35歳刑事、乙女と天才の目覚め

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第7章:決断の時

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特別捜査チームの結成から1週間が経過した。尚子たちは昼夜を問わず捜査を進めていたが、決定的な証拠には辿り着けずにいた。

ある夜、尚子は一人で警察署に残っていた。膨大な資料の山に囲まれ、彼女は眉間にしわを寄せていた。

「何か見落としているはず...」

そのとき、彼女の目に異変が起きた。視界が急に明るくなり、資料の文字が浮かび上がって踊り始めたかのように見えた。

「これは...!」

尚子の脳内で、情報が猛烈な速さで処理されていく。数分後、彼女は驚愕の表情を浮かべていた。

「まさか...そんな...」

翌朝、尚子は緊急会議を召集した。

「重大な発見がありました」尚子の声に、会議室全体が緊張に包まれた。

「犯人の正体が分かりました。それは...」

尚子は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに続けた。

「佐藤警部です」

会議室が騒然となる。

「何を言っているんだ、高橋!」佐藤警部が怒鳴った。

尚子は冷静に説明を続けた。「警部、あなたは10年前、ある極秘の研究プロジェクトに関わっていました。人間の潜在能力を引き出す実験です。そのプロジェクトは倫理的問題で中止されましたが、あなたは密かに研究を続けていた」

佐藤警部の表情が険しくなる。

「証拠はあるのか?」

「はい。あなたの過去の動向と、事件の発生場所、時間がすべて一致します。そして、私の能力覚醒のきっかけとなった薬物...それはあなたが開発したものです」

レイナが声を上げた。「でも、なぜそんなことを?」

佐藤警部は突然、大きくため息をついた。

「...観念したよ。そうだ、私がやった」

会議室が静まり返る。

「人類の進化...それが私の夢だった。高橋、君は私の最高傑作だ。君の中にある可能性を引き出すことで、人類の新たな段階を示そうとしたんだ」

尚子は悲しげな表情で言った。「でも、そのために罪のない人々を犠牲にしたんですね」

佐藤警部は苦笑いを浮かべた。「大きな目的のためには、時に犠牲も必要だ。私はそう信じていた」

「逮捕します」尚子が言った瞬間、佐藤警部はポケットから何かを取り出した。

「みんな、下がって!」尚子が叫ぶ。

しかし、それは武器ではなく、小さな薬瓶だった。

「これが最後の切り札だ。飲めば、君以上の能力を持つことができる」

佐藤警部が薬を口に運ぼうとした瞬間、尚子が飛びかかった。

「やめて!」

二人の激しい揉み合いの末、薬瓶は床に落ち、砕け散った。

佐藤警部は諦めたように肩を落とした。「終わったな...」

尚子たちは佐藤警部を取り押さえ、逮捕した。

事件解決後、尚子は屋上で夜空を見上げていた。

レイナが近づいてきて言った。「すごいです、尚子さん。本当に事件を解決しましたね」

尚子は少し寂しげな表情を浮かべた。「ええ...でも、これで終わりじゃないわ」

「どういうことですか?」

「私の能力...これをどう使うべきか。そして、私自身のアイデンティティ。まだ多くの課題が残っているの」

レイナは優しく尚子の肩に手を置いた。「でも、もう一人じゃありません。私たちがいます」

尚子は微笑んだ。「ありがとう、レイナ」

二人は夜空を見上げながら、新たな章の始まりを感じていた。
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