歪んだ契約の果てに

dep basic

文字の大きさ
4 / 5

第4幕:真実の愛の証

しおりを挟む
朝日が差し込む寝室で、美咲はゆっくりと目を開けた。隣には翔太が穏やかな寝顔を見せている。美咲は微笑みながら、翔太の頬に軽くキスをした。

「んん...おはよう、美咲」

翔太が目を開け、優しく微笑んだ。

「おはよう、翔太さん」

二人は穏やかな朝の空気の中で見つめ合った。契約から始まった二人の関係は、今や純粋な愛で満ちていた。

「今日から、結婚式の準備が本格的に始まるね」

美咲が言うと、翔太は頷いた。

「ああ、今度は本物の、心からの誓いになる」

翔太は美咲を抱き寄せ、深いキスをした。

朝食の席には、珍しく竜介と克彦も同席していた。家族の絆が少しずつ修復されていく様子が、食卓の雰囲気からも感じられた。

「で、結婚式の準備はどうだ?」

竜介が尋ねた。

「順調です、父さん」

翔太が答えた。まだぎこちない様子だったが、以前よりも柔らかな口調だった。

「俺も手伝うよ」

克彦が申し出た。

「本当に? ありがとう、克彦さん」

美咲が嬉しそうに答えた。

「まあ、弟の幸せを祝福しない兄なんていないからな」

克彦は照れくさそうに言った。

その日から、結婚式の準備が本格的に始まった。場所の選定、招待客リストの作成、ドレスの選択...すべてが慌ただしくも幸せな時間だった。

ある日、美咲が新規事業部門の会議を終えて部屋に戻ると、翔太が真剣な顔で待っていた。

「どうしたの?」

美咲が尋ねると、翔太は深刻な表情で答えた。

「実は...元の契約書の原本が見つからないんだ」

美咲は息を呑んだ。

「まさか...」

「ああ、誰かが盗んだ可能性がある」

翔太の表情は硬かった。

「でも、誰が...」

その時、ドアがノックされた。

「入ってください」

美咲が答えると、意外な人物が入ってきた。

「お義母さん?」

そう、翔太の母マリ子だった。彼女は亡くなったはずだった。

「ごめんなさい、二人とも」

マリ子は深々と頭を下げた。

「母さん...どういうこと?」

翔太が動揺した様子で尋ねた。

マリ子ばすみません、美咲が入った深呼吸をして話し始めた。

「実は...私は死んでいなかったの」

二人は驚きのあまり、言葉を失った。

「私は...あなたのお父さんと、大きな喧嘩をしたの。そして、家を出ることにした。でも、あなたのことが心配で...ずっと見守っていたわ」

翔太は震える声で言った。

「じゃあ、契約書を...」

マリ子は頷いた。

「ごめんなさい。あなたを守るつもりだったの。でも、それが間違いだったわ」

マリ子はバッグから契約書を取り出した。

「これを返しに来たの。そして...」

マリ子は美咲に向き直った。

「あなたに感謝したかった。翔太を本当の愛に導いてくれて、ありがとう」

美咲は涙ぐみながら、マリ子の手を取った。

「お義母さん...」

翔太は動揺を隠せない様子だったが、ゆっくりと母に近づいた。

「母さん...なぜ、もっと早く...」

「ごめんなさい、翔太。私の臆病さのせいよ」

マリ子は翔太を抱きしめた。長年の想いが、二人の間で溢れ出した。

その時、ドアが開き、竜介と克彦が入ってきた。

「マリ子...」

竜介の声が震えていた。

「竜介...久しぶり」

部屋の中は、感動と驚きで満ちていた。

長い説明と、涙ながらの和解の時間が過ぎた。

最後に、マリ子が契約書を翔太に手渡した。

「さあ、これで全てよ」

翔太は美咲の手を取り、みんなの前で契約書を破った。

「これで、俺たちは完全に自由だ」

美咲は翔太にキスをした。

「うん、そして本当の愛で結ばれる」

家族全員で、契約書の切れ端を暖炉で燃やした。過去の影が、完全に消え去っていく。

それから1ヶ月後、翔太と美咲の結婚式が行われた。

美しい教会で、家族や友人たちに見守られながら、二人は誓いの言葉を交わした。

「私は、翔太を愛し、尊び、大切にします。契約ではなく、心からの愛で」

美咲の言葉に、会場中が感動に包まれた。

「私は、美咲を愛し、尊び、大切にします。偽りのない、真実の愛を誓います」

翔太の瞳には、幸せの涙が光っていた。

誓いのキスの後、二人は歓声に包まれながら教会を出た。

そこには、新しい人生が待っていた。

夜、二人きりになった翔太と美咲は、ホテルの部屋のバルコニーに立っていた。

「信じられないわ、こんな日が来るなんて」

美咲が呟いた。

翔太は美咲を抱きしめた。

「ああ、でも来たんだ。俺たちの本当の人生が、今始まる」

美咲は翔太の胸に顔を埋めた。

「翔太さん...私、幸せです」

「俺も、美咲。君と出会えて、本当に良かった」

二人は月明かりの下で、長いキスを交わした。

契約から始まり、幾多の試練を乗り越え、ようやく辿り着いた真実の愛。

これからの人生が、どんなに素晴らしいものになるか、二人の胸は期待で一杯だった。

そして、新たな朝が、二人を待っていた。

真実の愛に導かれ、歪んだ契約から解き放たれた二人。

彼らの物語は、ここから本当の意味で始まるのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...