19 / 75
lesson3
6
太刀川の言葉はどれも乱暴で冷たい言い方だった、でも瑠衣を思う気持ちが滲んでいた。それを瑠衣は素直に感じて戸惑った、自分を責める必要が本当にないのか、そう問いだした。
「不感症……どの口が言うんだよ。すげー男だな」
「はやく……終わってほしいって思ってました。それは本当なんです、我慢してこの時間が過ぎればいいって……」
「不快な時間楽しめる人間いるかよ、誰でも思うわ、そんな苦痛なだけの時間早く終われって」
「でも……好きな人との時間にそんなこと思うなんて……」
「そもそもなぁ!」
いつまでもぐだぐだと言い訳をかます瑠衣に苛つきだした太刀川は、瑠衣の頬を両手でぎゅうぅぅぅと包み込んだ。瑠衣の顔は押しつぶされるように歪んでお世辞にも可愛い顔ではなくなった。涙で濡れた目元は化粧もはがれかけている。髪も乱れてなんならグダグダのその姿。そんな瑠衣を見て余計に太刀川は可愛いと思ってしまう。
「処女がいきなり濡れるわけねぇだろ、いきなり突っ込みたいだけのセックスする男に一発目に当たったお前が災難だったなってだけの話だよ」
「え……」
「濡らす方法なんかいくらでもあるって言ってんだろ。その男はそれするまでもなくお前に突っ込みたかったんだよ、そんくらい理性なくしてたんじゃね?童貞かよ」
「……」
「ほんとに男見る目ねぇな?」
鼻で笑われて何も言い返せない瑠衣がいる。
「まぁ……俺みたいな男に目ぇつけられる時点で男運ないよな」
俺みたい――など、今度は太刀川が自虐的に呟くから瑠衣の方が戸惑う。
「もう……囚われることねぇよ……そんな言葉に」
冷たい、言葉がキツイ、人を見つめる目が素っ気なくて愛想なんかない。黒王子の太刀川はそんな風に揶揄られている。でも本当にそうなのだろうか、だれも太刀川の本質を見抜いていないのではないか、見つめられる瑠衣はそう思わずにはいられない。
(だって……ならどうしてこんなに優しい瞳で見つめてくれるの?)
どうして、こんなに優しい言葉を投げて、頬に触れてくれるのだろう。
「もう……ガッカリされたくないです……抱く気失せるなんて……言われたくない」
本当にセックスは気持ちのいいものなのだろうか、自分はまた誰かと、好きな人と肌を重ねて気持ちいいと感じて求めてもらえるのだろうか。
知りたいと思う。自分がまだ知らない、本当の時間を知りたい、瑠衣はそう思った。思ったら自然と言葉に落ちた。瑠衣の瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。太刀川はその姿をジッと見つめていた。ふと目元に生暖かい熱を感じて瑠衣がゆっくり瞼を開けると、綺麗な顔をした太刀川が涙をくちびるで拭ってきた。
(これは、キスじゃないの?)
一瞬瑠衣はそう感じたがキスは口同士じゃないと無効だろうと自分を納得させた。でなければこの甘すぎる行動は変な勘違いを起こさせる。
(太刀川さんは協力してくれている人、それだけなのに――)
瑠衣の中で特別な気持ちが弾けだしたことに気づいて気付かないふりをした。それでも、太刀川に触れられることが嫌になるどころかもっと触れてくれたらいいのに、そう思う気持ちに嘘は付けなくなっていた。
「不感症……どの口が言うんだよ。すげー男だな」
「はやく……終わってほしいって思ってました。それは本当なんです、我慢してこの時間が過ぎればいいって……」
「不快な時間楽しめる人間いるかよ、誰でも思うわ、そんな苦痛なだけの時間早く終われって」
「でも……好きな人との時間にそんなこと思うなんて……」
「そもそもなぁ!」
いつまでもぐだぐだと言い訳をかます瑠衣に苛つきだした太刀川は、瑠衣の頬を両手でぎゅうぅぅぅと包み込んだ。瑠衣の顔は押しつぶされるように歪んでお世辞にも可愛い顔ではなくなった。涙で濡れた目元は化粧もはがれかけている。髪も乱れてなんならグダグダのその姿。そんな瑠衣を見て余計に太刀川は可愛いと思ってしまう。
「処女がいきなり濡れるわけねぇだろ、いきなり突っ込みたいだけのセックスする男に一発目に当たったお前が災難だったなってだけの話だよ」
「え……」
「濡らす方法なんかいくらでもあるって言ってんだろ。その男はそれするまでもなくお前に突っ込みたかったんだよ、そんくらい理性なくしてたんじゃね?童貞かよ」
「……」
「ほんとに男見る目ねぇな?」
鼻で笑われて何も言い返せない瑠衣がいる。
「まぁ……俺みたいな男に目ぇつけられる時点で男運ないよな」
俺みたい――など、今度は太刀川が自虐的に呟くから瑠衣の方が戸惑う。
「もう……囚われることねぇよ……そんな言葉に」
冷たい、言葉がキツイ、人を見つめる目が素っ気なくて愛想なんかない。黒王子の太刀川はそんな風に揶揄られている。でも本当にそうなのだろうか、だれも太刀川の本質を見抜いていないのではないか、見つめられる瑠衣はそう思わずにはいられない。
(だって……ならどうしてこんなに優しい瞳で見つめてくれるの?)
どうして、こんなに優しい言葉を投げて、頬に触れてくれるのだろう。
「もう……ガッカリされたくないです……抱く気失せるなんて……言われたくない」
本当にセックスは気持ちのいいものなのだろうか、自分はまた誰かと、好きな人と肌を重ねて気持ちいいと感じて求めてもらえるのだろうか。
知りたいと思う。自分がまだ知らない、本当の時間を知りたい、瑠衣はそう思った。思ったら自然と言葉に落ちた。瑠衣の瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。太刀川はその姿をジッと見つめていた。ふと目元に生暖かい熱を感じて瑠衣がゆっくり瞼を開けると、綺麗な顔をした太刀川が涙をくちびるで拭ってきた。
(これは、キスじゃないの?)
一瞬瑠衣はそう感じたがキスは口同士じゃないと無効だろうと自分を納得させた。でなければこの甘すぎる行動は変な勘違いを起こさせる。
(太刀川さんは協力してくれている人、それだけなのに――)
瑠衣の中で特別な気持ちが弾けだしたことに気づいて気付かないふりをした。それでも、太刀川に触れられることが嫌になるどころかもっと触れてくれたらいいのに、そう思う気持ちに嘘は付けなくなっていた。
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13