普通だったら冷たいぐらいなのだけど。
その極端な寒暖差が心地いい。
きちんと乾かせと言われそうな物だが。
まぁ、別にいいでしょ。
子供でもあるまい。
どうせ旅先、周りに迷惑を掛けてるならともかく。
これぐらいなら、ね。
湯冷めする?
例のおっちゃんみたいにか。
大丈夫。
俺、チーターだから。
門から繋がる、この街の大通りを進む。
街中の散策は後で。
そもそもまだ朝早いからね。
あまり店も開いてないだろうし。
そのまま街の外へ。
転移して来た時に出た森。
あそこに来た。
ちょっと用があるのだ。
昨日食べた猪もどきを探しに?
あれも気にはなるけど。
そっちではない。
森の中に入り奥へ。
生い茂ってる木々のせいか光もあまり入らない。
人の手が入ってない原生林だ。
どこか鬱蒼としている。
当然まともな山道なんてあるはずもなく。
あって獣道。
まぁ、どちらにしろ目的地まで続いてるものでもない。
道なき道を進む事になる。
歩きにくいったらありゃしない。
雪が深く積もってないだけマシか。
ここで魔物と出会しても面倒だな。
魔眼を起動。
動く魔力を避けながら、さらに進む。
突然、木々が開けた場所に出た。
森を抜けたわけではない。
場所で言えば森の中心部。
そこにぽっかり、10円ハゲ的にとでも言えばいいのか。
木の生えてない場所がある。
それどころか、背の低い草もほとんど生えていない。
禿げ山と言っても差し支えない有様。
別に森林限界ほどの高度はない。
そもそも、ここの山は別に標高とか高くないしね。
山頂に行ったとて。
おそらくはしっかり森の中。
理由は別。
開けた場所の中心。
湯気が昇っているのが見える。
源泉だ。
地下からの噴出物だからね。
有害物質も多いのだろう。
森の中にあってほぼ生物が寄り付かないのだ。
朝風呂だからね。
そんな長居はしない。
別に、気まずかった訳じゃないよ?
ま、仮に昨日食べたのが毒キノコだったとして。
キノコ系はね。
仕方がない。
見分けが難しいのだ。
前世でも、慣れた人が食中毒で運ばれるなんて事は度々あった。
味としては美味しかったし。
俺は被害を受けてないから問題ない。
そういう事で。
おっちゃん?
それは、まぁ……
どんまい。
いや、別にそうと決まった訳じゃないけどね。
キノコで食中毒とか。
ただの俺の妄想でしかない。
本当に湯冷めして体調を崩したのかもしれないし。
そもそも、だ。
初めから朝風呂に入る気なかった説もある。
普通に部屋で熟睡してるパターン。
別に待ち合わせとかした訳じゃないから。
全部、仮定の話だ。
むしろ、女将の裸独り占め出来たし。
結果プラスだったのでは?
いや、ジロジロ見るのは失礼だと言いつつも。
視界の端には入っていた。
当然である。
あれを見るなって方が無理だよね?
男として。
むしろ無礼というもの。
熟れた体。
普段指名するような娼館の嬢よりはだらしがない。
でも、魅力的な。
女を感じるシルエットだ。
何度思わず手が伸びそうになったか。
流石に引っ込めたけど。
普通に他のお客さんも入ってくる時間帯だからね。
受け入れられる可能性は皆無。
無駄に嫌われるだけ。
ビビり?
いいや、違うな。
こういうのは勇気ではなく蛮勇と呼ぶのだ。
風呂から出る際も、ちょっとしたトラブルが。
せっかく下を向いててくれた息子が、いつの間にか上向きに。
それを抑えるのに必死だった。
表情には出さない。
引かれても困るし。
視線も含めバレていた様な気もするけど。
視界の端には入れつつも直接ジロジロ見ないってのと一緒。
表向き、建前は大切だ。
部屋着から着替え、宿を出る。
室内から景色を眺めていてもいいんだが。
大体はそうしているし。
今日は天気が最高だからね。
そういう気分なのだ。
どうせ1人旅。
思うがままに行動するのが吉。
ひんやりした風を感じる。
温泉であったまった体から熱を奪っていく感覚。
髪も半分濡れた様な状態。
もうほぼ水。
頭が冷やされる。
普通だったら冷たいぐらいなのだけど。
その極端な寒暖差が心地いい。
きちんと乾かせと言われそうな物だが。
まぁ、別にいいでしょ。
子供でもあるまい。
どうせ旅先、周りに迷惑を掛けてるならともかく。
これぐらいなら、ね。
湯冷めする?
例のおっちゃんみたいにか。
大丈夫。
俺、チーターだから。
門から繋がる、この街の大通りを進む。
街中の散策は後で。
そもそもまだ朝早いからね。
あまり店も開いてないだろうし。
そのまま街の外へ。
転移して来た時に出た森。
あそこに来た。
ちょっと用があるのだ。
昨日食べた猪もどきを探しに?
あれも気にはなるけど。
そっちではない。
森の中に入り奥へ。
生い茂ってる木々のせいか光もあまり入らない。
人の手が入ってない原生林だ。
どこか鬱蒼としている。
当然まともな山道なんてあるはずもなく。
あって獣道。
まぁ、どちらにしろ目的地まで続いてるものでもない。
道なき道を進む事になる。
歩きにくいったらありゃしない。
雪が深く積もってないだけマシか。
ここで魔物と出会しても面倒だな。
魔眼を起動。
動く魔力を避けながら、さらに進む。
突然、木々が開けた場所に出た。
森を抜けたわけではない。
場所で言えば森の中心部。
そこにぽっかり、10円ハゲ的にとでも言えばいいのか。
木の生えてない場所がある。
それどころか、背の低い草もほとんど生えていない。
禿げ山と言っても差し支えない有様。
別に森林限界ほどの高度はない。
そもそも、ここの山は別に標高とか高くないしね。
山頂に行ったとて。
おそらくはしっかり森の中。
理由は別。
開けた場所の中心。
湯気が昇っているのが見える。
源泉だ。
地下からの噴出物だからね。
有害物質も多いのだろう。
森の中にあってほぼ生物が寄り付かないのだ。
162
あなたにおすすめの小説
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。