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本編
16話・あの日以来の再会(高宮)
―――――――――――――――――――
【開発部の美山です】
【お世話になっております、お仕事お疲れ様です。メールに気づかず返信遅くなり申し訳ございません。
本日18時には仕事を終えれると思いますのでカフェテリア前でお待ちしております。】
―――――――――――――――――――
(え?なんで社内で会うの?この話会社ですんのまずくないか?俺なんか誘い方間違えたか?なんて送ったっけ?でも返信来た、良かったー。メールでも避けられたらさすがに落ち込むしもう事務所行くしかないと思ってたもんな。って、いいのか?社内で二人になるのいいわけ?いや、そもそも仕事後にプライベートで会う気がないってだけか?あ、そっちか。絶対そうだわ、会うのも嫌だけど仕方ないから仕事の延長で会おうっていうことか。なるほど納得できる。俺だって会いたくないやつにプライベートの時間割きたいって思わないし。一応定時後のカフェエリアに人なんか全然いないしな、なるほど、会える、納得)
届いていたメールを見て一瞬テンパったが、一気に頭の中で落とし所を見つけようとして勝手に納得させた。
定時が過ぎてからは時計ばかり気にして仕事をして、18時になる前にカフェテリアに足を運んだが彼女はまだ来ていなかった。17時でカフェは閉まるのでそのエリアに腰掛けてしばし待つ。定時後に人はほぼいない。二人で話していても特に目立つ気はしなかった。
(――落ち着かない)
珍しく緊張している自分がいる。それに内心驚いている。
(まずは半月ほどもなにもアクションを起こさなかったことを謝るにして……あの日どうして家に帰れたのかを聞いて……その後のことを許してもらえるように謝って……いや、謝る?なにを謝る?謝るにしてもなにに対して謝るんだ?謝るけど!謝るんだけどっ……「高宮さん」
声にハッとした。
脳内シュミレーションに夢中になっていて声をかけられるまで気づけなかった。
「あ、お疲れ様です」
「……お疲れ様です。遅くなって申し訳ありません」
時計は18時5分を過ぎたところで別になにも遅くはない。
「全然、むしろ忙しいのにお時間取らせてすみません。えっと、なんか飲みます?」
そう聞くと「お気遣いなく」と断られた。
「いや、俺も飲むんで、なんか奢らせて下さい」
正直喉がカラカラだった。
彼女は遠慮していたけれど、半ば強引な俺の誘いに渋々頷いてくれて彼女はミルクティーを頼んだ。お互い無言で一口飲んでから、彼女の気持ちや時間を思うと長居するのは酷だろうと判断して声を上げた。
「今日お呼びたてしたことですが。とりあえず、単刀直入にいいます」
「……はい」
「俺、あの日の記憶半分くらいないんです」
そう言ったら彼女の目が大きく見開かれて驚いた声で言う。
「え?」
「ほんとすみません。情けないんですけど、未だに記憶戻らなくて……ぶっちゃけ自分ではもう戻らないと思います。なんで、あの日のこともう少ししっかり知りたくて、その――」
言いにくそうに俯く俺に彼女がジッと見つめているのがわかる。
(くそ……情けないな、俺)
「そうしないと……美山さんに失礼なんで。教えてもらえないですか?あの日何があったか。お願いします」
そう言って頭を下げた。
「――あの、全然覚えていないんですか?」
「いや、全部ってことはないです。飲み会もなんとなく覚えてるし、それこそセッ――」
彼女が言いかけた俺の言葉に目を見開く。
「……すみません」
「……いえ」
(超絶気まずい間)
「えー……っと、店から家までの記憶と、その……それに至るまでの状況というか、事情?が、ありません」
「……そう、なんですか」
どこか拍子抜けしたような困惑したような複雑な表情を見せて彼女は頷いた。
「わかりました」
顔を上げてまっすぐ見つめながら彼女は口を開いた。
「あの日、家までお送りしたのは私です」
彼女もまた意を決したように話し始めてくれた。
【開発部の美山です】
【お世話になっております、お仕事お疲れ様です。メールに気づかず返信遅くなり申し訳ございません。
本日18時には仕事を終えれると思いますのでカフェテリア前でお待ちしております。】
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(え?なんで社内で会うの?この話会社ですんのまずくないか?俺なんか誘い方間違えたか?なんて送ったっけ?でも返信来た、良かったー。メールでも避けられたらさすがに落ち込むしもう事務所行くしかないと思ってたもんな。って、いいのか?社内で二人になるのいいわけ?いや、そもそも仕事後にプライベートで会う気がないってだけか?あ、そっちか。絶対そうだわ、会うのも嫌だけど仕方ないから仕事の延長で会おうっていうことか。なるほど納得できる。俺だって会いたくないやつにプライベートの時間割きたいって思わないし。一応定時後のカフェエリアに人なんか全然いないしな、なるほど、会える、納得)
届いていたメールを見て一瞬テンパったが、一気に頭の中で落とし所を見つけようとして勝手に納得させた。
定時が過ぎてからは時計ばかり気にして仕事をして、18時になる前にカフェテリアに足を運んだが彼女はまだ来ていなかった。17時でカフェは閉まるのでそのエリアに腰掛けてしばし待つ。定時後に人はほぼいない。二人で話していても特に目立つ気はしなかった。
(――落ち着かない)
珍しく緊張している自分がいる。それに内心驚いている。
(まずは半月ほどもなにもアクションを起こさなかったことを謝るにして……あの日どうして家に帰れたのかを聞いて……その後のことを許してもらえるように謝って……いや、謝る?なにを謝る?謝るにしてもなにに対して謝るんだ?謝るけど!謝るんだけどっ……「高宮さん」
声にハッとした。
脳内シュミレーションに夢中になっていて声をかけられるまで気づけなかった。
「あ、お疲れ様です」
「……お疲れ様です。遅くなって申し訳ありません」
時計は18時5分を過ぎたところで別になにも遅くはない。
「全然、むしろ忙しいのにお時間取らせてすみません。えっと、なんか飲みます?」
そう聞くと「お気遣いなく」と断られた。
「いや、俺も飲むんで、なんか奢らせて下さい」
正直喉がカラカラだった。
彼女は遠慮していたけれど、半ば強引な俺の誘いに渋々頷いてくれて彼女はミルクティーを頼んだ。お互い無言で一口飲んでから、彼女の気持ちや時間を思うと長居するのは酷だろうと判断して声を上げた。
「今日お呼びたてしたことですが。とりあえず、単刀直入にいいます」
「……はい」
「俺、あの日の記憶半分くらいないんです」
そう言ったら彼女の目が大きく見開かれて驚いた声で言う。
「え?」
「ほんとすみません。情けないんですけど、未だに記憶戻らなくて……ぶっちゃけ自分ではもう戻らないと思います。なんで、あの日のこともう少ししっかり知りたくて、その――」
言いにくそうに俯く俺に彼女がジッと見つめているのがわかる。
(くそ……情けないな、俺)
「そうしないと……美山さんに失礼なんで。教えてもらえないですか?あの日何があったか。お願いします」
そう言って頭を下げた。
「――あの、全然覚えていないんですか?」
「いや、全部ってことはないです。飲み会もなんとなく覚えてるし、それこそセッ――」
彼女が言いかけた俺の言葉に目を見開く。
「……すみません」
「……いえ」
(超絶気まずい間)
「えー……っと、店から家までの記憶と、その……それに至るまでの状況というか、事情?が、ありません」
「……そう、なんですか」
どこか拍子抜けしたような困惑したような複雑な表情を見せて彼女は頷いた。
「わかりました」
顔を上げてまっすぐ見つめながら彼女は口を開いた。
「あの日、家までお送りしたのは私です」
彼女もまた意を決したように話し始めてくれた。
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