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第1章:辺境復興編
3話:数字は嘘をつかない
一週間は、あっという間だった。
初日。セバスの人脈を使って、南の町の薬師に連絡を取った。レムリア草の買い取り交渉。提示した価格はひと束金貨二枚半。王都相場の三枚より安いが、輸送の手間と安定供給を考えれば妥当な線だ。薬師は二つ返事で応じた。良質なレムリア草の安定供給元は、向こうにとっても喉から手が出るほど欲しいらしい。
二日目から四日目。山道の整備。道とは言えないような獣道に、最低限人が歩ける幅を作る。木を切り、岩をどかし、足場の悪い斜面にはロープを張った。
やったのは私とセバスと、「まあ暇だし」と出てきた住民が三人。それからグレン。
グレンには頼んでいない。護衛の延長として黙ってついてきて、黙って木を切り、黙って岩を運んだ。指示も受けず、礼も求めず。誰よりも重いものを持ち上げておきながら、顔色一つ変えない。
五日目。初回の採取。道が通ったおかげで、往復が三時間に縮まった。群生地の端から、再生に影響のない範囲で摘み取る。根は残す。来月も来年も採れるように。
手伝いの住民たちは、最初は半信半疑だった。でもレムリア草を手に取って香りを嗅いだ老人が「間違いねえ、本物だ」と呟いた瞬間、空気が変わった。
六日目と七日目。出荷の準備と発送。セバスが手配した荷馬車で南の町へ。
帰ってきた荷馬車には、金貨が載っていた。
***
一週間と一日目の朝。住民を広場に集めた。
前回より人が多い。噂を聞きつけたのか、六十人近くが集まっている。
私は帳簿を広げた。
その隣に、革袋を置く。中身が見えるように、口を開けて。
「レムリア草、初回出荷分。売上は金貨十二枚半。採取と輸送の経費を引いて、純利益は金貨八枚」
ざわめきが起きた。
「金貨八枚?」
「一週間で……?」
「嘘だろ」
「嘘じゃないわ」
帳簿を掲げた。
「これが取引の記録。南の町の薬師から受け取った証書。採取量、輸送費、人件費、全部書いてある。確認したい人はどうぞ」
帳簿と証書を住民たちに回した。数字が読める者は少ないだろう。でも、金貨は誰にでも分かる。革袋の中で鈍く光る金色が、何よりの証拠だ。
「この利益は領地のために使う。まず食料の備蓄。次に道の修繕。山道の本格的な整備もやるわ。参加してくれた人には日当を払います」
沈黙。
人だかりの後ろの方から、杖の音が聞こえた。
住民たちが道を空ける。老婆が前に出てきた。
一週間前、「証拠を見せろ」と言った老婆。
老婆は帳簿を受け取り、じっと眺めた。数字が読めるのか読めないのか分からない。でも長い間、ページを見つめていた。
やがて帳簿を返し、私の顔を見た。
「……ふん。口だけじゃないのか」
それだけ言って、背を向けた。
「ばあさん、どうすんだよ」
後ろの男が聞いた。
「どうもこうも。明日から手伝うよ。どうせ暇だしね」
老婆が去ると、堰を切ったように手が挙がり始めた。一人、二人、五人。一週間前に腕を組んで斜に構えていた男までが、ばつが悪そうに手を挙げた。
爆発的な変化じゃない。全員が賛同したわけでもない。
でも、空気が変わった。
言葉じゃなくて、数字で示した。金貨八枚という事実が、どんな演説よりも雄弁だった。
***
それから数日。
薬草の採取は二回目、三回目と続き、領地に少しずつ金が回り始めた。
手伝いに来る住民が増えた。道の修繕も動き出した。セバスが連日走り回っている。
私は帳簿を一から組み直していた。前の代官の帳簿は捨てて、収支の項目を全部作り直す。採取量と売上の記録。住民ごとの作業量と日当の台帳。食料輸送のコストと頻度の見直し。
前世の棚卸しみたいなものだ。資産を洗い出して、無駄を削って、金の流れを見える化する。経営の基本。
帳簿に向かっている時間は、嫌いじゃなかった。数字は裏切らない。足し算は誰がやっても同じ答えになる。
その日の夕方。
セバスが慌てた様子で執務室に来た。
「アイリス様、お客様です」
「客? 誰?」
「ヴァレンシア公爵家から、とのことです」
ペンが止まった。
***
応接室に入ると、見覚えのある顔があった。
ドルトン。父の側近。公爵家の財務を「表向き」仕切っている男。
実際は私が全部やっていたけど。
痩せた男で、目が落ち着かない。昔からそうだ。帳簿を見ているふりだけして、中身は私に丸投げしていた。数字を読む力がないから、辻褄が合っていなくても気づかない。
鑑定する。
【ドルトン】
現在価値:300
潜在価値:400
300。相場で言えば「無能、もしくは未完成」の帯域。潜在も400。伸びしろもほとんどない。
(まあ、この人に期待したことは一度もないし)
数字通りの人間だ。それ以上でも以下でもない。
「お久しぶりです、アイリス様」
「……何の用?」
「単刀直入に申し上げます」
ドルトンは書類を取り出した。公爵家の紋章入り。公式文書の体裁。
「この領地の薬草取引を、停止していただきたい」
「理由は?」
「辺境の資源は公爵家の管轄下にあります。無許可での商取引は認められません」
もっともらしい建前。でも、辺境領の資源管理権は領主にある。公爵家の「管轄」は名目上のもので、法的拘束力はない。
それを知らないのか、知っていて押し通そうとしているのか。たぶん後者だ。この男に法律の知識はない。誰かに言われた通りの台詞を喋っているだけ。
「おとなしく従っていただければ、悪いようにはいたしません。生活費くらいは送りましょう」
(生活費、ね)
つまり、こういうことだ。
私がいなくなった公爵家は、案の定困っている。帳簿が回らない。取引先との交渉もできない。けれど「戻ってきてくれ」とは言えない。追い出したのは自分たちだから。
だから私を「無力化」しにきた。成功されると、追い出した判断が間違いだったと認めることになるから。
飼い殺し。辺境で大人しくしていてくれれば、公爵家の面子は保たれる。
「ドルトン」
私は帳簿を閉じて、立ち上がった。
「公爵家の帳簿、私が何年管理してたか覚えてる?」
「……何が言いたい」
「あなたの支出報告、五年分。数字が合わないところ、全部覚えてる」
ドルトンの顔から血の気が引いた。
「『雑費』の金額が毎月膨らんでいくのよね。それから『修繕費』。工事の記録がないのに、支出だけがある」
一歩、近づく。
「横領でしょう? 私がいた頃から怪しいと思ってた。証拠がなかったから黙ってたけど——今はもう、黙ってる理由がないのよね」
ドルトンが後ずさった。椅子に腰がぶつかって、がたりと音がする。
「あなた個人の不正なのか、父上も絡んでるのか、そこまでは分からない。でも、調べればすぐに分かること。私が公爵家の帳簿のどこに何があるか全部知ってることは——知ってるわよね?」
沈黙が落ちた。
ドルトンの額に汗が浮かんでいる。目が泳ぎ、唇が震えている。数字の前では、人は嘘がつけない。
「……この件は」
ドルトンが絞り出すように言った。
「なかったことに」
「最初からそう言えばいいのに」
私は扉を開けた。
「帰っていいわよ。ああ、父上に伝えて。『帳簿の引き継ぎ、まだ終わってないんじゃないですか?』って」
ドルトンは何も言わず、逃げるように去っていった。
***
廊下に出ると、グレンが壁際に立っていた。
応接室のすぐ横。最初からいたのだろう。
「聞いてたの?」
「護衛ですから」
いつもの返答。でも、声の調子がわずかに違う気がした。
「あの男、二度と来ないと思うわ。弱みを握られたら動けない」
「……あの書類は」
「ん?」
「公爵家の紋章がありました。公式文書です。それを——帳簿の記憶だけで退けた」
私は少し驚いた。グレンが自分から二文以上喋ることは珍しい。
「公式文書でも、中身が嘘なら意味がないわ。数字は嘘をつかない。嘘をつくのはいつも人間の方よ」
グレンは何も言わなかった。
ただ、いつもは壁の一点か、窓の外か、あるいは廊下の先を見ている灰色の瞳が——ほんの一瞬、私の手元に向いた。帳簿を持つ手に。
視線はすぐに外れた。気のせいかもしれない。
「……異常ありません」
日課の報告。毎日同じ言葉。でも今日のそれは、いつもの無味乾燥な業務報告とは少し違って聞こえた。
何が違うのか、うまく言えないけれど。
***
夜。執務室で帳簿の整理をしていると、ノックの音がした。
「どうぞ」
セバスが紅茶を持って入ってきた。湯気が立っている。こんな辺境で、どこから茶葉を調達したのか。
「お疲れ様でございます」
「ありがとう」
カップを受け取る。温かい。
セバスは少し迷うような間を置いてから、口を開いた。
「アイリス様。前の領主様は——」
「うん」
「一度も、あのような方に言い返す方はおられませんでした」
「そう」
「書類を突きつけられたら、皆、従うか、逃げるか。帳簿で戦い返した方は——」
「大げさよ」
紅茶を一口飲む。少し渋いが、悪くない。
「数字を握ってる人間は強いの。当たり前のことよ。覚えておいて、セバス」
セバスは深く頭を下げた。
「……お仕えできて、光栄でございます」
「大げさだってば」
窓の外を見る。
小さな領地に灯りが点々と灯っている。一週間前より、明らかに数が増えた。夜遅くまで作業をしている住民がいるのだろう。
紅茶を飲み干して、ペンを取った。
まだやることは山ほどある。でも、不思議と嫌じゃなかった。
初日。セバスの人脈を使って、南の町の薬師に連絡を取った。レムリア草の買い取り交渉。提示した価格はひと束金貨二枚半。王都相場の三枚より安いが、輸送の手間と安定供給を考えれば妥当な線だ。薬師は二つ返事で応じた。良質なレムリア草の安定供給元は、向こうにとっても喉から手が出るほど欲しいらしい。
二日目から四日目。山道の整備。道とは言えないような獣道に、最低限人が歩ける幅を作る。木を切り、岩をどかし、足場の悪い斜面にはロープを張った。
やったのは私とセバスと、「まあ暇だし」と出てきた住民が三人。それからグレン。
グレンには頼んでいない。護衛の延長として黙ってついてきて、黙って木を切り、黙って岩を運んだ。指示も受けず、礼も求めず。誰よりも重いものを持ち上げておきながら、顔色一つ変えない。
五日目。初回の採取。道が通ったおかげで、往復が三時間に縮まった。群生地の端から、再生に影響のない範囲で摘み取る。根は残す。来月も来年も採れるように。
手伝いの住民たちは、最初は半信半疑だった。でもレムリア草を手に取って香りを嗅いだ老人が「間違いねえ、本物だ」と呟いた瞬間、空気が変わった。
六日目と七日目。出荷の準備と発送。セバスが手配した荷馬車で南の町へ。
帰ってきた荷馬車には、金貨が載っていた。
***
一週間と一日目の朝。住民を広場に集めた。
前回より人が多い。噂を聞きつけたのか、六十人近くが集まっている。
私は帳簿を広げた。
その隣に、革袋を置く。中身が見えるように、口を開けて。
「レムリア草、初回出荷分。売上は金貨十二枚半。採取と輸送の経費を引いて、純利益は金貨八枚」
ざわめきが起きた。
「金貨八枚?」
「一週間で……?」
「嘘だろ」
「嘘じゃないわ」
帳簿を掲げた。
「これが取引の記録。南の町の薬師から受け取った証書。採取量、輸送費、人件費、全部書いてある。確認したい人はどうぞ」
帳簿と証書を住民たちに回した。数字が読める者は少ないだろう。でも、金貨は誰にでも分かる。革袋の中で鈍く光る金色が、何よりの証拠だ。
「この利益は領地のために使う。まず食料の備蓄。次に道の修繕。山道の本格的な整備もやるわ。参加してくれた人には日当を払います」
沈黙。
人だかりの後ろの方から、杖の音が聞こえた。
住民たちが道を空ける。老婆が前に出てきた。
一週間前、「証拠を見せろ」と言った老婆。
老婆は帳簿を受け取り、じっと眺めた。数字が読めるのか読めないのか分からない。でも長い間、ページを見つめていた。
やがて帳簿を返し、私の顔を見た。
「……ふん。口だけじゃないのか」
それだけ言って、背を向けた。
「ばあさん、どうすんだよ」
後ろの男が聞いた。
「どうもこうも。明日から手伝うよ。どうせ暇だしね」
老婆が去ると、堰を切ったように手が挙がり始めた。一人、二人、五人。一週間前に腕を組んで斜に構えていた男までが、ばつが悪そうに手を挙げた。
爆発的な変化じゃない。全員が賛同したわけでもない。
でも、空気が変わった。
言葉じゃなくて、数字で示した。金貨八枚という事実が、どんな演説よりも雄弁だった。
***
それから数日。
薬草の採取は二回目、三回目と続き、領地に少しずつ金が回り始めた。
手伝いに来る住民が増えた。道の修繕も動き出した。セバスが連日走り回っている。
私は帳簿を一から組み直していた。前の代官の帳簿は捨てて、収支の項目を全部作り直す。採取量と売上の記録。住民ごとの作業量と日当の台帳。食料輸送のコストと頻度の見直し。
前世の棚卸しみたいなものだ。資産を洗い出して、無駄を削って、金の流れを見える化する。経営の基本。
帳簿に向かっている時間は、嫌いじゃなかった。数字は裏切らない。足し算は誰がやっても同じ答えになる。
その日の夕方。
セバスが慌てた様子で執務室に来た。
「アイリス様、お客様です」
「客? 誰?」
「ヴァレンシア公爵家から、とのことです」
ペンが止まった。
***
応接室に入ると、見覚えのある顔があった。
ドルトン。父の側近。公爵家の財務を「表向き」仕切っている男。
実際は私が全部やっていたけど。
痩せた男で、目が落ち着かない。昔からそうだ。帳簿を見ているふりだけして、中身は私に丸投げしていた。数字を読む力がないから、辻褄が合っていなくても気づかない。
鑑定する。
【ドルトン】
現在価値:300
潜在価値:400
300。相場で言えば「無能、もしくは未完成」の帯域。潜在も400。伸びしろもほとんどない。
(まあ、この人に期待したことは一度もないし)
数字通りの人間だ。それ以上でも以下でもない。
「お久しぶりです、アイリス様」
「……何の用?」
「単刀直入に申し上げます」
ドルトンは書類を取り出した。公爵家の紋章入り。公式文書の体裁。
「この領地の薬草取引を、停止していただきたい」
「理由は?」
「辺境の資源は公爵家の管轄下にあります。無許可での商取引は認められません」
もっともらしい建前。でも、辺境領の資源管理権は領主にある。公爵家の「管轄」は名目上のもので、法的拘束力はない。
それを知らないのか、知っていて押し通そうとしているのか。たぶん後者だ。この男に法律の知識はない。誰かに言われた通りの台詞を喋っているだけ。
「おとなしく従っていただければ、悪いようにはいたしません。生活費くらいは送りましょう」
(生活費、ね)
つまり、こういうことだ。
私がいなくなった公爵家は、案の定困っている。帳簿が回らない。取引先との交渉もできない。けれど「戻ってきてくれ」とは言えない。追い出したのは自分たちだから。
だから私を「無力化」しにきた。成功されると、追い出した判断が間違いだったと認めることになるから。
飼い殺し。辺境で大人しくしていてくれれば、公爵家の面子は保たれる。
「ドルトン」
私は帳簿を閉じて、立ち上がった。
「公爵家の帳簿、私が何年管理してたか覚えてる?」
「……何が言いたい」
「あなたの支出報告、五年分。数字が合わないところ、全部覚えてる」
ドルトンの顔から血の気が引いた。
「『雑費』の金額が毎月膨らんでいくのよね。それから『修繕費』。工事の記録がないのに、支出だけがある」
一歩、近づく。
「横領でしょう? 私がいた頃から怪しいと思ってた。証拠がなかったから黙ってたけど——今はもう、黙ってる理由がないのよね」
ドルトンが後ずさった。椅子に腰がぶつかって、がたりと音がする。
「あなた個人の不正なのか、父上も絡んでるのか、そこまでは分からない。でも、調べればすぐに分かること。私が公爵家の帳簿のどこに何があるか全部知ってることは——知ってるわよね?」
沈黙が落ちた。
ドルトンの額に汗が浮かんでいる。目が泳ぎ、唇が震えている。数字の前では、人は嘘がつけない。
「……この件は」
ドルトンが絞り出すように言った。
「なかったことに」
「最初からそう言えばいいのに」
私は扉を開けた。
「帰っていいわよ。ああ、父上に伝えて。『帳簿の引き継ぎ、まだ終わってないんじゃないですか?』って」
ドルトンは何も言わず、逃げるように去っていった。
***
廊下に出ると、グレンが壁際に立っていた。
応接室のすぐ横。最初からいたのだろう。
「聞いてたの?」
「護衛ですから」
いつもの返答。でも、声の調子がわずかに違う気がした。
「あの男、二度と来ないと思うわ。弱みを握られたら動けない」
「……あの書類は」
「ん?」
「公爵家の紋章がありました。公式文書です。それを——帳簿の記憶だけで退けた」
私は少し驚いた。グレンが自分から二文以上喋ることは珍しい。
「公式文書でも、中身が嘘なら意味がないわ。数字は嘘をつかない。嘘をつくのはいつも人間の方よ」
グレンは何も言わなかった。
ただ、いつもは壁の一点か、窓の外か、あるいは廊下の先を見ている灰色の瞳が——ほんの一瞬、私の手元に向いた。帳簿を持つ手に。
視線はすぐに外れた。気のせいかもしれない。
「……異常ありません」
日課の報告。毎日同じ言葉。でも今日のそれは、いつもの無味乾燥な業務報告とは少し違って聞こえた。
何が違うのか、うまく言えないけれど。
***
夜。執務室で帳簿の整理をしていると、ノックの音がした。
「どうぞ」
セバスが紅茶を持って入ってきた。湯気が立っている。こんな辺境で、どこから茶葉を調達したのか。
「お疲れ様でございます」
「ありがとう」
カップを受け取る。温かい。
セバスは少し迷うような間を置いてから、口を開いた。
「アイリス様。前の領主様は——」
「うん」
「一度も、あのような方に言い返す方はおられませんでした」
「そう」
「書類を突きつけられたら、皆、従うか、逃げるか。帳簿で戦い返した方は——」
「大げさよ」
紅茶を一口飲む。少し渋いが、悪くない。
「数字を握ってる人間は強いの。当たり前のことよ。覚えておいて、セバス」
セバスは深く頭を下げた。
「……お仕えできて、光栄でございます」
「大げさだってば」
窓の外を見る。
小さな領地に灯りが点々と灯っている。一週間前より、明らかに数が増えた。夜遅くまで作業をしている住民がいるのだろう。
紅茶を飲み干して、ペンを取った。
まだやることは山ほどある。でも、不思議と嫌じゃなかった。
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「Copyright(C)2025-まほりろ」
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