ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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十章

生徒 4

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「んっ、んん~~」

 誰に起こされるでもなく、自然と目が覚めた。
 よく寝た。
 気持ちのいい目覚めだ。
 たっぷり寝た実感という物は。
 その事実に関わらず。
 中々、他では得難い満足感を与えてくれる。

 視線の先、ぼーっと天井を見つめる。
 なんとなく視界がボヤける。
 多分、窓から差し込む朝日のせいだろう。
 徐々に光に目が慣れ。
 すると、見慣れない天井。
 俺の家じゃないな。
 行きつけの娼館とかでもなさそう。
 ここ、何処だ?
 ……あ、そっか。
 昨日は王都のホテルに泊まったんだったか。
 そりゃ見覚えも無いはずだ。

 初めて泊まったホテルである。
 半分寝ぼけながら周囲を見渡す。
 昨日見てはいるのだが。
 既に暗かったからね。
 人口の光で照らされるのと、朝日で照らされるのでは。
 かなり印象が少し違う。
 結構豪華な内装。
 それに、部屋自体も広めだ。
 大きな窓から日の光が差し。
 室内を照らしている。
 ってか、あれ?
 これ、朝日って感じじゃ無いな。
 もうお昼頃だったり?

 そこまで夜更かししたつもりはないのだが。
 心当たりがないでもない。
 まぁ、アレだ。
 久々だったからね。
 誤魔化すために変にカッコつけたりもしたし。
 照れてた。
 多分、ノアのツボを刺激していたのだろう。
 部屋に入るなり急に抱きついてきて。
 そのまま。
 ベッドに押し倒されてしまった。

 俺が求められる側なのはノア相手の時ぐらい。
 普段は大体娼婦だし。
 獣っ娘だって奴隷だからね。
 そもそも、俺が買ってる側である。
 受け身に回ることは少ないのだ。
 責めてもらうにしても。
 そうお願いしてやってもらってるだけで。
 ただのプレイ。
 あからさまに劣情を向けられるのとは別だ。

 しかも、時間が空いたのもあってか。
 これまで以上に激しかった。
 盛り上がってしまって。
 ノアが中々寝かせてくれなかった。
 ……ような。
 ちょっとうろ覚えのとこがある。
 あのままだと腹上死しかけてたのでは?
 いや、流石に冗談だけど。
 冗談だよね?
 まるでサキュバス。
 あ、ノアの場合はインキュバスか。
 そこはどっちでも良いけど。
 単に、それぐらい凄かったって話だ。

 思い出しただけでも、淫らな光景だった。
 ただ。
 寝起きで、そんなことを考えているというのに。
 俺の息子は元気がない。
 普段なら理性で自制する所なのだが。
 どうやら、全て搾り取られてしまったらしい。
 もう空っぽである。

 ふと横に視線を向けると、ノアの姿はない。
 昨日は一緒に寝たと思ったんだが。
 最後の記憶。
 軽く靄がかかっているけど。
 確か、生まれたままの姿のノアが抱きついて来て。
 可愛くおやすみのチュウのおねだり。
 さっきまでの貪欲な姿は何処へと思いつつも。
 愛おしさすら感じさせる。
 初々しさと淫乱な姿を併せ持つ。
 まさに、魔性の女って言葉がピッタリな行為。
 俺もしっかり魅了されてしまった。

 先に起きているのだろうか?
 すでに睡眠は十分。
 たっぷり寝て、もう眠くはないのだが。
 かと言って。
 そう直ぐに起きる気にはなれず。
 ベットの上をゴロゴロ。
 ふと、横にあるテーブルが視界に入る。
 そこに紙が置いてあった。

 どうやら置き手紙らしい。
 ノアが書いていったのだろう。
 学園に行って来ます。
 と、最低限のメッセージ。
 なるほど、お仕事か。
 まぁ、そりゃそうだよね。

 別に今日って休日でもなんでもないし。
 自由な俺とは違う。
 ノアは講師って仕事をしているのだ。
 学園の雇われ。
 当然の話ではあるが、急にサボる訳にもいかず。
 特にノアは真面目だからね。
 そんな選択肢初めから無かったのだろう。
 にしても、元気だな。
 昨日あんなにしたのに。
 朝、自力で起きて出勤して行ったって事でしょ?
 俺は昼までぐっすりだったというのに。
 そうか、これが若さか。

 ……いや、俺も前世じゃ社畜やってたし。
 終電で帰って始発で出勤する生活。
 まぁ、耐えきれず過労死した訳だが。
 一応社会人やってる間はそれをやってのけていたのだ。
 30代になっても。
 なら、若さのせいではない?
 異世界に来て、堕落してるだけ説濃厚だな。
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