あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

sae

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続編/高宮過去編

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 珍しく乱暴に物を扱う彼。フォークがお皿に置かれただけだけれど、その置き方は明らかに感情をぶつけた様な扱い方だった。そんな行動も初めてで音よりもその行動に驚いた。


「燈子さん、もうちょっとやめよう。しんどい、ごめん。話すのしんどい」
「駿くん……」
 はぁー、と、深いため息を吐いて頭を抱える彼の姿は単純に胸が痛んだ。私は彼の心の奥に踏み込み過ぎているのかもしれない。


 言いたくないことを言わせたいわけじゃない。でも、どうしても放っておけなかった。


「駿くん、ごめんね。私、知りたくて……でもしんどい思いをさせてまで聞こうなんて思ってないんだよ?……だから……「違う」
 抱えていた手で髪の毛をくしゃりとかきあげて本当にしんどうそうな苦しそうな顔でホットケーキを見つめている。


「ごめん、なんかめんどくさくなってきた」
「え?」
「ちょっとタバコ吸ってきていい?」
 彼がタバコを吸いたいときは息を抜きたいとき、気持ちを切り替えたいときや考え事があるとき、だからもう今は話したくないんだろう。


「うん……」
 そういう彼を止めるなんかできない。
 私が思っている以上にどうやら彼が家族へ抱いている感情は重いものなのかもしれない。言い方や話す感じはいたって軽い。その軽い感じが余計に心配でもあった。
 オンの時にはキャパも広そうで気軽に仕事ややり取りに応えている風に見えていたけれど実際オフの時のめんどくさがりなこと。キャパが思っているより狭かった。


(避けたい……って感じ)


 会いたくないはそうなんだろうけど、向き合いたくない、そんな風に感じた。


「めんどくさくなってきた」
 その言葉の意味はそういうことなのではないか、そう思った。


 彼と暮らしだして分かったことのひとつ、彼は自分の気持ちに向き合うのがとてつもなく苦手そうなのだ。


 私にはもう身寄りもないし今後自分の行く末を誰かに相談したくても話ができる人が単純にいない。親戚はいるけれどそこはもうほとんど疎遠だ。身内らしい身内はいない。
 だからこそ彼の家族は私の一番近しい身内になる。私の勝手な気持ちかもしれないが無視できない。そしてもし、本当にただすれ違ってしまっているだけの関係ならわかり合ってほしい、そんな厚かましい思いまで抱いている。


 私は家族になれるけど、血を分け合った家族には絶対になれないんだから。
 その繋がりのある人たちとすれ違ったままでいてほしくない。

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