あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/高宮過去編

夢の中の声は(高宮)―1

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 正直もうお腹いっぱいだ。毎食聞かれる家族の話はうんざりもこえて疲労感ハンパなかった。


(深夜残業が毎日続く方が楽かも)


 向き合ってこなかったから頭や体が慣れていない。あの人たちのことを思い出そうとすると靄がかかったようになるから余計神経を使う。
 記憶を探さないと話せない、それくらい俺にとっては深い心の奥に隠した気持ちだったのだと彼女に話すことで知らしめられている。


(しんどー、結婚するってしんどー)


 世の中の結婚している諸君、君たちはすごい。その賛辞を今も目の前の既婚者に捧げている。


「なんかお前顔色悪くない?」
「ストレスかな……」
「もしかしてまだ渋ってんの?」
「しつこいもん、彼女」
「いや、お前もな」
 久世に言われてそれは否定できないかもしれないと思っていた。


「まぁもう親の同意なんかなくても結婚って出来るしなー。届の証人だって親の必要はないし勝手にルールと思い込んでるだけで高宮が言うように何の意味があるのかとか突っ込みだしたら意味なんかないしな」
「だろー?意味ないことする意味こそないじゃん。したいのは彼女だけなんだよ」
「でもそれって一番聞いてやりたい相手じゃないの?」
 おかしそうに笑われてまた否定できない。


「他のことなら何でも聞くのにな……」
「ちゃんと聞いた?」
「なにを?」
「なんでそんなに彼女が親に合うのにこだわってるか。千夏もさ、結婚式するって話になったとき、あいつ自分のためじゃなくて自分と俺の親のためにしたいって言いだしたんだよなー。家族のためにしたいってわけわからんくない?」
「……意味不明」
 真面目につぶやいたら久世が笑った。


「いやそう、聞いた瞬間なんで自分がしたくてしないんだよって。俺はあいつが望むならしたらいいって思ってたのにさ、親のためにするってなんだよって。でもそれがあいつの希望なら仕方ないじゃん」
「そんで家族婚になったんだ?お前らって」
 久世が頷く。


「なに本音に思ってるか聞いてみないとわかんないんじゃない?逃げてても聞くのはできるだろ?」


「駿はお兄ちゃんだから平気だよね」
 幼少期の母親の声で一番記憶にある言葉はこれ。


「駿は一人でも大丈夫よ」
 思春期の頃だとこれかな。


「駿にとって私はもう母親としてなんの役にもたたないでしょ」
 高校受験前、母親が言ったセリフは確かこんな感じだった。

 そんな懐かしい声が響いたせいなんだ……いつもと違う朝がやってきたのは。

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