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1.虐げられた片翼姫は夜伽の寝室で奪われる
2.望まぬ夜伽
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私の着替えや入浴を手伝う人はいないのに、そうしていると侍女たちがやってきて、勝手に扉やカーテンを開けてしまう。
私が焦って蹲る姿が面白いらしい。楽しそうに笑って、「手伝って差し上げます」と服を脱がされたこともあった。
「翼はちっとも成長しないのに、女としては成長するのね」
「相変わらずいやらしい胸」
「飛べもしないくせに異性を惑わすなんて」
「ここはもう生えてこないの?」
彼女たちは立派な白い翼をはためかせて嗤う。
白翼族は男も女も、大きく美しい真っ白な翼を見せつけるのが最上級のお洒落だ。
それができない私が馬鹿にされるのは仕方なかった。
出来の悪さを理由に、定期的に大量に片翼を毟られる。
翼骨が露出するほど一気に毟られると熱が出てしばらく寝込んでしまう。
昔はできていた勉強も、習い事も、続けられなくなってしまった。
無知なことはまた嘲笑の対象にされた。
(このままずっと、辱められるのなら……)
(いっそ、この手で命を絶ちたい……父様と母様のところへ行きたい……)
そう思いもしたけれど、先代王の特徴を色濃く受け継いだ私が、自決を選ぶことはできないように見張られていた。
――そして、ある日。
私は、現王の夜伽を命じられた。
「ノエリア様。おめでとうございます。今宵より、陛下の御寝室へお移りいただきます」
侍女の口元には、隠しきれない嘲りが浮かんでいた。
お腹の底がさっと冷たくなる。
「王妃様はノエリア様が側妃に据えられることをご心配でしたが。杞憂でしたね」
「国王陛下は臣下の皆に共有させてもいいとお話しだとか」
「皆様、今から楽しみにしているようですよ」
「良かったですね、そんな身体だから多くの方のご寵愛を受けられて」
侍女たちの笑い声と、ご結婚おめでとう、という言葉が空虚に響いていた。
寝所に直接招くのは、妾以下の存在だ。
側妃と違って自分の宮も与えられないし、妾の得られる最低限の保障もない。
寝室に捕えられて、ただ夜ごとに欲望を受け止めさせられる存在……
「祝意を述べているのだからお喜びください」
「……ご、ごめんなさい」
冷たい声と視線に身がすくむ。
泣いても助けてもらえないことは分かっていたから、真っ青になって唇を噛んでいた。それが面白くなかったのか、突き飛ばされた。
痛みを堪えるうちに伸びてきた手に服を脱がされ、逃げられなくされてしまう。
それから、薬液の入った風呂に入らされた。
小さくなって風呂に入っていると、侍女が杯を差し出した。
「夜伽の準備のための特別な薬湯です」
「さあこちらを」
「ノエリア様へ、王妃様からの贈り物でございます。緊張を和らげるお酒です」
「王妃様から……?」
あれほど現王が私に近づくのを嫌がっていたのに、どういうことだろう。
毒かもしれない、と思った。
それならそれで構わない。殺してくれるならそれでもいい。
(これで、命を絶って、楽になれるなら……)
そう思って、私は湯船の中で少しずつ杯を傾けた。
「この香りもご存知ないなんて、無知なノエリア様」
「え……?」
毒ではなかったのだろうか。
言葉の意味も分からないまま、せき立てられて準備が進んでいく。
爪を血が出そうなほど深く丁寧に整えられ、髪に香油を塗られ、この夜のための衣に着替えさせられる。
万一にも王を傷つけないよう、夜伽の衣にはひとつの留め金もない。
気づいた時には湯上がりの身体に衣が結ばれ、私を王へと差し出す準備が整っていた。
「参りましょう」
私が焦って蹲る姿が面白いらしい。楽しそうに笑って、「手伝って差し上げます」と服を脱がされたこともあった。
「翼はちっとも成長しないのに、女としては成長するのね」
「相変わらずいやらしい胸」
「飛べもしないくせに異性を惑わすなんて」
「ここはもう生えてこないの?」
彼女たちは立派な白い翼をはためかせて嗤う。
白翼族は男も女も、大きく美しい真っ白な翼を見せつけるのが最上級のお洒落だ。
それができない私が馬鹿にされるのは仕方なかった。
出来の悪さを理由に、定期的に大量に片翼を毟られる。
翼骨が露出するほど一気に毟られると熱が出てしばらく寝込んでしまう。
昔はできていた勉強も、習い事も、続けられなくなってしまった。
無知なことはまた嘲笑の対象にされた。
(このままずっと、辱められるのなら……)
(いっそ、この手で命を絶ちたい……父様と母様のところへ行きたい……)
そう思いもしたけれど、先代王の特徴を色濃く受け継いだ私が、自決を選ぶことはできないように見張られていた。
――そして、ある日。
私は、現王の夜伽を命じられた。
「ノエリア様。おめでとうございます。今宵より、陛下の御寝室へお移りいただきます」
侍女の口元には、隠しきれない嘲りが浮かんでいた。
お腹の底がさっと冷たくなる。
「王妃様はノエリア様が側妃に据えられることをご心配でしたが。杞憂でしたね」
「国王陛下は臣下の皆に共有させてもいいとお話しだとか」
「皆様、今から楽しみにしているようですよ」
「良かったですね、そんな身体だから多くの方のご寵愛を受けられて」
侍女たちの笑い声と、ご結婚おめでとう、という言葉が空虚に響いていた。
寝所に直接招くのは、妾以下の存在だ。
側妃と違って自分の宮も与えられないし、妾の得られる最低限の保障もない。
寝室に捕えられて、ただ夜ごとに欲望を受け止めさせられる存在……
「祝意を述べているのだからお喜びください」
「……ご、ごめんなさい」
冷たい声と視線に身がすくむ。
泣いても助けてもらえないことは分かっていたから、真っ青になって唇を噛んでいた。それが面白くなかったのか、突き飛ばされた。
痛みを堪えるうちに伸びてきた手に服を脱がされ、逃げられなくされてしまう。
それから、薬液の入った風呂に入らされた。
小さくなって風呂に入っていると、侍女が杯を差し出した。
「夜伽の準備のための特別な薬湯です」
「さあこちらを」
「ノエリア様へ、王妃様からの贈り物でございます。緊張を和らげるお酒です」
「王妃様から……?」
あれほど現王が私に近づくのを嫌がっていたのに、どういうことだろう。
毒かもしれない、と思った。
それならそれで構わない。殺してくれるならそれでもいい。
(これで、命を絶って、楽になれるなら……)
そう思って、私は湯船の中で少しずつ杯を傾けた。
「この香りもご存知ないなんて、無知なノエリア様」
「え……?」
毒ではなかったのだろうか。
言葉の意味も分からないまま、せき立てられて準備が進んでいく。
爪を血が出そうなほど深く丁寧に整えられ、髪に香油を塗られ、この夜のための衣に着替えさせられる。
万一にも王を傷つけないよう、夜伽の衣にはひとつの留め金もない。
気づいた時には湯上がりの身体に衣が結ばれ、私を王へと差し出す準備が整っていた。
「参りましょう」
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