40 / 71
第40話、快楽の渦の中☆
しおりを挟む
可愛い? え? 今白鹿さんはなんて言った? 私のことをもしかしなくても可愛いと、そう言ったの?
「な、にっ……」
「みゅーちゃんの香りがさ……どんどん濃くなる。いつもよりもっと……」
そう言いながら首筋に顔を埋めて、耳裏にくちびるを這わせて熱い息とともにこぼした。
「あっ……まっ、て……」
白鹿さんの手がやわやわと胸を包むと勝手に腰が揺れてしまった。待っては、何を待ってと言うんだ。自分の放つ言葉の意味が全くわからない。
可愛いと、白鹿さんの言った言葉の真意なんかわからないのに、それはただ単に男の人が自分の手で善がる姿を見て喜んでるだけ? きっとそうなんでしょ? それくらいわかる、わかってる……ただ私が白鹿さんの手に翻弄されてるのを見て面白がって揶揄ってるんでしょ?
わかるのに……。
「あんっ……」
「気持ちいいんだ? 可愛いね」
可愛いなんて……やめて。そんな言葉をそんな甘い声で耳奥に響かせてこないで。この状況でそんな言葉……真正面から受け止めてしまう。
「は、ぁっ……」
「……下も触っていい?」
「……っ」
「こんな状態で眠れるわけないでしょ? 覚悟決めてよ」
ええ!? 覚悟って!
「触るね?」
「まっ……! 白鹿さぁんっ!」
直接じゃない、ここでもやっぱり下着の上から。ウエストゴムを撫でながら、骨盤あたりに手のひらが降りてくる。下腹部の疼く部分を熱が這う。どうしよう、待って、止まって! そんな気持ちは溢れるのに私は白鹿さんの手を止めることができない。
「ん、ぁっ……」
こぼれ落ちる甘い声に白鹿さんはクスリと首筋で笑ってそのくちびるを肌に沿わせた。
「あっ!」
「我慢しなくていいよ」
チュッと軽く触れたと思ったら首筋裏に吸い付くようにチュゥゥッと吸いつかれてまた身体が跳ねる。逃げるように身体を沿わせたって下腹部を抑えるように包む白鹿さんの手が逃がしてくれるわけがない。
「ちゃんと気持ちよくなろうね?」
「あ、ぁっ……んぁっ!」
クロッチ部分に触れてくる指先が、敏感になる部分を優しく撫でる。探るみたいに指先で刺激を与え続けて指先でショーツの中央を浅くなぞるだけ。擦るでも、押し込むでもなく、ただ存在をなぞられる。それだけなのに、それだけが身体をどんどん火照らせて、奥から熱を放たせてくる。
「は、ぁんっ……まってぇ……」
こういう行為は久しぶりなのだ。性欲などずっと感じることなんかなく暮らしていたのに……。
――相性は体臭でもわかるっていうだろ? 女性は遺伝子レベルで免疫力の強い、より良い遺伝子を持つ子孫を残すようにインプットされているって聞くけどね。男よりもよっぽど本能レベルが高くて嗅覚や感覚が優れてるって。
白鹿さんがそんな理論を述べていた。私は白鹿さんみたいに特異的な体質でもなんでもない。匂いの好みももちろんあるけれど、人に対して分別できるほど意識が高いわけじゃないんだ。でも……。
白鹿さんの身体から放たれる香りは確かにある。それはかすかに探さないといけないような、空気に馴染むような肌の香り。でもこんなに密着していたら嫌でも感じる。白鹿さんの香りを。そしてその香りは私にとっても……。
「ぁっ……んんっ」
「ショーツ上からでもわかるくらい濡れてる。気持ちいいんだ?」
「ふ、ぁ……」
「ちゃんと感じてるの、ここでもわかる」
そう囁く声が耳をくすぐるのと同時に、布越しにくちゅ、と音を立てた指先がそこをなぞった。
「や……だめ……っ、変になっちゃう……!」
「なっていいよ」
「無理ぃ! そんな……だめっ!」
「そのまま、逃げないで……」
「ふ、あぁ……っ、あっ……あっ、ん、っ、く……!」
「……イきそう?」
「だ、め、や、やぁ……っ」
「大丈夫、俺の手から離れないで」
離れられるわけがない。白鹿さんは私を離そうとしないじゃないか。
こみ上がってくるものがある。怖さと同時に解放したいくらい苦しい感覚……その歯痒さのなかで私は背後から見つめる白鹿さんをなけなしの思いで見上げてはしたない声を上げた。
「っ、あーっ!」
はぁはぁと、激しく息が乱れている。張り詰めていた肩の力が抜けて、白鹿さんの腕の中に沈み込むように身体を預けた。
「……ぁ……」
身体を撫でる指の温度、背中を抱く腕のぬくもりにふわっと意識が遠のいていく。恥ずかしいのに、安心する。触れられてされるがままの私。
(こんなの……どうしよう)
遠のいていく意識の中、呼吸がゆっくりと落ち着きだして、私はそのまま眠りの底に落ちていった。
「な、にっ……」
「みゅーちゃんの香りがさ……どんどん濃くなる。いつもよりもっと……」
そう言いながら首筋に顔を埋めて、耳裏にくちびるを這わせて熱い息とともにこぼした。
「あっ……まっ、て……」
白鹿さんの手がやわやわと胸を包むと勝手に腰が揺れてしまった。待っては、何を待ってと言うんだ。自分の放つ言葉の意味が全くわからない。
可愛いと、白鹿さんの言った言葉の真意なんかわからないのに、それはただ単に男の人が自分の手で善がる姿を見て喜んでるだけ? きっとそうなんでしょ? それくらいわかる、わかってる……ただ私が白鹿さんの手に翻弄されてるのを見て面白がって揶揄ってるんでしょ?
わかるのに……。
「あんっ……」
「気持ちいいんだ? 可愛いね」
可愛いなんて……やめて。そんな言葉をそんな甘い声で耳奥に響かせてこないで。この状況でそんな言葉……真正面から受け止めてしまう。
「は、ぁっ……」
「……下も触っていい?」
「……っ」
「こんな状態で眠れるわけないでしょ? 覚悟決めてよ」
ええ!? 覚悟って!
「触るね?」
「まっ……! 白鹿さぁんっ!」
直接じゃない、ここでもやっぱり下着の上から。ウエストゴムを撫でながら、骨盤あたりに手のひらが降りてくる。下腹部の疼く部分を熱が這う。どうしよう、待って、止まって! そんな気持ちは溢れるのに私は白鹿さんの手を止めることができない。
「ん、ぁっ……」
こぼれ落ちる甘い声に白鹿さんはクスリと首筋で笑ってそのくちびるを肌に沿わせた。
「あっ!」
「我慢しなくていいよ」
チュッと軽く触れたと思ったら首筋裏に吸い付くようにチュゥゥッと吸いつかれてまた身体が跳ねる。逃げるように身体を沿わせたって下腹部を抑えるように包む白鹿さんの手が逃がしてくれるわけがない。
「ちゃんと気持ちよくなろうね?」
「あ、ぁっ……んぁっ!」
クロッチ部分に触れてくる指先が、敏感になる部分を優しく撫でる。探るみたいに指先で刺激を与え続けて指先でショーツの中央を浅くなぞるだけ。擦るでも、押し込むでもなく、ただ存在をなぞられる。それだけなのに、それだけが身体をどんどん火照らせて、奥から熱を放たせてくる。
「は、ぁんっ……まってぇ……」
こういう行為は久しぶりなのだ。性欲などずっと感じることなんかなく暮らしていたのに……。
――相性は体臭でもわかるっていうだろ? 女性は遺伝子レベルで免疫力の強い、より良い遺伝子を持つ子孫を残すようにインプットされているって聞くけどね。男よりもよっぽど本能レベルが高くて嗅覚や感覚が優れてるって。
白鹿さんがそんな理論を述べていた。私は白鹿さんみたいに特異的な体質でもなんでもない。匂いの好みももちろんあるけれど、人に対して分別できるほど意識が高いわけじゃないんだ。でも……。
白鹿さんの身体から放たれる香りは確かにある。それはかすかに探さないといけないような、空気に馴染むような肌の香り。でもこんなに密着していたら嫌でも感じる。白鹿さんの香りを。そしてその香りは私にとっても……。
「ぁっ……んんっ」
「ショーツ上からでもわかるくらい濡れてる。気持ちいいんだ?」
「ふ、ぁ……」
「ちゃんと感じてるの、ここでもわかる」
そう囁く声が耳をくすぐるのと同時に、布越しにくちゅ、と音を立てた指先がそこをなぞった。
「や……だめ……っ、変になっちゃう……!」
「なっていいよ」
「無理ぃ! そんな……だめっ!」
「そのまま、逃げないで……」
「ふ、あぁ……っ、あっ……あっ、ん、っ、く……!」
「……イきそう?」
「だ、め、や、やぁ……っ」
「大丈夫、俺の手から離れないで」
離れられるわけがない。白鹿さんは私を離そうとしないじゃないか。
こみ上がってくるものがある。怖さと同時に解放したいくらい苦しい感覚……その歯痒さのなかで私は背後から見つめる白鹿さんをなけなしの思いで見上げてはしたない声を上げた。
「っ、あーっ!」
はぁはぁと、激しく息が乱れている。張り詰めていた肩の力が抜けて、白鹿さんの腕の中に沈み込むように身体を預けた。
「……ぁ……」
身体を撫でる指の温度、背中を抱く腕のぬくもりにふわっと意識が遠のいていく。恥ずかしいのに、安心する。触れられてされるがままの私。
(こんなの……どうしよう)
遠のいていく意識の中、呼吸がゆっくりと落ち着きだして、私はそのまま眠りの底に落ちていった。
67
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました
藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。
そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。
ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。
その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。
仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。
会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。
これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」
(三度目はないからっ!)
──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない!
「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」
倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。
ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。
それで彼との関係は終わったと思っていたのに!?
エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。
客室乗務員(CA)倉木莉桜
×
五十里重工(取締役部長)五十里武尊
『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる