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3章 アルの里帰り
3-3. ここがアルの実家
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カリラスさんも一緒に、4人+1匹で夕食だ。食べる前の祈りに、本場だ、とひとり感動する。
ブランには、椅子の上に小さな台を置いて、その上に食器が置かれている。カミサマに床で食べさせられなかったのね、僕いつもやってるけど。
アルと出会ったときの話、ダンジョンの話、いまのカリラスさんの仕事の話、アルがお世話になった教会の助祭様たちの今、など話題は尽きない。
食事が終わり落ち着いたところで、アルがカリラスさんに、あの後のことを聞かせてほしい、とお願いした。
即死だった1人以外は、ポーションや治癒魔法で全員助かった。
一番重症だったカリラスさんだけ片手に少し後遺症が残ってしまったが、日常生活には差し障りはない。
アルを買い戻すために、知り合いのいくつかの高ランクパーティーにお願いして、お金の工面は出来ていた。みんな助けたいと思っていた。けれど、お金が工面で来た時にはすでにソント王国へ移動していて、ドガイの奴隷商会を通して連絡を取ったときには、買われた後だった。
失意の中、メンバー全員が冒険者をやめた。カリラスさんも冒険者をやめて、故郷のここタサマラに戻り商売を始めた。
しばらくして、司教様から手紙が来たことを知らされ、ユウという冒険者に買われたと聞いた。自分にもギルドを通して手紙がくるだろうと思っていたのに来ない。そのうち、タゴヤの冒険者から、アイテムボックス持ちとして有名になった冒険者の戦闘奴隷がアレックスという名前らしい。お前の元パーティーメンバーじゃないか?と手紙が来た。アイテムボックス持ちの名前はユウだと聞いて、確信した。
「こんな田舎でも、モクリークで活躍する2人とシルバーウルフのパーティーの話は入ってくる。それを聞くと、アレックスが無事で、世界を見て回るという夢を叶えていると知れて、とても嬉しかったんだ」
そう、カリラスさんは説明してくれた。アルが静かに泣いている。僕はアルの涙を初めて見た。
「なあ、他の奴らのところにも行ってやれよ」
「そうですね、ここであなたに字を教えたシュレム司祭も、タゴヤであなたのことをお願いしたケネス司祭とサリュー助祭も会いたいと思っていますよ。シュレム司祭とケネス司祭はタゴヤの中央教会に、サリュー助祭はタガミハにいます。どちらもダンジョンがありますよ」
「ユウさん、アレックスをタゴヤに行かせてほしい」
「アルが望むなら、僕はどこにでも一緒に行きますよ」
アルはいっぱい愛されてたんだなあと思って、嬉しくなった。アルが気持ちの整理をつけて、会いに行きたいと思えたなら、その時はどこでも行くよ。
まあでも、ブランがダンジョンに反応してるので、行くことになると思う。司教様、分かってて言いましたね。
翌朝、アルと話して、タゴヤに向かうことに決めた。
Sランクが教会に泊まっているという噂が街中に流れているらしいので、早めに出たほうがいいだろう。
うっかり忘れていたけど、この国ではモクリークのような僕たちに手を出したら追放、というような後ろ盾がないのだ。トラブルにこの教会を巻き込んではいけない。
開門前の礼拝堂に入れてもらうと、助祭様たちがお掃除をしていた。
アルがお祈りをしている。今まで熱心な信者という感じはなかったから、きっとここの街、この教会は特別なのだろう。
カリラスさんも来てくれている。昨夜遅くまでアルと二人でゆっくり話していたけど、わざわざ見送りに来てくれたみたいだ。
「また来ようね。ここはアルの実家だね」
「……実家?」
「ここがアルが大切に思う始まりの場所でしょ。だったらここが実家だよ」
「そうですね。実家ですね。だからいつでも帰ってきてください。実家のおとうさんから、2人にプレゼントです」
教会関係者のカードを2枚。Sランクの冒険者カードでは、この先街に入るときに注目を集めてしまうだろうからと、司教様がくれた。
茶目っ気たっぷりの司教様の優しさに、心配りに、僕は感動した。なのにアルは「これで教会に取り込まれる訳ではありませんので」とけん制している。
そうだった、油断ならない狸なんだ、この司教様。でもきっとアルの照れ隠しだな。
アルは、カリラスさんと司教様に、ダンジョンで出た容量の小さいマジックバッグを渡そうとした。けれど、特にカリラスさんが、「これ以上もらえない、俺はお前に助けてもらったんだ」って強硬に反対して、受け取ってくれない。なので、ちょっとだけ助け舟を出す。
「家出して出世した弟から、心配をかけた実家のお父さんとお兄さんへ、和解のプレゼントですよ。貰ってあげてください」
「それは受け取らないといけませんね」
そう言って司教様が受け取ってくれたので、カリラスさんも渋々ながら受け取ってくれた。冗談っぽく言ったけど、それがアルの本心だと思う。
これからは、時々手紙を書くことを約束して、司教様とカリラスさんとハグを終え、教会を出発した。
また会えるから、別れは大袈裟でなくていい。そんな風に思える、優しい旅立ちだった。
目立たずに街を出られるようにと乗せてもらった馬車を、街を出て少し離れたところで降りる。
ここからは、ブランに乗っていこう。と思ったら、ブランがアルを乗せるのを嫌がっている。牙まで見せて嫌がっている。
「ブラン、どうしたの?アルが何かした?」
『俺をペット扱いした!許せるか!!』
「あの大きさで、従魔とは言えないだろう?あの場合仕方なかったんだ。分かるよな?」
『それでもペットは許さん!』
「あー、前に冗談で魔物の素材で首輪作る?って言ったら牙見せてたね」
『俺は神獣だぞ?!』
ブラン様のご機嫌を損ねてしまったようなので、しばらくは徒歩の旅になりそうです。
山登りに入ってやっと、ブランがアルを背に乗せてくれた。
タサマラを出てから、昼は街道を進み、夜は街道脇で野営する。
1日目は僕も歩いていたけど、2日目は朝起きたら筋肉痛だったので、アルによってブランの上に乗せられてしまった。
アルを乗せるのは断固拒否という姿勢は変わらないので、アルの歩きに合わせてブランが僕を乗せて進む。翌日になっても機嫌の直らないブランに少し焦ったけれど、アルのペースに合わせてくれているから、拗ねているだけなんだろう。かわいいなあ。もふもふ。
山登り4日目に入って、ブランは「遅くて付き合っていられない」とアルを乗せてくれた。優しい。ありがとね。
収穫期でもない時期は、山越えする人はあまりいないため、堂々と街道を進んでいる。整備された街道の山道など、ブランにとってはお散歩のようなもので、行こうと思えばその日のうちに次の街のコサリマヤに着けるけど、そこまで急ぐ旅でもないので、のんびりと山越えだ。僕がマイナスイオンだ、森林浴だ、とはしゃいでいたので、殊更ゆっくり進んでくれた。
森を抜ける街道を楽しんで、コサリマヤに着いた。
宿に1泊したいので、ブランには子犬になってもらって、教会関係者のカードで街に入った。お風呂のある宿をとり、温かいお湯で疲れを流す。至福の時だ。
明日からどうするか、アルに聞かれたけど、歩くかブランに乗る以外に何かあるの、と思ったら、ここからタゴヤまで乗合馬車が出ているらしい。
ここからタガミハは、タガミハからタゴヤの3倍。タガミハからタゴヤは、馬車だと急げば1日、ゆっくりだとキノミヤで1泊の距離だ。
歩くのは時間がかかるし、馬車には乗ってみたいけど、乗合馬車はブランが窮屈そうでいやだなあ。
「じゃあ、馬車を借りるか」
「馬車の旅をしてみたい!ブランいい?」
『ああ。俺は飽きたら走ればいいからな。それよりユウは馬車に乗ったことがないのに大丈夫か?』
「ゆっくり走っても揺れる?」
「それなりに。貸切なら、スピードも調節できるし、シラカの街でやめることもできる。ユウだけブランに乗ってもいいし。明日は貸切の馬車を借りて、料理を買おう」
やった。初めての馬車の旅、これぞ異世界って感じがするし、楽しみだ。
翌日、馬車を借りに来た。
アルが、タゴヤまで片道の予定だが、僕が馬車初体験なので場合によってはシラカで取りやめる可能性がある、御者は不要、など条件を伝えている。アルが御者をできるらしい。護衛の依頼で有利になるので習得したそうだ。
馬車と一言で言っても、ひく馬の頭数も1~4頭、後ろの箱?の部分も車輪が2個なのか4個なのか、屋根があったりなかったり、いろいろだ。
走っているのは見たことはあるけど、こんなふうにちゃんと見るのは初めてだ。へえ、ほお、と言いながら見ていたら、アルの甘やかしが発動した。
「ユウ、どの馬車に乗りたい?」
「あれに乗りたい!」
シャーロックホームズに出てきた馬車に似たものを発見したのだ。あれがいい!と勢いよく指さしたものの、それは街中用の馬車だったので却下された。確かにドラマでも街中走ってた。残念。
結局、ホームズの馬車ががっちりした感じの馬車になった。
馬車に合わせて馬は2頭。
街道を走る馬車は、山越えの前に、ここで平地用の馬から山用の馬に交換するので、この街には馬車用の馬が多い。
馬の相性もあるので、2頭ごとのチームから選ぶんだけど、これはブランにお願いした。ブランを怖がっちゃう馬だとダメだしね。
馬車選びが終わって、恒例の屋台のお時間です。
酪農が盛んなタサマラで屋台巡りをできなかったのは残念だったけど、チーズはこちらに送られてきているので、楽しみだ。
コサリマヤも魔物が少ないので、食用の家畜の飼育が盛んだ。
その前に、くれぐれもアイテムボックスがばれないように、マジックバッグの偽装をするように、何度もアルに念押しされた。
ブランの鼻による厳格な選定を潜り抜けたお肉は、美味しかった。周りの迷惑を顧みず買い占めたいほど、美味しかった。チーズを使った料理も、お肉が入ってなくてもブランが選んだくらいに美味しかった。これは、時間がかかってもいいから、たくさん買おう。
「買えるだけ下さい」と注文して、できるのを待つ間に、次のお店に注文して、注文して、注文して、そろそろ出来たかなと引き取りに戻って、と屋台をぐるぐるする。
お昼を過ぎても屋台をぐるぐるして、満足するまで買った。
チーズ屋さんを探して、こちらも大量購入した。
だいぶ目立っていた気がするけど、アルも止めなかったし、明日この街を出発するから大丈夫だよね?
ブランには、椅子の上に小さな台を置いて、その上に食器が置かれている。カミサマに床で食べさせられなかったのね、僕いつもやってるけど。
アルと出会ったときの話、ダンジョンの話、いまのカリラスさんの仕事の話、アルがお世話になった教会の助祭様たちの今、など話題は尽きない。
食事が終わり落ち着いたところで、アルがカリラスさんに、あの後のことを聞かせてほしい、とお願いした。
即死だった1人以外は、ポーションや治癒魔法で全員助かった。
一番重症だったカリラスさんだけ片手に少し後遺症が残ってしまったが、日常生活には差し障りはない。
アルを買い戻すために、知り合いのいくつかの高ランクパーティーにお願いして、お金の工面は出来ていた。みんな助けたいと思っていた。けれど、お金が工面で来た時にはすでにソント王国へ移動していて、ドガイの奴隷商会を通して連絡を取ったときには、買われた後だった。
失意の中、メンバー全員が冒険者をやめた。カリラスさんも冒険者をやめて、故郷のここタサマラに戻り商売を始めた。
しばらくして、司教様から手紙が来たことを知らされ、ユウという冒険者に買われたと聞いた。自分にもギルドを通して手紙がくるだろうと思っていたのに来ない。そのうち、タゴヤの冒険者から、アイテムボックス持ちとして有名になった冒険者の戦闘奴隷がアレックスという名前らしい。お前の元パーティーメンバーじゃないか?と手紙が来た。アイテムボックス持ちの名前はユウだと聞いて、確信した。
「こんな田舎でも、モクリークで活躍する2人とシルバーウルフのパーティーの話は入ってくる。それを聞くと、アレックスが無事で、世界を見て回るという夢を叶えていると知れて、とても嬉しかったんだ」
そう、カリラスさんは説明してくれた。アルが静かに泣いている。僕はアルの涙を初めて見た。
「なあ、他の奴らのところにも行ってやれよ」
「そうですね、ここであなたに字を教えたシュレム司祭も、タゴヤであなたのことをお願いしたケネス司祭とサリュー助祭も会いたいと思っていますよ。シュレム司祭とケネス司祭はタゴヤの中央教会に、サリュー助祭はタガミハにいます。どちらもダンジョンがありますよ」
「ユウさん、アレックスをタゴヤに行かせてほしい」
「アルが望むなら、僕はどこにでも一緒に行きますよ」
アルはいっぱい愛されてたんだなあと思って、嬉しくなった。アルが気持ちの整理をつけて、会いに行きたいと思えたなら、その時はどこでも行くよ。
まあでも、ブランがダンジョンに反応してるので、行くことになると思う。司教様、分かってて言いましたね。
翌朝、アルと話して、タゴヤに向かうことに決めた。
Sランクが教会に泊まっているという噂が街中に流れているらしいので、早めに出たほうがいいだろう。
うっかり忘れていたけど、この国ではモクリークのような僕たちに手を出したら追放、というような後ろ盾がないのだ。トラブルにこの教会を巻き込んではいけない。
開門前の礼拝堂に入れてもらうと、助祭様たちがお掃除をしていた。
アルがお祈りをしている。今まで熱心な信者という感じはなかったから、きっとここの街、この教会は特別なのだろう。
カリラスさんも来てくれている。昨夜遅くまでアルと二人でゆっくり話していたけど、わざわざ見送りに来てくれたみたいだ。
「また来ようね。ここはアルの実家だね」
「……実家?」
「ここがアルが大切に思う始まりの場所でしょ。だったらここが実家だよ」
「そうですね。実家ですね。だからいつでも帰ってきてください。実家のおとうさんから、2人にプレゼントです」
教会関係者のカードを2枚。Sランクの冒険者カードでは、この先街に入るときに注目を集めてしまうだろうからと、司教様がくれた。
茶目っ気たっぷりの司教様の優しさに、心配りに、僕は感動した。なのにアルは「これで教会に取り込まれる訳ではありませんので」とけん制している。
そうだった、油断ならない狸なんだ、この司教様。でもきっとアルの照れ隠しだな。
アルは、カリラスさんと司教様に、ダンジョンで出た容量の小さいマジックバッグを渡そうとした。けれど、特にカリラスさんが、「これ以上もらえない、俺はお前に助けてもらったんだ」って強硬に反対して、受け取ってくれない。なので、ちょっとだけ助け舟を出す。
「家出して出世した弟から、心配をかけた実家のお父さんとお兄さんへ、和解のプレゼントですよ。貰ってあげてください」
「それは受け取らないといけませんね」
そう言って司教様が受け取ってくれたので、カリラスさんも渋々ながら受け取ってくれた。冗談っぽく言ったけど、それがアルの本心だと思う。
これからは、時々手紙を書くことを約束して、司教様とカリラスさんとハグを終え、教会を出発した。
また会えるから、別れは大袈裟でなくていい。そんな風に思える、優しい旅立ちだった。
目立たずに街を出られるようにと乗せてもらった馬車を、街を出て少し離れたところで降りる。
ここからは、ブランに乗っていこう。と思ったら、ブランがアルを乗せるのを嫌がっている。牙まで見せて嫌がっている。
「ブラン、どうしたの?アルが何かした?」
『俺をペット扱いした!許せるか!!』
「あの大きさで、従魔とは言えないだろう?あの場合仕方なかったんだ。分かるよな?」
『それでもペットは許さん!』
「あー、前に冗談で魔物の素材で首輪作る?って言ったら牙見せてたね」
『俺は神獣だぞ?!』
ブラン様のご機嫌を損ねてしまったようなので、しばらくは徒歩の旅になりそうです。
山登りに入ってやっと、ブランがアルを背に乗せてくれた。
タサマラを出てから、昼は街道を進み、夜は街道脇で野営する。
1日目は僕も歩いていたけど、2日目は朝起きたら筋肉痛だったので、アルによってブランの上に乗せられてしまった。
アルを乗せるのは断固拒否という姿勢は変わらないので、アルの歩きに合わせてブランが僕を乗せて進む。翌日になっても機嫌の直らないブランに少し焦ったけれど、アルのペースに合わせてくれているから、拗ねているだけなんだろう。かわいいなあ。もふもふ。
山登り4日目に入って、ブランは「遅くて付き合っていられない」とアルを乗せてくれた。優しい。ありがとね。
収穫期でもない時期は、山越えする人はあまりいないため、堂々と街道を進んでいる。整備された街道の山道など、ブランにとってはお散歩のようなもので、行こうと思えばその日のうちに次の街のコサリマヤに着けるけど、そこまで急ぐ旅でもないので、のんびりと山越えだ。僕がマイナスイオンだ、森林浴だ、とはしゃいでいたので、殊更ゆっくり進んでくれた。
森を抜ける街道を楽しんで、コサリマヤに着いた。
宿に1泊したいので、ブランには子犬になってもらって、教会関係者のカードで街に入った。お風呂のある宿をとり、温かいお湯で疲れを流す。至福の時だ。
明日からどうするか、アルに聞かれたけど、歩くかブランに乗る以外に何かあるの、と思ったら、ここからタゴヤまで乗合馬車が出ているらしい。
ここからタガミハは、タガミハからタゴヤの3倍。タガミハからタゴヤは、馬車だと急げば1日、ゆっくりだとキノミヤで1泊の距離だ。
歩くのは時間がかかるし、馬車には乗ってみたいけど、乗合馬車はブランが窮屈そうでいやだなあ。
「じゃあ、馬車を借りるか」
「馬車の旅をしてみたい!ブランいい?」
『ああ。俺は飽きたら走ればいいからな。それよりユウは馬車に乗ったことがないのに大丈夫か?』
「ゆっくり走っても揺れる?」
「それなりに。貸切なら、スピードも調節できるし、シラカの街でやめることもできる。ユウだけブランに乗ってもいいし。明日は貸切の馬車を借りて、料理を買おう」
やった。初めての馬車の旅、これぞ異世界って感じがするし、楽しみだ。
翌日、馬車を借りに来た。
アルが、タゴヤまで片道の予定だが、僕が馬車初体験なので場合によってはシラカで取りやめる可能性がある、御者は不要、など条件を伝えている。アルが御者をできるらしい。護衛の依頼で有利になるので習得したそうだ。
馬車と一言で言っても、ひく馬の頭数も1~4頭、後ろの箱?の部分も車輪が2個なのか4個なのか、屋根があったりなかったり、いろいろだ。
走っているのは見たことはあるけど、こんなふうにちゃんと見るのは初めてだ。へえ、ほお、と言いながら見ていたら、アルの甘やかしが発動した。
「ユウ、どの馬車に乗りたい?」
「あれに乗りたい!」
シャーロックホームズに出てきた馬車に似たものを発見したのだ。あれがいい!と勢いよく指さしたものの、それは街中用の馬車だったので却下された。確かにドラマでも街中走ってた。残念。
結局、ホームズの馬車ががっちりした感じの馬車になった。
馬車に合わせて馬は2頭。
街道を走る馬車は、山越えの前に、ここで平地用の馬から山用の馬に交換するので、この街には馬車用の馬が多い。
馬の相性もあるので、2頭ごとのチームから選ぶんだけど、これはブランにお願いした。ブランを怖がっちゃう馬だとダメだしね。
馬車選びが終わって、恒例の屋台のお時間です。
酪農が盛んなタサマラで屋台巡りをできなかったのは残念だったけど、チーズはこちらに送られてきているので、楽しみだ。
コサリマヤも魔物が少ないので、食用の家畜の飼育が盛んだ。
その前に、くれぐれもアイテムボックスがばれないように、マジックバッグの偽装をするように、何度もアルに念押しされた。
ブランの鼻による厳格な選定を潜り抜けたお肉は、美味しかった。周りの迷惑を顧みず買い占めたいほど、美味しかった。チーズを使った料理も、お肉が入ってなくてもブランが選んだくらいに美味しかった。これは、時間がかかってもいいから、たくさん買おう。
「買えるだけ下さい」と注文して、できるのを待つ間に、次のお店に注文して、注文して、注文して、そろそろ出来たかなと引き取りに戻って、と屋台をぐるぐるする。
お昼を過ぎても屋台をぐるぐるして、満足するまで買った。
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