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1.虐げられた片翼姫は夜伽の寝室で奪われる
1.見捨てられた片翼姫
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出来損ないだと言われて生きてきた。
私の翼は、片方しかない。
白銀の羽は左の背にだけ小さく広がり、右の羽は丸まったような羽が僅かに生えているだけ。
「白翼族」の中で、私だけが飛ぶこともできない、出来損ない。
私は先代王とその正妃の娘だ。けれど父も母も、もういない。
クーデターの夜、炎が城を染めた。
叫び声と血の匂いの中、幼い私は何もできないまま捕えられ、気づいた時には王座は別の男のものになっていた。
政治家だった現王は強欲な人だ。
父の血を引く者は全て処刑され、私だけが、片方の翼を切られ毟り取られながら生き残った。
そのショックのせいか、そのまま翼の成長は止まってしまった。
そのまま私は離宮に閉じ込められ、飼い殺しにされた。
私は淡い金色の髪に薄い紫の瞳という、先代王の特徴をよく継いでいた。そういう特徴のある娘を従えていることは、王位を簒奪した人々にとって満足のいくことだったのだろう。
白翼族の王宮は塔のように高く建てられているから、飛ぶことのできない私には、王宮の外へ逃げ出す術はなかった。
侍女たちは、私を姫と呼ばない。
「ノエリア様」とは言う。だがその声音に敬意はない。
私の行動を見ては、あれでも元は姫かと馬鹿にしてクスクス嗤う。
少しでも反抗的だと捉えられると、すぐに鞭を打たれて、私は段々と自分の立場を理解させられた。
嫌がらせが露骨になったのは、私の身体が成長し始めてからだ。
ある日、現王が私の姿を見て、「いずれ夜伽の相手をさせてもいい」と言ったらしい。
亡き父よりも年上の現王にそう言われたことに驚いていた私は、すぐに王の心を惑わした色欲の罪で鞭を打たれた。
自分から誘いをかける、色欲まみれのいやらしい女だと言われ、私はそれに反論することも許されなかった。
「違います、そんな」
「脚を出しなさい」
「わ、私、国王陛下とお話したことなんて……っ」
「素直に罪を認めることもできないようね」
最初のうちは、私も必死になって身の潔白を訴えようとした。
けれどそのたびに脚や背中に鞭を打たれ、段々と何を言われても「ごめんなさい」と謝るようになっていた。
身体つきがよくないのだと言われ、きつく胸を締め上げ、形を矯正するよう命じられた。
侍女たちは、きっと王妃に言われたのだろう、私が現王に媚を売ってここから抜け出そうとしていると考えたらしい。
私の言葉は誰にも聞いてもらえなかった。
胸を締め上げるのは想像以上に辛くて、いつも息が苦しい。
けれどこれ以上なじられたくなくて、私は必死にふくらみを潰したし、これ以上大きくならないでと祈っていたのに、願いは虚しかった。
いやらしい子だと思われたくないと、性的なことからは徹底して距離を置いた。それでもいつも、色欲のせいでそんな風に成長するのだと責められた。
本来であれば、王家の姫は十六歳の誕生日を迎えたら、結婚相手となる「ツガイ」を探してもらえるはずだった。
翼族の王族にはツガイがいる。
生まれた時から運命の片割れが定まり、互いを探し当てる。
けれど私はその前にクーデターに襲われ――政権を握った人々に、「片翼にツガイなどいない」と断じられた。
現王と王妃は、そもそも王の血を引く者ではなかったから、ツガイのことに興味がない。
彼らは、そんな伝説に使う暇はないと言った。
そのまま月日が過ぎて、その間に、欠陥品の片翼にツガイなどいないと教えられた。
いたところで、出来損ないのお前では満足できないだろうと鼻で笑われた。
案外もう見つけていて、捨て置いているのかもしれないと。
いつしか、ツガイに愛してもらえることなんて一生ないと、私も信じるようになっていた。
私の翼は、片方しかない。
白銀の羽は左の背にだけ小さく広がり、右の羽は丸まったような羽が僅かに生えているだけ。
「白翼族」の中で、私だけが飛ぶこともできない、出来損ない。
私は先代王とその正妃の娘だ。けれど父も母も、もういない。
クーデターの夜、炎が城を染めた。
叫び声と血の匂いの中、幼い私は何もできないまま捕えられ、気づいた時には王座は別の男のものになっていた。
政治家だった現王は強欲な人だ。
父の血を引く者は全て処刑され、私だけが、片方の翼を切られ毟り取られながら生き残った。
そのショックのせいか、そのまま翼の成長は止まってしまった。
そのまま私は離宮に閉じ込められ、飼い殺しにされた。
私は淡い金色の髪に薄い紫の瞳という、先代王の特徴をよく継いでいた。そういう特徴のある娘を従えていることは、王位を簒奪した人々にとって満足のいくことだったのだろう。
白翼族の王宮は塔のように高く建てられているから、飛ぶことのできない私には、王宮の外へ逃げ出す術はなかった。
侍女たちは、私を姫と呼ばない。
「ノエリア様」とは言う。だがその声音に敬意はない。
私の行動を見ては、あれでも元は姫かと馬鹿にしてクスクス嗤う。
少しでも反抗的だと捉えられると、すぐに鞭を打たれて、私は段々と自分の立場を理解させられた。
嫌がらせが露骨になったのは、私の身体が成長し始めてからだ。
ある日、現王が私の姿を見て、「いずれ夜伽の相手をさせてもいい」と言ったらしい。
亡き父よりも年上の現王にそう言われたことに驚いていた私は、すぐに王の心を惑わした色欲の罪で鞭を打たれた。
自分から誘いをかける、色欲まみれのいやらしい女だと言われ、私はそれに反論することも許されなかった。
「違います、そんな」
「脚を出しなさい」
「わ、私、国王陛下とお話したことなんて……っ」
「素直に罪を認めることもできないようね」
最初のうちは、私も必死になって身の潔白を訴えようとした。
けれどそのたびに脚や背中に鞭を打たれ、段々と何を言われても「ごめんなさい」と謝るようになっていた。
身体つきがよくないのだと言われ、きつく胸を締め上げ、形を矯正するよう命じられた。
侍女たちは、きっと王妃に言われたのだろう、私が現王に媚を売ってここから抜け出そうとしていると考えたらしい。
私の言葉は誰にも聞いてもらえなかった。
胸を締め上げるのは想像以上に辛くて、いつも息が苦しい。
けれどこれ以上なじられたくなくて、私は必死にふくらみを潰したし、これ以上大きくならないでと祈っていたのに、願いは虚しかった。
いやらしい子だと思われたくないと、性的なことからは徹底して距離を置いた。それでもいつも、色欲のせいでそんな風に成長するのだと責められた。
本来であれば、王家の姫は十六歳の誕生日を迎えたら、結婚相手となる「ツガイ」を探してもらえるはずだった。
翼族の王族にはツガイがいる。
生まれた時から運命の片割れが定まり、互いを探し当てる。
けれど私はその前にクーデターに襲われ――政権を握った人々に、「片翼にツガイなどいない」と断じられた。
現王と王妃は、そもそも王の血を引く者ではなかったから、ツガイのことに興味がない。
彼らは、そんな伝説に使う暇はないと言った。
そのまま月日が過ぎて、その間に、欠陥品の片翼にツガイなどいないと教えられた。
いたところで、出来損ないのお前では満足できないだろうと鼻で笑われた。
案外もう見つけていて、捨て置いているのかもしれないと。
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