夢の中にいさせて~今日からイケメンと添い寝生活始めます!~

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第48話、願う気持ち

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 意識にはないが心の奥底にある願望や欲求を夢に見て表すことがあるという。夢の中でそれは象徴的な形で表されることがあるらしく、好きな人から告白される夢はまさに「願望夢」というらしい。好きな人と両思いになりたいという気持ちが強く表れているサイン……つまりはそれが私の願う気持ちなのか。

「はぁぁぁ」

 受付嬢にはふさわしくない派手なため息を吐いてしまい美登里先輩に肘鉄を食らった。

「いた」
「もうお昼休みも終わりです。受付に座ったのなら笑顔笑顔!」
「はぁい……すみません」

 未熟な私ですみません。

「なにかあったの? 恋の悩み?」
「こい……」

 美登里先輩の言葉を反芻させてあれやこれやを思い返していたら無意識に赤面してしまった。

「やだぁ、図星」
「ちち、違います!」
「違うんだ?」
「ちっ! 違わないけどっ!」
「違うんだ?」
「……っ! 美登里先輩ぃ、虐めないでくださいぃ……」

 半泣きの私の言葉に美登里先輩は「うふふ」と満面の笑みを浮かべて耳打ちされた。

「みゅーちゃん最近綺麗になったなって思ってたんだ。 彼氏できたのかなぁって」
 
 美登里先輩にそんな風に揶揄われてまた赤面。それでも思う気持ちはひとつだけだ。

(彼氏なんかじゃないし……彼氏だったとしてもそれはフェイク彼氏……)

 白鹿さん曰く、護身用、カムフラージュ……色っぽい話など皆無。それなのに……。
 
 ソフレから始まった私たちの関係は、いつしか形を変えだして……そのうち完全にセフレ化しそうだと想像してしまう。このままでいいのか、この関係はやはりおかしくないか? そしてこれは一体いつまで?

(いつ……この関係は終わるのだろう)

 眠れるようになったら? ストーカーがもう大丈夫となったら?
 そんなことを考えるとハタと気づく。

(あれ? もしかしなくてもさ、ソフレ関係ってもう終わりじゃない?)

 私の胸の中に塞ぎきれないような小さな穴がプツリと開いたようで……まるで気づかぬうちに萎んでいく風船のように私の心はしゅわしゅわと縮んでいくようだった。

 そんなある日のことだ。

「え? 秘書の仕事を、ですか?」

 部長室に呼び出された私は告げられた言葉に間抜けな声をあげた。まだよく理解できない、そんな私を理解しているかのように部長はにこやかに頷いている。
 最近スタートアップしたユニコーン企業が秘書を募集しているという。経験がそれなりにあり、前向きに頑張れる子がいないかとそこの社長自らが秘書を探しているらしい。なんでも応募で雇った秘書とはことごとく相性がなかったそうだ。だから今度は自分の目で見て自ら秘書を選ぶと躍起になっているらしい。

「秘書の資格も取ったり目標にしていたよね? 斑鳩さんなら仕事ぶりを見ても自信をもって推薦できる」
「……」
「どうだろう。そこの社長と一度話をしてみないか? 僕も一緒に行ってスムーズに話が進むようサポートもしよう。考えておいてくれ」
「ありがとう……ございます」

 まさかそんな話が自分に舞い込んで来るなんて。まずはその驚きでいっぱいで、舞い上がって返事などとてもじゃないが出来なかった。悩む気持ちはゼロじゃない、白羽の矢が自分に立ったのは単純に嬉しい。それでも過去の失敗が少しだけ気持ちを足踏みさせてしまっていた。
 
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