【R18】虐げられた片翼姫が裏稼業な頭領に攫われ甘やかされてとろけるまで溺愛される話

あおまる三行

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1.虐げられた片翼姫は夜伽の寝室で奪われる

3.黒翼の侵入者

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 顔を隠すヴェールをかけられ、回廊を歩かされる。
 月明かりで衣が透けているような気がして落ち着かない。
 これから何をされるのだろうという恐怖が胸を支配する。
 それなのに……

(……身体が熱い、ような…………)

 恐怖以上に、身体が妙に火照り始めていた。
 薄布が擦れるのも気になって、歩くたびに熱っぽい吐息が漏れる。

「どうなさいました、ノエリア様」
「っ、い、いえ……」

 首を振る。
 侍女たちが隠しもせずに笑って、私を小さな寝所へ導いた。

(ここが、王の寝室……?)

 それにしては狭いし、庭園に続く硝子扉も開け放してある。
 けれど、私はそれ以上に自分の身体のことが気になっていた。

「ノエリア様」
「ごめんなさい……っ、さっきのお風呂で、のぼせて、しまったみたいで……」

 立っていられずに、息を乱しながらベッドに腰を下ろす。
 侍女たちが堪えきれないという様子で吹き出した。

「ノエリア様は、もう夜を期待されているんですね」
「はしたない方……」

 いやらしい、はしたない、とクスクス笑われる。
 違う、と言いたかった。
 けれどぐったりした身体が言うことをきかない。

(身体の奥が熱い……どうしたら……)

 色欲まみれだとなじられたことへのささやかな抵抗で、慎ましく禁欲的に生活するよう心掛けてきた。
 それなのに、感じたことのない熱で頬が火照っている。
 怖くて堪らないのに身体は熱くて、下着が濡れる感触があった。

(まさか本当に、私……期待、しているの……? 嫌なのに、身体が勝手に……)

 しばらくして、侍女たちはやけにかしこまって一礼した。

「ノエリア様。庭園に続く扉は開けてあります」
「え……?」
「身体がおつらければ、そこから出ていって衛兵の詰所へ行かれると良いでしょう」
「それでは、良い夜を」
 
 灯りを落とされ、入ってきた扉が閉まる。


 しばらく待っていても、誰も現れない。
 ヴェールを脱ぎ、ベッドの上で息を殺す。
 じっとしていれば治るだろうと思ったのに、身体の奥の熱は増していくばかりだった。

 こんな状態では、現王が来ても何も抵抗できない。
 いや、むしろ――はしたなく、迎え入れて、しまうかもしれない。
 涙があふれてくる。

「……っう……もう、いや……」

 現王は臣下にも私を共有させるつもりらしい。
 大切にしてもらえる筈がない。きっと乱暴に扱われて、馬鹿にされて、……
 ――恐ろしかった。
 そして、恐怖以上の絶望があった。

 何もかも奪われて、誰にも愛してもらえないまま。
 それでも浅ましく生きていくことしかできないなんて。


 そこへ、キィ、と硝子戸の軋む音がした。

「だ、だれ……?」
「……」

 背の高い……人。

「国王陛下、ですか……?」

 遅れて私がここにいると知らされたのだろうか。
 もはや抵抗もできずに、私は彼が近づいてくるのを見ていた。
 ほろほろと涙が落ちる。

 現王が亡き父より年上だということは知っていた。 
 私は恐る恐るその顔を見返そうとして――

「えっ!?」

 次の瞬間、組み敷かれていた。
 咄嗟に胸を押して遠ざけようとするけれど、弱々しい力では却って縋っているようだった。

「やぁっ!? お、お願い、どうか、ゆるして……っ」

 大きな黒い翼が目に入る。
 暗い中では顔はよく見えなかった。
 
(白翼族じゃない……? 国王陛下じゃない、いったい誰……)
(知らない人、まさか盗賊……!?)

 手をまとめて捕えられ、顎を掴まれる。

「や、っん、!? ……、んぅっ、ん」

(うそ、これ、キス……)

 口を開けろと言うように舌でつつかれ、されるがまま開けてしまう。
 入り込んだ舌が怯える私の舌を絡めとる。
 上顎を撫でられ、恥ずかしいほど身体が震えた。

「っ、ンうっ、いやぁ……、……っ」

(なに、なに、これ……!?)
(誰、なんで、……こんなことに……っ)

 何もわからないのに、怖くて堪らないのに――
 それ以上の快感が、何もかもを押し流すように寄せてくる。
 きもちがいい、と本能が思ってしまう。

(だめ、抵抗しないと、……っ)
(で、でも、なんで、こんなに……っ、)

 唇が離れると、互いの唾液が溢れていた。
 はぁはぁと息を乱す私を、青年は黙ったまま見下ろしていた。

「……見つけた」

 低い声が響く。

「っはぁ、……え……?」
「最悪の任務だと思っていたが……」

 盗賊か暗殺者のような人目を忍ぶ装束に、黒い翼が影を落としていた。

 風で長い黒髪が揺れて整った表情があらわになる。
 青年のまなざしに気づいて私はどきりとした。
 ひたひたと欲を湛えた藍色の瞳。

 まるで貫かれるようだと思った。
 共鳴するように心臓が高鳴る。

「――俺のツガイ」
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