【本編完結】厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです

あおまる三行

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光と影が交差する芽吹きの章

幕間 アルとリヒ

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 王宮の廊下は、相変わらず人の出入りが多い。
 書類を胸に抱えながら歩くリヒトは、その喧騒を意識の端で受け流していた。
 第一王子アルベルトの執務室へ向かう。
 書類の内容は、地方行政の定例報告、備蓄管理庫の定期監査報告、認可印待ちの税再配分案。
 どれも王国を回すには欠かせないが、拍手喝采を浴びる類の仕事ではない。

 ——それでも、誰かが責任を持って目を通し、決裁する必要がある仕事だ。
 リヒトはそう理解しているし、だからこそこの部署は性に合っていた。
 同僚たちの評価も概ね同じだ。
「アルベルト殿下の方が話は通じるし、仕事は頼みやすい」
「ただ、決断力がね。これといった華やかな成果もないし」
「何より、サイラス殿下みたいな覇気がない」
 同僚たちの内輪の評価は、辛辣で不敬でもあるが、感情的ではない。
 成果と効率で人を測る空気は、リヒトにとって居心地が良かった。
(寧ろ、俺は公爵位なんぞを継ぐより、こうして働く方が性には合っていたんだろう)
 それを認めるのも、釈然としない気はしたが。

「……」
 アルベルトの執務室前に差しかかった時、ひとつの光景が目に入った。
 扉の前に立っているのは、神殿所属の高位神官と、サイラス派の若い貴族。
 二人は扉の前で一礼もせず、確認も取らずにそのまま通り過ぎていった。

 ——退室の礼を取っていない。
 わざわざ呼び止めて、儀礼上の瑕疵をうるさく咎め立てるほどではない。
 だが、その直後に二人が向かった先は、サイラスの執務室だった。
 扉を叩く。
 役職を添えた名乗り。
 丁重な挨拶。
 扉が閉まるまでの一連の動きが、あまりにも滑らかで、あまりにも対照的だった。

 リヒトは小さく息を吐き、眼鏡を掛け直すと、アルベルトの部屋の扉を叩く。
 殊更に、儀礼を重んじて。
「謹んで、アルベルト・エルティオス第一王子殿下にご挨拶申し上げます。王宮内府監査官リヒトにございます」
「ああ、入ってくれ」
 返ってきた声は、いつも通り穏やかだった。
 室内では、アルベルトが机に向かい、書類に目を通している。
 控えている従者は一人だけ。リヒトの前に来たらしい政務官が一人、自分の書類を片づけているところだった。
 サイラスの執務室に比べれば、明らかに人が少ない。
「殿下、こちらを」
「ありがとう。……助かるよ」
 受け取る手つきは丁寧で、視線は真っ直ぐだ。
 アルベルトは周囲を見回し、部下に命じた。
「少しリヒト卿と話がある。君も外へ」
「はっ」
 従者と、残っていた政務官が外へ出る。

 皆が退出すると、執務室には静けさが戻った。
 重い扉が閉まる音が、やけに大きく響く。
 アルベルトは立ち上がるや否やリヒトに近づいた。

「久しぶりだな、リヒ」
 気取らない声音で、アルベルトはそう言った。

「元気にしていたか。北に行ったと聞いたが、風邪はひいていないかな。ほら、こっちに座ってくれ」
 公的な場での曖昧な笑みとは違う、昔の面影を残した表情だった。
「おやめください、殿下」
 リヒトは即座に言葉を切り、深く一礼する。
「ここは職務の場です。私的な呼び方は控えていただきたい」
「……相変わらずだ」
 アルベルトは苦笑し、傍の椅子に腰を下ろした。
 リヒトも溜め息をついて、その差し向かいに腰掛ける。

 かつての記憶が重なる。
 幼い頃、アルベルトとリヒトは、「未来の王」と「その右腕」として並び立つ存在だと教えられて育った。
 王宮の奥で、同じ教師から学び、同じ課題に取り組んだ。
 アルベルトは昔から少し臆病で、喧嘩が苦手で、早熟だったリヒトから見ると少し鈍臭いところもある王子だった。
 けれど、常に彼の隣にいることを求められ――その優しさも、よく理解するようになっていった。
 そのまま進めば、第一王子アルベルト殿下は王太子殿下そして国王陛下に、公爵家令息リヒトはシェリフォード公爵に……なった筈だった。

 その未来は、アルベルトの母である正王妃の急逝で大きく変わった。
 正王妃はこの国の王家に連なる大公家の出身だった。
 もう一人の妃は、西帝国との和平のために迎えられていた側妃。その腹に生まれた第二王子サイラスが、政治的価値を理由に持ち上げられた。
 何より、当人の資質――計算高く冷静で雄弁、かつ必要とあらば華やかな振る舞いもできる弟王子は、促されるまでなかなか自分の意見を言えない優柔な兄王子よりも、確かに魅力的に見えた。
 将来サイラスが即位すれば西帝国の影響が濃くなる、ということへの警戒感はあったものの、外国との結びつきが強まると考えれば悪くないとも評された。恐らく、西帝国からはそれを見越した支援もあったのだろう。
 気がつけば、宮廷の空気は少しずつ、しかし確実にサイラスの支持へ傾いていった。
 そして――リヒトの公爵家からの放逐。
 リヒトが追い出されたことは、リヒト自身、そしてルーチェにとって痛手だっただけではない。アルベルトにとっても、明確な不利の象徴だった。
 
 シェリフォード公爵家が第一王子アルベルトから第二王子サイラスに乗り換えた――これにより、第一王子派は一気に崩れた。
 
 いつの間にか、王宮の中枢はサイラス派が占めるようになった。
 アルベルトは、何度も命を狙われた。事故に見せかけた落馬、毒を疑われた体調不良、不自然な護衛の入れ替え。
 どれも決定的な証拠は残らず、ただの偶然として処理された。
 アルベルトを支援していた貴族には次々に、不自然な「不幸」が訪れた。
 そして、それらはすべてルーチェ・シェリフォード令嬢――「厄災の烙印」持ちとかかわったせいであると、すさまじい速度で噂が広がった。
 アルベルトは段々と、優柔不断で頼りない面をあらわにされるようになり――王位に対して欲のない、取るに足らない存在として、自ら振る舞うようになった。

 今日もそうだ。アルベルトの執務室に出入りする貴族や神官は、必要最低限の報告だけを置いて去っていく。
 視線を合わせず、意見を求められても曖昧な返答しかしない。命令には従うが、敬意はない。
 その態度は、もはや隠そうともしていなかった。

 直後、廊下側から声が聞こえた。
「――アルベルト殿下には、もうお伝えしたのか?」
「いや。必要ないかと。サイラス殿下がご存知なら十分だろう」
 扉の外だ。
 明らかに、こちらに聞こえる距離での――聞かせている、会話だった。
 一瞬、アルベルトの指が止まる。
 ほんの一瞬だが、リヒトは見逃さなかった。
「……殿下」
「気にしないでくれ」
 アルベルトは苦笑して、肩をすくめる。
「急ぎの案件は、弟に回した方が皆も安心なんだろう」
 自嘲ではない。
 だが、受け入れてしまっている声音だった。

 ——慣れている。
 リヒトはそう判断する。
 無視や軽視に慣れてしまうのは、王子にとって健全とは言えない。

「……僕は、いまひとつ信頼されていないなぁ」
 アルベルトがぽつりと言った。自嘲とも、確認ともつかない声音だった。
「事実を申し上げれば、殿下は信頼されていないというより、重んじられていないのです」
「手厳しいな」
「今は臣下として、そうお諌めすることを求められていると解しました」
 リヒトは淡々と答えた。
「殿下を支持する者たちは、表立って声を上げられる状況にありませんから。……それは殿下のお振舞いにも起因しています」
 残酷な言葉だと分かっている。それでも、曖昧な慰めを口にする方が無責任だった。
「だろうな。君はそう言うと思った。……リヒ」
 アルベルトは怒るでもなく、ただ静かに息を吐いた。
 リヒトもそれに対して、ふっと肩の力を抜く。

「……殿下。俺のことより、何よりご自身の立場を気にされるべきです」
 その言葉に、アルベルトは一瞬だけ目を伏せた。
「わかっている」
 静かな声だった。
「わかっているけれど……僕が野心的だと見られると、その分だけ、周りに迷惑をかけるから」
 机の上に置かれた王家の印章が、重たく沈黙している。
「母上が亡くなってから、ずっとそうだ。それに、サイラスの方が王に向いているのは事実だろう。僕は……将来は弟の、良き補佐役になれたらと、思っているよ。兄弟仲良く……理想的じゃないか」

 自嘲でも愚痴でもない。淡々とした事実の羅列だった。
 リヒトは、胸の奥に苛立ちを覚える。
 ――アルベルト。それは、お前が押さえつけられてきただけだ。

「アル……前々から言っているが、お前は勘違いをしている」
 リヒトはそれまでの儀礼的な物言いを捨て去ると、大きく溜め息をついた。
「お前は、自分が野心的になると「周囲に迷惑がかかる」と言う。しかしそれは逆だ。お前が何も望まず、何も主張しないことによる影響はどう考えている。お前はどうあっても、この国の第一王子だ。どれほど静かにしていようと、その事実は変わらない」
 言葉が、刃のように重ねられていく。
「それに、お前に忠誠を誓った者。お前が正統な王の後継者だと信じて動いた者。彼らは今、どうなっていると思う。お前を忘れて、どこかで呑気に暮らしているとでも? 左遷され、無視され――それでもなお、いつか立つお前のことを思って、沈黙しているんだ」
 机に置かれた指先が、かすかに震える。
「リヒ……」
「遮るな。まだ俺が喋ってる。……お前が優しいのは知ってる。争いを好まず、誰も傷つけたくない。その感情は理解しよう。基本的に争いというものが無益であるのも承知だ。だが、お前とサイラス殿下の間の状況は、好むと好まざるとにかかわらず、そもそもが争いの形をしている。避ければ消える類のものではない。お前が何も選ばないということは、誰かが勝手に選ぶということだ。そしてその「誰か」さんは、決してお前の未来を思っては動かない。寧ろお前を利用し、必要とあらばすぐにでも叩き潰す」
 一拍置いて、リヒトは吐き捨てるように続けた。
「……はっきり言っておくが。今のお前は、利用されるために生かされている。お前が温厚で、従順で、自己主張をしないからこそ、第二王子派はお前を、いざという時には利用して排除できる存在として残している。それはお前だけじゃない。お前を信じる者たちもまとめて、だ。……それで? どうだ、アル。それでもなお、野心を持つと周囲に迷惑がかかるなどと言えるのか。既にお前は、思考せず黙って諾々と従っているせいで、お前を信じる者たちにこれ以上ない迷惑をかけている」

 アルベルトはしばらく俯いたまま、やがて小さく息を吐いた。
「……耳が痛いな」
「だろうな。夢想家であらせられる優しい王子殿下の耳がよく痛むように言ったからな」
 リヒトは一切、容赦しなかった。
「それと、お前は俺が「遮るな」と言った時に、王子として臣下の不敬を正すべきだった。また、「そもそもお前が公爵家を追放されなければよかった」と俺に強く反論すべきだ。その二つも減点対象として言い添えておく」

 最後にチッと舌打ちをして不貞腐れたように足を組んだリヒトを、しかしアルベルトは寧ろ、嬉しそうに見た。
「なんだその笑顔は。気色の悪い……」
「いや……リヒ、君が変っていなくて嬉しい」
「……変わっていないのは、お前も同じだろう」
「ん…………いや、変わってしまったよ。僕は」

 前よりもっと臆病者になった、とアルベルトは自嘲的に言う。
「……」
 リヒトは思う。
(少なくとも、これだけ神殿と公爵家が後押ししてなお、国王陛下が未だ後継者を定めないのは……)
(陛下は、やはりアルベルトの立太子を望んでおられるのではないだろうか)
 そう言いたかった。
 だが、ここまで自分が言っても動かないのだ。それを口にしても、アルベルトは身を潜めたままだろう。
 かつて期待された「王の器」の面影は、隠れて見えなくなってしまっている。
(肝心の本人がこうでは……陛下も、亡き正王妃様の忘れ形見というだけでは、王太子には強く推せないのだろう)


 アルベルトはふっと溜め息をついて、それから空気を変えるようににっこりと笑った。
「そういえば――リヒ。君の妹君に、先日会ったよ」
 リヒトの眉がぴくりと動く。
「今はヴァルト辺境伯夫人だろう?……妹君の瞳は印象に残るね。君とそっくりの翠の瞳だから驚いたけれど、彼女は君と違って辛辣さがないな。昔、僕の婚約者として名前が挙がっていたのを思い出してしまった」
 そこまで言ってから、アルベルトはようやくリヒトの視線の鋭さに気づいたらしい。苦笑を浮かべる。
 リヒトは即座に言った。
「妹に関心を持つな」
「……相変わらずだね。リヒの妹君煩悩も」
 冗談めかして言いながら、どこか懐かしむような目をする。
「幼い頃もそうだった。ルーチェ・シェリフォード嬢……一度も僕に見せてくれなかっただろう?城に遊びに来た時でさえ」
「当然だ」
「あれだけリヒが可愛がる妹を見せてくれって頼んだのに」
 リヒトは眼鏡の位置を指で押し上げた。
「妹は見世物じゃない」
「はは。あの時と同じことを言うじゃないか」

「妹の夫は……ダリウス・ヴァルトのことは、どう見た?」
「誠実そうな男だと思ったよ。良い夫君を持たれたね、妹君は」
「そうじゃない。お前を支える人間として、だ。あれは少なくとも権力で動かされる人間じゃない。お前のもとに引き入れれば助けに……」
「リヒ。ありがとう」
 遮るようにアルベルトは感謝を口にした。
「でももう、本当に、いいんだ」
 アルベルトは軽く笑ったが、その笑みはすぐに薄れる。
「……妹君も公爵家を離れたんだ。君も……僕のことは良い。以前、妹君を連れて南方へ行くことも思案していただろう。もしサイラスが即位する日が来たら、……リヒ、君はもう、どうかこの国を離れてほしい」
「承服しかねる。俺は……」

 そこへ、ノックの音が響いた。

「おっと。……話しこみすぎたようだね……」
 アルベルトは立ち上がると、静かにリヒトを見た。
 寂しげに眉を寄せて。

「話はここまでだ。……ご苦労だった、リヒト卿。書類はこちらで確認して、裁可しておく」
「……」
 リヒトは溜め息をついて、それから、深々と頭を下げる。
「とんでもございません、アルベルト殿下。数々の不敬、どうかお許しを」
 
 部屋を出る直前、アルベルトはふと思い出したように言った。
「舞踏会の準備は順調かな」
「問題なく進んでおります」
「はは。そうか。……流石は、王都で噂の辣腕官吏殿だ」

 その笑顔は穏やかで、しかしどこか影があった。
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