季節奏でる君の想い〜春の季節〜

泉 鷹斗

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桜の咲く下で君と〜蕾〜

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「もうすぐ咲くかな。」
一人で俺はそう呟いた。今は学校の帰り
今日から春休みということで俺は一人で
この場所に訪れた。
ここには多くの桜の木があり、春になると
桜が満開になる場所である。しかしここは
大通りから離れているためあまり人がおらず
桜が咲いても人が集まるまで時間がかかり
ゆっくりと桜をみれるレアスポットである。
去年は来ようとしていたが部活の大会があり
残念ながらみにくることができなかった。
しかし今年は部活は終わり春休みをみること
ができるため楽しみにしていた。
そんな事を考えながら歩いていると
「こんな所でなにしてるの?」
後ろから声をかけられた。
「別に。ここの桜がいつ咲くのかみに来てみただけなさだよ。」
実際ここは人通りが少なく知名度も低いため
テレビでもいつ咲くか紹介されない。
だから自分でみにくるしかないのだ。
「ふーん。そうなんだ。」
興味がなさそうに言った。
「あのなー春、興味ないならなんでわざわざ聞いたんだよ。」
「別に興味なくはないよ。」
「そうですか。」
言い忘れていたがこいつは春。本名は春奈
だが俺は春と呼んでいる。春は帰り道にここ
を通るため桜が咲くことを知っていて前に
俺にここを教えてくれた。
「今年はここにみにくるの?」
去年行かなかったのを知っている春は聞いてきた。
「今年はみにくるよ。部活も終わったし、しばらくゆっくりできるしな。」
俺がそう言うと、
「なら一緒に行こうよ。」
春が予想外のことを聞いてきた。
春は学校では人気で友達も多い、そんな奴がわざわざ俺と行くなんて。
「なんで?お前友達と行かんの?」
俺は初めから一人で行くつもりでいたため
そう言ったがこの発言は良くなかった。
「何、私と行きたくないの。」
春は睨みながら言ってきた。
うわーやってしまった。春こういう時よく怒るんだよな。誘ってくるときになんで?って
言うと大体怒ってくる。
「ねぇ聞いてる?」
やべーめっちゃ怒ってるよ。すごい睨んでるし、どうしようなマジで。
「聞いてるよ。行きたくないわけじゃないけど誰かと行かないのかと思って。」
俺はすこし弱腰に言った。すこし声が裏返ったかもしれないけど気にしないでおこう。
「行くんだったら聞かないでしょ。」
「そうですよね。僕が間違っていましたなので機嫌を直して下さい。」
これ以上怒らせるとやばい。殺される。
「なら桜みに行くときになんか買ってよ。」
まだすこし怒っているけどそう言ってきた。
「それぐらいなら。」
よかった。機嫌なおしてくれて。
「別にあんたと行くからいいし。」
「ん?なんか言った?」
何かゴニョゴニョ言っているのに気づいたからそう言うと
「あんたって昔から鈍いね。」
春は呆れて言った。
「なんだよ鈍いって」
俺って鈍いのかな?たまに友達に「お前それ本気で言ってんの?」とか言われるし。
鈍くないとは思うけどな。多分
「まぁ言いわ。とにかく行くとき時間ちゃんと空けといてね。」
春はそう言うと帰っていった。
「はぁ、いつ行くかぐらい言えよ。」
一人で呟いた。それにしても本当になんで春は俺なんかと行くんだろな。
ふと思い考えながら帰っていた。
この時恋という蕾が開きかけていることを
俺はまだ知る由もなかったのだ。
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