君と君…オレと私…君と私

SINRA

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7 許し、歩み、家族に。(7)

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家に帰るとアパートの前に立つ女性の姿があった。


凛「……母…さん?」

香澄「⁉︎」

凛「どぉして…ここに…?」

香澄「……凛…」

凛「⁉︎」
(あぁ泣きそうだ…いつ以来だろ、母さんに名前を呼ばれたのは…)

香澄「……」
その場を立ち去ろうとした。

凛「母さん‼︎」

母さんはビクッとし立ち止まる。

凛「上がって、いかない…かな?」

香澄「……」

隆弘「凛!」

凛「父さんまで⁉︎」

隆弘「いやぁ飲み物を買いに行っていたんだけど、先に凛が帰ってきたか!笑」

凛「えっとこれは?」

隆弘「ほら。」
と香澄の背を押す。

香澄「……凛…」

凛「と、とりあえず中に…どうぞ…」
いきなりの事に頭がついていかない。

部屋に入ると私はお茶を出した。

凛「どうぞ。」

隆弘「硬いなぁ…」

香澄「……」

凛「えっと…母…さんは、元気…してた?」

香澄「……えぇ。」
スゥーと深呼吸をした。

香澄「凛…も元気そう…ね。」

凛「うん…今度…友達とキャンプしようって…話してて…」

香澄「…そぉ…なの。」

隆弘「以前山本さんと電話をしただろ。」

凛「うん。」

隆弘「あの時、山本さんから話さなくてもいいから電話を聞いていてくれとお願いされてね。香澄も聞いていたんだ。」

凛「えっ?」

隆弘「香澄も驚いていたよ。凛の夢が学校の先生と聞いて。」

凛「そぉ…だったの…」

香澄「…小さい頃、私の…授業を見に来た時…あの日から、変わってないのね…」

凛「…うん。ずっと、ずっと憧れてた。私は…産まれる前、信二だった時は小さい頃に親に捨てられたんです…」

隆弘・香澄「⁉︎」

凛「昔話ですけど、私は幼い頃に親に捨てられて、親の温もりも何も知らずに育ったんです。高校まで親戚の家を転々として、どこに行っても腫れ物扱いで、大学もバイトでお金を貯めて足りない分はお金を借りて行きました。そして大学で灯子さんと出会ったんです。初めて人の優しさを知りました。そのまま大学を卒業して結婚し、子どもと引き換えに妻を無くしました。上手く育てれたか分かりませんけど、充実していたんですよ。」

香澄「……」

凛「そして私は家族に看取られてこの世を去った。でも目が覚めたらあなたたちの腕の中で、何がなんだか分からなかった。記憶があるだけできっと不安にさせると思いました。」

香澄「……」

凛「案の定、バレてから私は1人になりました。でもそれまではとても幸せだったんです。隆弘さんと香澄さんが親の温もりをくれて、初めて親の暖かさを教えてくれたんですよ!」

香澄「…私は、ずっと…あなたの事を…」

凛「分かってますよ。親として初めて愛してくれてた。私も初めて親を愛しました。学校に連れて行ってもらった時からずっと憧れてたんです。あなたは、私に女の子として色々な事を教えてくれました。料理や裁縫、女の子としての生き方を教えてくれた。前世から今日まで、私にとってあなたは、あなた達はたった1人のお父さんとお母さんなんです。あなた達の子に産まれて良かったと思います。だから…だから私に…あなたを…母と呼ばせてくれませんか⁉︎」

香澄「……私は…ずっと娘として育てて来て、それが産まれる前の記憶があるって、私のしてきた事は、全部無駄だったんじゃないかって…ずっと思ってた。教えた事全部、既に知っている事ばかりだったって、でもそぉじゃないっていうの?」

凛「確かに知っている事もあります。でも私は男として生きてきたんですよ…女としての生き方はあなたが全部教えてくれました。」

香澄「私のしてきた事は無駄じゃなかったの…?」

凛「はい。これからもっと色々な事を教えて欲しい。」

香澄「……そぉ…なのね…」

隆弘「良かったな。」

香澄「えぇ…えぇ…凛。」

凛「はい。」

香澄「私は…あなたに言ってはいけない事を言ったわ…ごめんなさい…まだ抵抗はあるけど…少しずつ、私も歩み寄れる様頑張るわ…それでも…いいかしら…」

凛「……はい…お母さん。」
これから家族に戻れる嬉しさに涙が溢れた。

香澄「凛…」

凛「母さん、もし…良かったら、今度のキャンプ…一緒に行かない?」

香澄「えっ?」

凛「今年で高校生活も終わっちゃうから…一緒に思い出を作りたい…んだけど……だめかな?」

隆弘「いんじゃないか?香澄はまだ凛の今を知らないだろ?」

香澄「でも…友達と行くのでしょ?」

凛「…紹介したい人もいるから…」

香澄「紹介…したい人?」
嫌な予感がしたのだろう。頭を抱えた。

香澄「女の子…?」

凛「……うん…」

香澄「はぁ…仕方ないわよね…」

凛「あはは…」

香澄「分かっているの?相手の親御さんは」

凛「それはさっき許してもらった…とこ…」

香澄「⁉︎よく許してもらえたわね…」

凛「うん…」

隆弘「香澄の飲み込みが早いな…」

香澄「考えた事あるもの…」

凛「そぉ…だよね…そのキャンプにその子のお母さんも来るんだけど…来て、くれる?」

香澄「……分かったわ。他には何もない?」

凛「………」

香澄「あるのね…」
とため息をついた。

凛「知ったのは付き合う様になってからなんだけど…前世の曾孫だった…」 

香澄「⁉︎」
再び頭を抱えた。

香澄「その事はみんな知っているの?」

凛「その子とお母さんは…」

香澄「ホントによく許してもらえたわね…」

凛「こ、根気?笑」
バシンと頭を叩かれた。

香澄「まったく…ご挨拶…しないといけないわね。」

凛「うん!」

私はキャンプに母さんが来る事をみんなに伝えた。


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