106 / 145
続編/高宮過去編
3
しおりを挟む
珍しく乱暴に物を扱う彼。フォークがお皿に置かれただけだけれど、その置き方は明らかに感情をぶつけた様な扱い方だった。そんな行動も初めてで音よりもその行動に驚いた。
「燈子さん、もうちょっとやめよう。しんどい、ごめん。話すのしんどい」
「駿くん……」
はぁー、と、深いため息を吐いて頭を抱える彼の姿は単純に胸が痛んだ。私は彼の心の奥に踏み込み過ぎているのかもしれない。
言いたくないことを言わせたいわけじゃない。でも、どうしても放っておけなかった。
「駿くん、ごめんね。私、知りたくて……でもしんどい思いをさせてまで聞こうなんて思ってないんだよ?……だから……「違う」
抱えていた手で髪の毛をくしゃりとかきあげて本当にしんどうそうな苦しそうな顔でホットケーキを見つめている。
「ごめん、なんかめんどくさくなってきた」
「え?」
「ちょっとタバコ吸ってきていい?」
彼がタバコを吸いたいときは息を抜きたいとき、気持ちを切り替えたいときや考え事があるとき、だからもう今は話したくないんだろう。
「うん……」
そういう彼を止めるなんかできない。
私が思っている以上にどうやら彼が家族へ抱いている感情は重いものなのかもしれない。言い方や話す感じはいたって軽い。その軽い感じが余計に心配でもあった。
オンの時にはキャパも広そうで気軽に仕事ややり取りに応えている風に見えていたけれど実際オフの時のめんどくさがりなこと。キャパが思っているより狭かった。
(避けたい……って感じ)
会いたくないはそうなんだろうけど、向き合いたくない、そんな風に感じた。
「めんどくさくなってきた」
その言葉の意味はそういうことなのではないか、そう思った。
彼と暮らしだして分かったことのひとつ、彼は自分の気持ちに向き合うのがとてつもなく苦手そうなのだ。
私にはもう身寄りもないし今後自分の行く末を誰かに相談したくても話ができる人が単純にいない。親戚はいるけれどそこはもうほとんど疎遠だ。身内らしい身内はいない。
だからこそ彼の家族は私の一番近しい身内になる。私の勝手な気持ちかもしれないが無視できない。そしてもし、本当にただすれ違ってしまっているだけの関係ならわかり合ってほしい、そんな厚かましい思いまで抱いている。
私は家族になれるけど、血を分け合った家族には絶対になれないんだから。
その繋がりのある人たちとすれ違ったままでいてほしくない。
「燈子さん、もうちょっとやめよう。しんどい、ごめん。話すのしんどい」
「駿くん……」
はぁー、と、深いため息を吐いて頭を抱える彼の姿は単純に胸が痛んだ。私は彼の心の奥に踏み込み過ぎているのかもしれない。
言いたくないことを言わせたいわけじゃない。でも、どうしても放っておけなかった。
「駿くん、ごめんね。私、知りたくて……でもしんどい思いをさせてまで聞こうなんて思ってないんだよ?……だから……「違う」
抱えていた手で髪の毛をくしゃりとかきあげて本当にしんどうそうな苦しそうな顔でホットケーキを見つめている。
「ごめん、なんかめんどくさくなってきた」
「え?」
「ちょっとタバコ吸ってきていい?」
彼がタバコを吸いたいときは息を抜きたいとき、気持ちを切り替えたいときや考え事があるとき、だからもう今は話したくないんだろう。
「うん……」
そういう彼を止めるなんかできない。
私が思っている以上にどうやら彼が家族へ抱いている感情は重いものなのかもしれない。言い方や話す感じはいたって軽い。その軽い感じが余計に心配でもあった。
オンの時にはキャパも広そうで気軽に仕事ややり取りに応えている風に見えていたけれど実際オフの時のめんどくさがりなこと。キャパが思っているより狭かった。
(避けたい……って感じ)
会いたくないはそうなんだろうけど、向き合いたくない、そんな風に感じた。
「めんどくさくなってきた」
その言葉の意味はそういうことなのではないか、そう思った。
彼と暮らしだして分かったことのひとつ、彼は自分の気持ちに向き合うのがとてつもなく苦手そうなのだ。
私にはもう身寄りもないし今後自分の行く末を誰かに相談したくても話ができる人が単純にいない。親戚はいるけれどそこはもうほとんど疎遠だ。身内らしい身内はいない。
だからこそ彼の家族は私の一番近しい身内になる。私の勝手な気持ちかもしれないが無視できない。そしてもし、本当にただすれ違ってしまっているだけの関係ならわかり合ってほしい、そんな厚かましい思いまで抱いている。
私は家族になれるけど、血を分け合った家族には絶対になれないんだから。
その繋がりのある人たちとすれ違ったままでいてほしくない。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる