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閑話-ジルの始まる新しい日々-2
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ヴェリルは俺にとって唯一の存在で、誰よりも信頼できた。兄弟みたいでも本当の兄弟じゃない、なんの繋がりもないけれど、どこかで繋がれたら……そんな思いをお互い持っていたから親指を噛み切って垂れ流した血を混ぜ合わせて血を絡めた。
馬鹿みたいだけど、それで本当に繋がりあえた気がしてた。血を分け合えて本当の兄弟になれた、そんな風に思ってたんだ。
そんなヴェリルがある日毒にやられて日に日に身体の不調を訴え出した。行く先々で手に取る薬やポーション……どれもうまく合わない。カルロでさえ手を焼いて頭を抱え出したから本格的にヤバいなと焦り出していた時だ。
たどり着いた小国で出会えた。初めて、ヴェリルの指先に反応したポーションを。
あの時の感動をどう表現したらいいのか。嬉しい、やった、どんな魔物を倒した時よりも興奮した。ヴェリルを犯す毒が消えるかもしれない、その喜び。諦めかけていたヴェリルが希望を持ったことも嬉しくて、これを作った人間が知りたい。このポーションの原料が知りたい、そう思って声をかけた……受付嬢に。
コバルトブルーの瞳は綺麗だった。澄んだ青の中に海が広がるようで見つめられたら溺れそうだ。でもついジッと見つめてしまうのは無意識で。見つめられたら……見つめ返してしまう。
見つめられたいから……見つめてしまう。
俺は根本的に青い瞳に惹かれるのかもしれない。
生きることに執着するヴェリルと少しよく似たアリスもまた命に対して誠実で。妹のエリザから聞いた話でそれの理由もなんとなく知った。アリスがなぜ命を粗末に扱うことを毛嫌いするのか。きっと俺みたいな精神論は嫌いだよ?なんて揶揄られて、その時は「あっそー」と笑って返したけれど内心はちょっとだけ複雑だった。
だって仕方ないだろう。
こうやって生きてきたんだ。自分の命を大事にする方法なんか教えてもらわなかった。
特別指令が降りてそれを耳にしたら気づいたら走っていた。エリザのことなんかハッキリ言って頭から飛んでいた。そんなことどうでもいい、とにかく東の森まで走ってヴェリルの姿を探していた。
まだ完全完治していないヴェリルの腕が心配だった。まだあいつを一人で戦闘には出させられない。けれど森について探し出したヴェリルは弓を引いていた。鷹の目を持つヴェリルは遠くからでも獲物の核を捕らえられる、そこに繊細で高度な技術も持っている。そのヴェリルが……また弓を引けた。
その時もめちゃくちゃ感動して。アリスのポーションの力に心の底から感謝した。
今度アリスに会ったら何を話そう、この胸の高鳴りをどう言えば伝えられるか、そんなことを思っていたアリスが……。
「良かった……心配して……私、あれから心配で……」
駆けつけたアリスは目に涙を溜めてヴェリルを心配していた。
(……俺も行ったんだけど)
目の前の二人を見つめながら脳内でそんなことを呟いていた。
馬鹿みたいだけど、それで本当に繋がりあえた気がしてた。血を分け合えて本当の兄弟になれた、そんな風に思ってたんだ。
そんなヴェリルがある日毒にやられて日に日に身体の不調を訴え出した。行く先々で手に取る薬やポーション……どれもうまく合わない。カルロでさえ手を焼いて頭を抱え出したから本格的にヤバいなと焦り出していた時だ。
たどり着いた小国で出会えた。初めて、ヴェリルの指先に反応したポーションを。
あの時の感動をどう表現したらいいのか。嬉しい、やった、どんな魔物を倒した時よりも興奮した。ヴェリルを犯す毒が消えるかもしれない、その喜び。諦めかけていたヴェリルが希望を持ったことも嬉しくて、これを作った人間が知りたい。このポーションの原料が知りたい、そう思って声をかけた……受付嬢に。
コバルトブルーの瞳は綺麗だった。澄んだ青の中に海が広がるようで見つめられたら溺れそうだ。でもついジッと見つめてしまうのは無意識で。見つめられたら……見つめ返してしまう。
見つめられたいから……見つめてしまう。
俺は根本的に青い瞳に惹かれるのかもしれない。
生きることに執着するヴェリルと少しよく似たアリスもまた命に対して誠実で。妹のエリザから聞いた話でそれの理由もなんとなく知った。アリスがなぜ命を粗末に扱うことを毛嫌いするのか。きっと俺みたいな精神論は嫌いだよ?なんて揶揄られて、その時は「あっそー」と笑って返したけれど内心はちょっとだけ複雑だった。
だって仕方ないだろう。
こうやって生きてきたんだ。自分の命を大事にする方法なんか教えてもらわなかった。
特別指令が降りてそれを耳にしたら気づいたら走っていた。エリザのことなんかハッキリ言って頭から飛んでいた。そんなことどうでもいい、とにかく東の森まで走ってヴェリルの姿を探していた。
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今度アリスに会ったら何を話そう、この胸の高鳴りをどう言えば伝えられるか、そんなことを思っていたアリスが……。
「良かった……心配して……私、あれから心配で……」
駆けつけたアリスは目に涙を溜めてヴェリルを心配していた。
(……俺も行ったんだけど)
目の前の二人を見つめながら脳内でそんなことを呟いていた。
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