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第54話、彼女のためじゃない(白鹿視点)☆
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ある日を境に飛び越えたひとつのボーダー、直接的に肌に触れ合うようになったらもうダメだと思った。
自分の理性など一ミクロも信用など出来ない。万が一のことを思うと用意しておくのは当然の結果だ。
「あるよ。初めて素股したじゃん。あれして即買ったよね」
「え……」
「買っといてよかったね? そもそもないかもしれないって思うのにこんな風に誘うなよ」
「あっ!」
「ああ、美憂のここ……濡れまくって口開いてる」
「あん、それやだぁ」
「なんで? 気持ち良くない? 俺はすごい気持ちいいよ?」
濡れた蜜口に這わせて腰を緩く動かすだけで彼女が甘い鳴き声をこぼすから、それが耳に伝わるだけで射精感が込み上がってくる。
「中に挿入れてよ」
俺を受け入れてよ。
「美憂の中にいきたい」
「は、ぁ……」
「もっと俺の事、美憂の全部で包んでよ」
熱も香りも、そのすべてで。
それを望むほどに、俺は今君に溺れている。
「あ、ぁ……」
ミチミチとゆっくり開かれていくそこから蜜がとろりと伝ってきて、昂る熱の塊をより濡らしていく。吸い込まれるように、その奥を目がけて突き進むように、ただ腰を押し付けた。
「あんあ!」
「はぁ……やばいっ」
「あー! だめ、それぇ」
「……だめなの? なんで?」
「ぁ、まっ……はぁ、んっ」
「なにがだめ? こんなに吸い付いて求めてるのにどうしてだめなんだよ」
「あんっ!」
気持ちよすぎて、それこそこのまま身体の一部を持っていかれそうなほど……彼女自身も汗ばむ身体を震わせながら声にならない声をあげて善がっている。それを見ているとまたより興奮して暴発してしまいそう。細い腰を掴んで奥まで一気に押し込みながら苦し気に吐くくちびるを強引に奪ってやる。
「ふ……んんっ」
打ち付ける腰の動きに合わせるように鼻から声を漏らす彼女は夢中になっているかのようにぐちゃぐちゃに涙を滲ませながら腰を跳ねさせている。
彼女の香りが熱を孕むと濃厚で脳に痺れるような甘い香りを放つ。今夜のこの香りはなんなんだ。汗の香りだけじゃない、肌から髪の毛から全身から放つ艶めかしい香り。どこを嗅ぐわっても俺を包んで離さないように香るからそれを腹の底から吸い上げる。
「ぁ……抱きしめたい」
涙目で、身体を震わせながらそんな声を吐くな。そう言って伸ばしてくる腕に吸い寄せられるように身を預けたらぎゅうっと抱きしめてくる。
彼女の柔らかな胸の中で、ひとつになりながら抱きしめられてなににも邪魔されない彼女の甘い香りに包まれる。
(もう……どこにも行きたくない)
この腕の中にいたい、包まれる腕の中でそう思った。
眠れなくなった彼女を抱きしめてやろうと思った。惹かれる香りの誘惑に負けて善意なんか建前で本音は自分の欲のまま。心地よい香りに惹かれたのは心が疲弊していたから。逃げ場のないようなストレスを感じる香りに同族意識を持ち、まるで傷の舐め合いのようだと思った。でも寄り添う相手がいることの充足感を得たら喩え用のない安堵があって。時間を重ねるほどその香りは馴染むようで、抱きしめてやるほど徐々に柔らかみを帯びてくる香りは春の陽だまりのような香りになってきた。
彼女のため……屁理屈をたくさん並べて抱きしめる理由を作った。でも抱きしめるほどどこかで思っていた気持ちを今確信する。
抱きしめて欲しかったのは俺の方だ。
俺が……安心できる存在にずっと抱きしめて受け止めて欲しかったのだ。
自分の理性など一ミクロも信用など出来ない。万が一のことを思うと用意しておくのは当然の結果だ。
「あるよ。初めて素股したじゃん。あれして即買ったよね」
「え……」
「買っといてよかったね? そもそもないかもしれないって思うのにこんな風に誘うなよ」
「あっ!」
「ああ、美憂のここ……濡れまくって口開いてる」
「あん、それやだぁ」
「なんで? 気持ち良くない? 俺はすごい気持ちいいよ?」
濡れた蜜口に這わせて腰を緩く動かすだけで彼女が甘い鳴き声をこぼすから、それが耳に伝わるだけで射精感が込み上がってくる。
「中に挿入れてよ」
俺を受け入れてよ。
「美憂の中にいきたい」
「は、ぁ……」
「もっと俺の事、美憂の全部で包んでよ」
熱も香りも、そのすべてで。
それを望むほどに、俺は今君に溺れている。
「あ、ぁ……」
ミチミチとゆっくり開かれていくそこから蜜がとろりと伝ってきて、昂る熱の塊をより濡らしていく。吸い込まれるように、その奥を目がけて突き進むように、ただ腰を押し付けた。
「あんあ!」
「はぁ……やばいっ」
「あー! だめ、それぇ」
「……だめなの? なんで?」
「ぁ、まっ……はぁ、んっ」
「なにがだめ? こんなに吸い付いて求めてるのにどうしてだめなんだよ」
「あんっ!」
気持ちよすぎて、それこそこのまま身体の一部を持っていかれそうなほど……彼女自身も汗ばむ身体を震わせながら声にならない声をあげて善がっている。それを見ているとまたより興奮して暴発してしまいそう。細い腰を掴んで奥まで一気に押し込みながら苦し気に吐くくちびるを強引に奪ってやる。
「ふ……んんっ」
打ち付ける腰の動きに合わせるように鼻から声を漏らす彼女は夢中になっているかのようにぐちゃぐちゃに涙を滲ませながら腰を跳ねさせている。
彼女の香りが熱を孕むと濃厚で脳に痺れるような甘い香りを放つ。今夜のこの香りはなんなんだ。汗の香りだけじゃない、肌から髪の毛から全身から放つ艶めかしい香り。どこを嗅ぐわっても俺を包んで離さないように香るからそれを腹の底から吸い上げる。
「ぁ……抱きしめたい」
涙目で、身体を震わせながらそんな声を吐くな。そう言って伸ばしてくる腕に吸い寄せられるように身を預けたらぎゅうっと抱きしめてくる。
彼女の柔らかな胸の中で、ひとつになりながら抱きしめられてなににも邪魔されない彼女の甘い香りに包まれる。
(もう……どこにも行きたくない)
この腕の中にいたい、包まれる腕の中でそう思った。
眠れなくなった彼女を抱きしめてやろうと思った。惹かれる香りの誘惑に負けて善意なんか建前で本音は自分の欲のまま。心地よい香りに惹かれたのは心が疲弊していたから。逃げ場のないようなストレスを感じる香りに同族意識を持ち、まるで傷の舐め合いのようだと思った。でも寄り添う相手がいることの充足感を得たら喩え用のない安堵があって。時間を重ねるほどその香りは馴染むようで、抱きしめてやるほど徐々に柔らかみを帯びてくる香りは春の陽だまりのような香りになってきた。
彼女のため……屁理屈をたくさん並べて抱きしめる理由を作った。でも抱きしめるほどどこかで思っていた気持ちを今確信する。
抱きしめて欲しかったのは俺の方だ。
俺が……安心できる存在にずっと抱きしめて受け止めて欲しかったのだ。
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