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光と影が交差する芽吹きの章
32.春の貴族会合
春の会合は、長机を幾重にも並べた広間で行われていた。
中央に王家、その左右に高位貴族、さらに外側へと各領主が着席する。
序列は明確だ。
ダリウスは指定された席に腰を下ろし、静かに周囲を見渡した。
隣には従者としてカイネが控えている。背筋を伸ばし、必要以上に目立たぬようにしているが、視線だけは忙しなく動いていた。
――変わらないな。
机に置かれた茶器の配置ひとつとっても、王都の貴族たちは無言の主張を繰り返す。
誰がどこに座り、誰が誰に声をかけるか。それだけで力関係が透けて見えた。
会合の名目は懇談だが、実態は腹の探り合いだ。
長い卓を囲む顔ぶれの中で、ダリウスの席は始めて正式に用意されている。
それだけで、場の空気が変わったことがわかる。
ヴァルト辺境伯が、各領地の領主の顔合わせと懇談を主目的とした春の会議に招かれることなど、以前はなかった。
辺境伯――と言っても、隣国と境界線を接しているような拠点の辺境伯であれば、もっと重視されたのだろう。
しかしヴァルト辺境伯領が接しているのは、人も住まない、利益も生まない、魔獣の生息区域だ。
呼ばれるとすれば、魔獣の大量発生や疫病といった、誰も引き受けたがらない厄介事の報告のときだけだった。
忙しい最中に呼びつけられ、説明を終えれば感謝もなく、ただ「ご苦労だった」で追い返される。
――今回は違う。
視線が、探るように、値踏みするように、ダリウスへ向けられている。
魔晶石の噂は、まだ公にはなっていない。
それでも、辺境に何か変化が起きていることだけは、皆が嗅ぎ取っているようだ。
王は、この場に参加していない。
空席の玉座の隣に、二人の王子。
王は誠実な賢王だ。――しかし、強くはない。
「陛下のご体調はやはり思わしくないようだな」
「政務は、我々がしっかりせねば」
貴族たちはざわめく。
玉座の左右に、第一王子アルベルトと第二王子サイラスが並んでいた。
アルベルトは柔らかな笑みを浮かべ、弟の話に相槌を打っている。
誰に対しても分け隔てなく、言葉も穏やかだ。その様子は好感を持たれやすいが、反面、強い意志を感じさせない。
一方のサイラスは違った。姿勢を正し、発言の一つ一つに重みを持たせる。
視線は神殿側の高位神官や、シェリフォード公爵家の当主へと頻繁に向けられていた。
後ろ盾を――そして、その序列を意識している。
そのシェリフォード公爵家は、ひときわ存在感が強かった。
公爵家当主が軽く咳払いをするだけで、周囲の会話が自然と静まる。
神殿を代表して腰掛ける神官たちもまた、その言葉に頷き、時に補足するように意見を添える。
「神殿による安寧には感謝しているよ。聞けば、公爵からの支援もあったとか」
「微力でございます」
サイラスの言葉に、公爵家と神殿が揃って肯定の意を示す。まるで示し合わせたかのような流れだった。
若干、アルベルトは置いてけぼりにされている。
しかしアルベルトはそれを咎めるでもなく、少し困ったように微笑むだけだ。
「皆が安心して暮らせるのが一番だね」と、抽象的な言葉で寄り添おうとしている。
――悪い方ではない。だが、あれでは主導権は取れない。
ダリウスはそう評価していた。
アルベルト殿下は権力欲が薄いというより、争うこと自体を好まないのだろう。その姿勢は美徳でもあり、同時に弱点でもある。
サイラス殿下は、そんなアルベルト殿下を抜かりなく抑え込んでいる。
しかし、その露骨な警戒心が王たるものとして相応しいかというと、首を傾げざるをえない。
会議が進むにつれ、各領地の報告が続く。
税、治水、交易路。
どれも議論というよりは、王子たちの、特にサイラスへの成果のアピールだ。
辺境伯領の話題が出ると、空気がわずかに変わった。
雑談めいた口調で話を振られる。
「ヴァルト辺境伯、今年の冬は静かだったそうですな」
そう声をかけてきたのは、中堅の伯爵家当主だった。
労わる口調とは裏腹に、視線は値踏みするように鋭い。
こうしてダリウスに声をかける役割を、あらかじめ振られていたのだろう。
「例年通りです」
ダリウスは簡潔に答える。
「備えがあれば、乗り越えられぬほどではありません」
何を言わせたいのか、何を引き出したいのかは分かっていた。
「魔獣の動きが落ち着いているのは、結構なことだが……」
「雪が残る時期は寧ろ、魔獣は動きません。冬の雪の奥で眠りますから」
咳払いが響く。
「相変わらず厄介な土地ですな」
同情とも侮りともつかぬ声。
ダリウスは淡々と現状を述べるだけに留めた。功績を誇る必要はない。今は時期ではない。
その様子を、カイネは横目で見ていた。
従者として、口を挟むことはない。
しかしダリウスが余計な言葉を飲み込んでいるのは、よく分かっていた。
ダリウスは静かに息を吐く。
――この場では、辺境伯領はまだ、駒にすらなっていない。だが。
膝の上で指を組み、視線を落とす。
「ヴァルト辺境伯殿」
不意に名を呼ばれ、顔を上げる。
公爵エドムンド――ルーチェの義父。
当主の視線が、初めて真正面から向けられていた。
「今後とも、国のために辺境の管理に励んでいただきたいものですな」
儀礼的な言葉。しかし、その裏にある圧は明確だった。
「心得ております」
もう、以前のように飲み込まれたりはしない。
――今ごろ、ルーチェは茶会の席だろう。
自分とは違う戦場。剣も理も使えない、微笑と気品が武器となる場で、彼女は彼女なりに矢面に立っているはずだ。
厄災の噂、貧乏の揶揄、好奇と偏見。
そのすべてを受け止めながら、それでも背を伸ばして座っている姿が、ありありと浮かぶ。
ここで自分が踏み外せば、あちらの負担は確実に増す。
逆に、こちらが地盤を固められれば、ルーチェの立つ場所も守られる。
夫として、辺境伯として、やるべきことは明確だった。
「――ヴァルト辺境伯殿、いかがですかな」
声をかけられ、ダリウスはすぐに現実へ戻る。表情を変えぬまま、穏やかに、しかし一切の曖昧さを排した言葉で応じた。
彼女が戦っているのなら、自分もまた、ここで戦うだけだ。
「ところでヴァルト辺境伯。最近、借金を返したそうじゃないか。聞けば、細君の持参金を流用したとか?」
「厄災の烙印持ちの令嬢と結婚したと聞いた時は驚いたが、成程、実際は金と結婚したようなものだな」
「いやはや、実利家の貴殿らしい。自らの婚姻の権利まで金に換えてしまうとはね」
ほとんど嘲るような調子だった。
貧乏領、厄介払い、売られた婚姻。
これまで何度も投げつけられてきた言葉が、形を変えて蘇る。
ちら、とカイネを見ると、貼り付けたように無難な笑みを浮かべている。
目が合うと、「どうします、やり返すならお供しますよ」と顔に書いてあった。
ダリウスは、わずかに口角を上げた。
「……確かに、私が妻を迎えたという程度の変化がありましたな。それに伴い、諸々の動きはありました。……辺境の瑣末な出来事が、こうも皆様方のお耳を騒がせていたとは。驚いてしまいます」
反論もしない。弁明もしない。
ただ、受け流す。
自分でも不思議だった。
以前なら、どんなに誇り高くあろうとしても、胸の奥に鈍い屈辱が残ったはずだ。
信念に従っているのだと自分を鼓舞して、取るに足らない言葉だと忘れようとして。
屈辱を感じることこそ屈辱なのだと、傷ついたことも感じないようにして。
歯を食いしばり、足を踏ん張って、視線を下げないよう一点を見据えて。
無言で耐えるしかなかったはずだ。
今は、違う。
自分を信じて――並び立ち、共に歩いてくれる人がいる。
――こんな自分の、誰にも言えない思いを受け止めて、抱きしめてくれる人が。
それだけで、言葉は刃にならない。
会合の終盤、再びサイラスが発言権を得る。
「各領地の協力あってこその王国です。特に、王都と神殿を中心とした体制は、今後も強固にしてゆきたいもの」
その言葉に、公爵エドムンドと神官たちが満足そうに頷く。
アルベルトは何も言わず、ただ穏やかに場を見渡していた。
そうして、会合は果てた。
「……カイネ、行くぞ」
「はい」
席を立つダリウスを、誰も引き留めなかった。
いや、引き留められなかった、と言うべきかもしれない。
会議室を出る背中は、以前よりもずっと、揺るぎなく見えた。
中央に王家、その左右に高位貴族、さらに外側へと各領主が着席する。
序列は明確だ。
ダリウスは指定された席に腰を下ろし、静かに周囲を見渡した。
隣には従者としてカイネが控えている。背筋を伸ばし、必要以上に目立たぬようにしているが、視線だけは忙しなく動いていた。
――変わらないな。
机に置かれた茶器の配置ひとつとっても、王都の貴族たちは無言の主張を繰り返す。
誰がどこに座り、誰が誰に声をかけるか。それだけで力関係が透けて見えた。
会合の名目は懇談だが、実態は腹の探り合いだ。
長い卓を囲む顔ぶれの中で、ダリウスの席は始めて正式に用意されている。
それだけで、場の空気が変わったことがわかる。
ヴァルト辺境伯が、各領地の領主の顔合わせと懇談を主目的とした春の会議に招かれることなど、以前はなかった。
辺境伯――と言っても、隣国と境界線を接しているような拠点の辺境伯であれば、もっと重視されたのだろう。
しかしヴァルト辺境伯領が接しているのは、人も住まない、利益も生まない、魔獣の生息区域だ。
呼ばれるとすれば、魔獣の大量発生や疫病といった、誰も引き受けたがらない厄介事の報告のときだけだった。
忙しい最中に呼びつけられ、説明を終えれば感謝もなく、ただ「ご苦労だった」で追い返される。
――今回は違う。
視線が、探るように、値踏みするように、ダリウスへ向けられている。
魔晶石の噂は、まだ公にはなっていない。
それでも、辺境に何か変化が起きていることだけは、皆が嗅ぎ取っているようだ。
王は、この場に参加していない。
空席の玉座の隣に、二人の王子。
王は誠実な賢王だ。――しかし、強くはない。
「陛下のご体調はやはり思わしくないようだな」
「政務は、我々がしっかりせねば」
貴族たちはざわめく。
玉座の左右に、第一王子アルベルトと第二王子サイラスが並んでいた。
アルベルトは柔らかな笑みを浮かべ、弟の話に相槌を打っている。
誰に対しても分け隔てなく、言葉も穏やかだ。その様子は好感を持たれやすいが、反面、強い意志を感じさせない。
一方のサイラスは違った。姿勢を正し、発言の一つ一つに重みを持たせる。
視線は神殿側の高位神官や、シェリフォード公爵家の当主へと頻繁に向けられていた。
後ろ盾を――そして、その序列を意識している。
そのシェリフォード公爵家は、ひときわ存在感が強かった。
公爵家当主が軽く咳払いをするだけで、周囲の会話が自然と静まる。
神殿を代表して腰掛ける神官たちもまた、その言葉に頷き、時に補足するように意見を添える。
「神殿による安寧には感謝しているよ。聞けば、公爵からの支援もあったとか」
「微力でございます」
サイラスの言葉に、公爵家と神殿が揃って肯定の意を示す。まるで示し合わせたかのような流れだった。
若干、アルベルトは置いてけぼりにされている。
しかしアルベルトはそれを咎めるでもなく、少し困ったように微笑むだけだ。
「皆が安心して暮らせるのが一番だね」と、抽象的な言葉で寄り添おうとしている。
――悪い方ではない。だが、あれでは主導権は取れない。
ダリウスはそう評価していた。
アルベルト殿下は権力欲が薄いというより、争うこと自体を好まないのだろう。その姿勢は美徳でもあり、同時に弱点でもある。
サイラス殿下は、そんなアルベルト殿下を抜かりなく抑え込んでいる。
しかし、その露骨な警戒心が王たるものとして相応しいかというと、首を傾げざるをえない。
会議が進むにつれ、各領地の報告が続く。
税、治水、交易路。
どれも議論というよりは、王子たちの、特にサイラスへの成果のアピールだ。
辺境伯領の話題が出ると、空気がわずかに変わった。
雑談めいた口調で話を振られる。
「ヴァルト辺境伯、今年の冬は静かだったそうですな」
そう声をかけてきたのは、中堅の伯爵家当主だった。
労わる口調とは裏腹に、視線は値踏みするように鋭い。
こうしてダリウスに声をかける役割を、あらかじめ振られていたのだろう。
「例年通りです」
ダリウスは簡潔に答える。
「備えがあれば、乗り越えられぬほどではありません」
何を言わせたいのか、何を引き出したいのかは分かっていた。
「魔獣の動きが落ち着いているのは、結構なことだが……」
「雪が残る時期は寧ろ、魔獣は動きません。冬の雪の奥で眠りますから」
咳払いが響く。
「相変わらず厄介な土地ですな」
同情とも侮りともつかぬ声。
ダリウスは淡々と現状を述べるだけに留めた。功績を誇る必要はない。今は時期ではない。
その様子を、カイネは横目で見ていた。
従者として、口を挟むことはない。
しかしダリウスが余計な言葉を飲み込んでいるのは、よく分かっていた。
ダリウスは静かに息を吐く。
――この場では、辺境伯領はまだ、駒にすらなっていない。だが。
膝の上で指を組み、視線を落とす。
「ヴァルト辺境伯殿」
不意に名を呼ばれ、顔を上げる。
公爵エドムンド――ルーチェの義父。
当主の視線が、初めて真正面から向けられていた。
「今後とも、国のために辺境の管理に励んでいただきたいものですな」
儀礼的な言葉。しかし、その裏にある圧は明確だった。
「心得ております」
もう、以前のように飲み込まれたりはしない。
――今ごろ、ルーチェは茶会の席だろう。
自分とは違う戦場。剣も理も使えない、微笑と気品が武器となる場で、彼女は彼女なりに矢面に立っているはずだ。
厄災の噂、貧乏の揶揄、好奇と偏見。
そのすべてを受け止めながら、それでも背を伸ばして座っている姿が、ありありと浮かぶ。
ここで自分が踏み外せば、あちらの負担は確実に増す。
逆に、こちらが地盤を固められれば、ルーチェの立つ場所も守られる。
夫として、辺境伯として、やるべきことは明確だった。
「――ヴァルト辺境伯殿、いかがですかな」
声をかけられ、ダリウスはすぐに現実へ戻る。表情を変えぬまま、穏やかに、しかし一切の曖昧さを排した言葉で応じた。
彼女が戦っているのなら、自分もまた、ここで戦うだけだ。
「ところでヴァルト辺境伯。最近、借金を返したそうじゃないか。聞けば、細君の持参金を流用したとか?」
「厄災の烙印持ちの令嬢と結婚したと聞いた時は驚いたが、成程、実際は金と結婚したようなものだな」
「いやはや、実利家の貴殿らしい。自らの婚姻の権利まで金に換えてしまうとはね」
ほとんど嘲るような調子だった。
貧乏領、厄介払い、売られた婚姻。
これまで何度も投げつけられてきた言葉が、形を変えて蘇る。
ちら、とカイネを見ると、貼り付けたように無難な笑みを浮かべている。
目が合うと、「どうします、やり返すならお供しますよ」と顔に書いてあった。
ダリウスは、わずかに口角を上げた。
「……確かに、私が妻を迎えたという程度の変化がありましたな。それに伴い、諸々の動きはありました。……辺境の瑣末な出来事が、こうも皆様方のお耳を騒がせていたとは。驚いてしまいます」
反論もしない。弁明もしない。
ただ、受け流す。
自分でも不思議だった。
以前なら、どんなに誇り高くあろうとしても、胸の奥に鈍い屈辱が残ったはずだ。
信念に従っているのだと自分を鼓舞して、取るに足らない言葉だと忘れようとして。
屈辱を感じることこそ屈辱なのだと、傷ついたことも感じないようにして。
歯を食いしばり、足を踏ん張って、視線を下げないよう一点を見据えて。
無言で耐えるしかなかったはずだ。
今は、違う。
自分を信じて――並び立ち、共に歩いてくれる人がいる。
――こんな自分の、誰にも言えない思いを受け止めて、抱きしめてくれる人が。
それだけで、言葉は刃にならない。
会合の終盤、再びサイラスが発言権を得る。
「各領地の協力あってこその王国です。特に、王都と神殿を中心とした体制は、今後も強固にしてゆきたいもの」
その言葉に、公爵エドムンドと神官たちが満足そうに頷く。
アルベルトは何も言わず、ただ穏やかに場を見渡していた。
そうして、会合は果てた。
「……カイネ、行くぞ」
「はい」
席を立つダリウスを、誰も引き留めなかった。
いや、引き留められなかった、と言うべきかもしれない。
会議室を出る背中は、以前よりもずっと、揺るぎなく見えた。
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