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第二話 彼らこそが海賊《ヨルムンガンド》
02.夢じゃない
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「海賊?」
ヒヨリが訊ねるも、得るべき情報を得たからなのか、ヴァイルは積まれた布袋をベッドにして寝転がったまま。代わりにと、ラトフと呼ばれた青年が答える。
「そう、俺たちは海賊。ヨルムンガンド海賊団って聞いたことはないかい?」
ヒヨリは静かに首を横に振った。
「あらま。まだまだ俺たちの名前が広まってないのかな。いや、記憶を失っているから思い当たらないのか。まあ、なにはともあれ、海賊なの。俺たち」
海賊……初めて目撃した時、ヴァイルたちが船を襲撃していた理由を理解した。今更ながら自分より少し年上に見える青年たちに警戒の眼差しを送る。
「といっても、そんなに構えないでくれよ。海賊だけど、なんて言うのかな……そう、義賊。俺たちは義賊のようなものだよ」
「義賊? 人を傷つけて、掠奪する行為をしているのにですか?」
「掠奪をしているのは帝国の奴らだ」
寝転がっているヴァイルが横から口出してきた。
「帝国?」
「あいつらガンダリア帝国の兵は、アルフニルブやアーステイム国の村々や船を襲って、金品や食物を奪っているんだ。俺たちは、その奪われたものを取り返しているんだよ」
「それじゃ、良い人たちなの?」
「アーステイム国の立場から見ればな。大義名分に基いて活動しているとは思うけどね」
とは言うが人殺しには変わりない。
荒くれ者の親戚や漁師の知り合いたちでも、流石に人殺しの大罪を犯してはいない……はずだ。きっと。多分。
けれど、変な親近感が沸いてきているのに戸惑ってしまっていた。それは自分が海賊の末裔だからなのか。
「何はともあれ、俺たちは君に危害を加えたりはしないよ。今のところは」
ラトフは優しく言うも内容は物騒である。
「今のところって……。だったら、この縄を解いてよ!」
ヒヨリは縛られている両手首を前に差し出して、アピールをする。
「だそうですけど、ヴァイル様。どうしますか?」
「帝国兵の生き残りや帝国民ではなさそうだが。念のために港に着くまで、縛り付けておけ」
ヴァイルはヒヨリたちを見ずに、仰向けになったままで答えた。
ラトフは申し訳なさそうな表情を浮かべて、
「だってさ。申し訳ないけど、もう暫くはそのままで居てね。それじゃ!」
「あ、ちょっと待ってよ!」
ヒヨリの嘆願を無視するように、ラトフは背を向けて立ち去っていく。
――本当にちょっと待ってよ、どういうことよ、何なのよ?
ヒヨリは改めて現状を整理するが、やはり理解できなかった。
――夢という訳ではなさそうだし……。
苦悶するヒヨリを他所に、ラトフはヴァイルの隣にやってきた。
「それで、ヴァイル様。本当に、あの娘をどうするんです?」
「……どうするかな」
興味本位で助けてみたものの、自分たちが知らない地名や訳の解らないことを喋っているのには懸念すべき点ではある。厄介者を抱え込んでしまったと、少しの後悔の念があった。
「それに良いんですか?」
「なにがだ?」
「このまま素性も知れない者を港に連れていっても、警備兵に取っ捕まるだけですよ。下手したらウチら以上の拷問が待っているかもしれないですよ?」
身寄りの無い者の行末は、大方決まっている。
親切な者に拾われるか、もしくは一人で生きていくとして、簡単な手伝いや仕事をして金銭を稼ぐしかない。それが足りなければ、盗みなどの犯罪に手を染めるのも珍しくない。
「下働きならば運が良い方だと思うけど、あの子……女ですし、そこそこ可愛いですから、夜の世話人という生き方がありますけどね」
自分たちが海賊という荒くれ者であるからこそ、闇の部分に精通している。けど、ヨルムンガンド海賊団はただの海賊ではない。先ほどラトフが言った通り義賊なのだ。普通の海賊ならば、今頃手篭めにされているか、奴隷として扱われていてもおかしくない。本心としては平和的に解決させたいのは、ラトフだけではなくヴァイルも思っているはず。
だからこそラトフは、わざとヴァイルの義を揺さぶる為に、卑しい考えを口にしたのであった。
「そうだ! 地図とかはないですか?」
ヒヨリは離れたヴァイルたちに聞こえるように大きな声で言った。
「地図を見せてください。そうすれば、ここが何処なのか分かるから!」
物は試しにと、ヴァイルは面倒臭そうに顎だけでラトフに地図を持ってこさせるように指し示した。
「どうです? 自分の住んでいる国とか分かるかい?」
ラトフはヒヨリの目の前に地図を広げて見せた。
なめした皮で作られた地図には、ヒヨリが知っている世界とは全く違う地形……大きな大陸に、それと比べて中位の大陸。後は細々な点とした島が描かれていた。
日本もとよりユーラシア大陸やアメリカ大陸といったものは無かった。ヒヨリは確信した。ここは現実の世界(地球)とは違う世界だと。
それと共に自分の立場が、苦しい状況が、より鮮明になった。
誰も何も知らない場所に置き去りにされて、元の世界(日本)に戻れるか、そもそも生きていけるか分からない。
世間並の女子ならば、泣き叫ぶだろう。しかし、ヒヨリは泣かなかった、投げやりにならなかった。
海賊の血を引いているからなのか、生来負けず嫌いな性格である。何もしないで涙を流すのではなくより、何かをして汗を流せ。それは若林家の家訓であった。
だから行動を起こすのみ。たとえ、無理だとしても――
「あの……お願いがあります。私を日本に連れて行ってくれませんか?」
「「はい?」」
突然のヒヨリの嘆願に、ヴァイルとラトフは呆気に取られてしまった。
「連れて行ってくれって……どういうことだ?」
ヴァイルが眉をひそめつつ訊ねた。
「言葉の通りですよ。私を元の世界……日本に連れて行ってください!」
「ニホン……。だから、そこは何処にあるんだ?」
「こ、この地図には描かれていない場所です」
「地図に描かれていない場所にどうやって連れて行けばいいんだ?」
「私も分からないから、無理を承知で頼んでいるんですよ! お願いします! なんでもしますから!」
「なんでもって……。地図にも描かれていない、そもそも何処にあるか分からない場所にどうやって行けと?」
「だから頼んでいるんです。私はこの世界が、どういう世界なのか分からないから、この世界を熟知しているはずの貴方たちにお願いしているじゃない!」
ヴァイルは呆れて、大きくため息を吐いた。海賊相手に一方的のお願いごとを押し付けてくる図々しさに。
「気まぐれで助けてやっただけなのに、調子に乗るな。俺たちにオマエをこれ以上助けてやる義理や、無償でやるほどお人好しでもなければ、そんな暇も無い。バカも休み休み言え!」
「か弱い女の子が困っているのよ、ついでに日本に戻してくれるぐらい助けてくれても良いじゃない!」
「漂流しているところを助けてやったんだ。それだけでも万の礼があっても良いぐらいだ!」
ヒヨリとヴァイル……お互い知らずに声が大きくなり言い争っていた。
(へー、あのヴァイルがああも大きな声を出すとはね)と、珍しい光景にラトフは思わず頬が緩んでしまう。
他のヨルムンガンドの船員たちも熱くなっているヴァイルを見て、思わず笑みを浮かべてしまう。
なかなか見れないヴァイルを暫く眺めていたいが、仮にもヨルムンガンド海賊団の頭目。これ以上、お手を煩わせるも忍びない。
「お嬢ちゃん。君が言いたいことも気持ちも分かる。が……」
ラトフが飛び入りで二人の間に割って入った。
「俺たちは義賊だけど海賊。タダじゃ動きたくない訳。さっき、何でもするとか言っていたけど、それじゃ何をやってくれるんだい? それ相応の見返りがなければ、相手は動かせないものだぜ」
「えっと……」
ヒヨリは十五年の人生の中で、自分がどういう人間なのか振り返る。
ご先祖に海賊が居て、その血を引き継いでいるからなのか女子なのに少し勝ち気なところがある。得意なのといえば水泳。
ヒヨリはちらりとヴァイルたちを見た。
海賊たちに泳ぎが達者だと言ったところ、鼻で笑われるだろう。
――他には、他には。
勉学も学年で平均……より下。運動は上位だが、屈強な男たちに勝てるほどの腕力は無い。
自慢できること、他人から褒められたと言えば……。
『でも最近ヒヨリちゃんの料理の腕も上達したよね、千代も褒めていたよ』
茂の言葉が頭をよぎった。
料理上手の千代から習い、よく料理を作るようになった。つい最近、唯一他人から褒められた技能だ。
「料理……。美味しい料理を作れます!」
ヒヨリは熱い意思が宿った瞳で、誇張するように強い口調で言い放った。
周囲は沈黙に包まれたが、ほどなくヴァイルの乾いた笑い声が響いた。
「美味しい料理だと?」
「そうよ。貴方たちが今まで食べたことがない、美味しい料理を作ってあげるわ!」
ヒヨリはヴァイルに挑戦的な眼差しを向けた。
小娘からケンカを売られたようで、海賊として、いや一人の男としての自尊心を逆なでられた。
「良いだろう。もし俺様が美味いと思わせる料理を作れたのなら、オマエの頼みを何でも聞き入れてやる。そのニホンという国に連れて行ってやろう。だが、美味い料理じゃなければ解っているだろうな?」
ヴァイルは鋭利の瞳……今度は単に脅しだけではない、殺意の込もった睨みだった。流石のヒヨリも背筋が凍ってしまう。
けれど、ここでなんとかしなければ、生きて日本に戻れないと予感がしていた。
すでに窮地に立っている。どこにも逃げられない。だからこそ既に覚悟はできている。
「わ、解ってるわよ」
「……よし、いいだろう。それじゃ、美味いメシを作った貰おうか」
ヴァイルはヒヨリを睨んだまま言いつけたのだった。
ヒヨリが訊ねるも、得るべき情報を得たからなのか、ヴァイルは積まれた布袋をベッドにして寝転がったまま。代わりにと、ラトフと呼ばれた青年が答える。
「そう、俺たちは海賊。ヨルムンガンド海賊団って聞いたことはないかい?」
ヒヨリは静かに首を横に振った。
「あらま。まだまだ俺たちの名前が広まってないのかな。いや、記憶を失っているから思い当たらないのか。まあ、なにはともあれ、海賊なの。俺たち」
海賊……初めて目撃した時、ヴァイルたちが船を襲撃していた理由を理解した。今更ながら自分より少し年上に見える青年たちに警戒の眼差しを送る。
「といっても、そんなに構えないでくれよ。海賊だけど、なんて言うのかな……そう、義賊。俺たちは義賊のようなものだよ」
「義賊? 人を傷つけて、掠奪する行為をしているのにですか?」
「掠奪をしているのは帝国の奴らだ」
寝転がっているヴァイルが横から口出してきた。
「帝国?」
「あいつらガンダリア帝国の兵は、アルフニルブやアーステイム国の村々や船を襲って、金品や食物を奪っているんだ。俺たちは、その奪われたものを取り返しているんだよ」
「それじゃ、良い人たちなの?」
「アーステイム国の立場から見ればな。大義名分に基いて活動しているとは思うけどね」
とは言うが人殺しには変わりない。
荒くれ者の親戚や漁師の知り合いたちでも、流石に人殺しの大罪を犯してはいない……はずだ。きっと。多分。
けれど、変な親近感が沸いてきているのに戸惑ってしまっていた。それは自分が海賊の末裔だからなのか。
「何はともあれ、俺たちは君に危害を加えたりはしないよ。今のところは」
ラトフは優しく言うも内容は物騒である。
「今のところって……。だったら、この縄を解いてよ!」
ヒヨリは縛られている両手首を前に差し出して、アピールをする。
「だそうですけど、ヴァイル様。どうしますか?」
「帝国兵の生き残りや帝国民ではなさそうだが。念のために港に着くまで、縛り付けておけ」
ヴァイルはヒヨリたちを見ずに、仰向けになったままで答えた。
ラトフは申し訳なさそうな表情を浮かべて、
「だってさ。申し訳ないけど、もう暫くはそのままで居てね。それじゃ!」
「あ、ちょっと待ってよ!」
ヒヨリの嘆願を無視するように、ラトフは背を向けて立ち去っていく。
――本当にちょっと待ってよ、どういうことよ、何なのよ?
ヒヨリは改めて現状を整理するが、やはり理解できなかった。
――夢という訳ではなさそうだし……。
苦悶するヒヨリを他所に、ラトフはヴァイルの隣にやってきた。
「それで、ヴァイル様。本当に、あの娘をどうするんです?」
「……どうするかな」
興味本位で助けてみたものの、自分たちが知らない地名や訳の解らないことを喋っているのには懸念すべき点ではある。厄介者を抱え込んでしまったと、少しの後悔の念があった。
「それに良いんですか?」
「なにがだ?」
「このまま素性も知れない者を港に連れていっても、警備兵に取っ捕まるだけですよ。下手したらウチら以上の拷問が待っているかもしれないですよ?」
身寄りの無い者の行末は、大方決まっている。
親切な者に拾われるか、もしくは一人で生きていくとして、簡単な手伝いや仕事をして金銭を稼ぐしかない。それが足りなければ、盗みなどの犯罪に手を染めるのも珍しくない。
「下働きならば運が良い方だと思うけど、あの子……女ですし、そこそこ可愛いですから、夜の世話人という生き方がありますけどね」
自分たちが海賊という荒くれ者であるからこそ、闇の部分に精通している。けど、ヨルムンガンド海賊団はただの海賊ではない。先ほどラトフが言った通り義賊なのだ。普通の海賊ならば、今頃手篭めにされているか、奴隷として扱われていてもおかしくない。本心としては平和的に解決させたいのは、ラトフだけではなくヴァイルも思っているはず。
だからこそラトフは、わざとヴァイルの義を揺さぶる為に、卑しい考えを口にしたのであった。
「そうだ! 地図とかはないですか?」
ヒヨリは離れたヴァイルたちに聞こえるように大きな声で言った。
「地図を見せてください。そうすれば、ここが何処なのか分かるから!」
物は試しにと、ヴァイルは面倒臭そうに顎だけでラトフに地図を持ってこさせるように指し示した。
「どうです? 自分の住んでいる国とか分かるかい?」
ラトフはヒヨリの目の前に地図を広げて見せた。
なめした皮で作られた地図には、ヒヨリが知っている世界とは全く違う地形……大きな大陸に、それと比べて中位の大陸。後は細々な点とした島が描かれていた。
日本もとよりユーラシア大陸やアメリカ大陸といったものは無かった。ヒヨリは確信した。ここは現実の世界(地球)とは違う世界だと。
それと共に自分の立場が、苦しい状況が、より鮮明になった。
誰も何も知らない場所に置き去りにされて、元の世界(日本)に戻れるか、そもそも生きていけるか分からない。
世間並の女子ならば、泣き叫ぶだろう。しかし、ヒヨリは泣かなかった、投げやりにならなかった。
海賊の血を引いているからなのか、生来負けず嫌いな性格である。何もしないで涙を流すのではなくより、何かをして汗を流せ。それは若林家の家訓であった。
だから行動を起こすのみ。たとえ、無理だとしても――
「あの……お願いがあります。私を日本に連れて行ってくれませんか?」
「「はい?」」
突然のヒヨリの嘆願に、ヴァイルとラトフは呆気に取られてしまった。
「連れて行ってくれって……どういうことだ?」
ヴァイルが眉をひそめつつ訊ねた。
「言葉の通りですよ。私を元の世界……日本に連れて行ってください!」
「ニホン……。だから、そこは何処にあるんだ?」
「こ、この地図には描かれていない場所です」
「地図に描かれていない場所にどうやって連れて行けばいいんだ?」
「私も分からないから、無理を承知で頼んでいるんですよ! お願いします! なんでもしますから!」
「なんでもって……。地図にも描かれていない、そもそも何処にあるか分からない場所にどうやって行けと?」
「だから頼んでいるんです。私はこの世界が、どういう世界なのか分からないから、この世界を熟知しているはずの貴方たちにお願いしているじゃない!」
ヴァイルは呆れて、大きくため息を吐いた。海賊相手に一方的のお願いごとを押し付けてくる図々しさに。
「気まぐれで助けてやっただけなのに、調子に乗るな。俺たちにオマエをこれ以上助けてやる義理や、無償でやるほどお人好しでもなければ、そんな暇も無い。バカも休み休み言え!」
「か弱い女の子が困っているのよ、ついでに日本に戻してくれるぐらい助けてくれても良いじゃない!」
「漂流しているところを助けてやったんだ。それだけでも万の礼があっても良いぐらいだ!」
ヒヨリとヴァイル……お互い知らずに声が大きくなり言い争っていた。
(へー、あのヴァイルがああも大きな声を出すとはね)と、珍しい光景にラトフは思わず頬が緩んでしまう。
他のヨルムンガンドの船員たちも熱くなっているヴァイルを見て、思わず笑みを浮かべてしまう。
なかなか見れないヴァイルを暫く眺めていたいが、仮にもヨルムンガンド海賊団の頭目。これ以上、お手を煩わせるも忍びない。
「お嬢ちゃん。君が言いたいことも気持ちも分かる。が……」
ラトフが飛び入りで二人の間に割って入った。
「俺たちは義賊だけど海賊。タダじゃ動きたくない訳。さっき、何でもするとか言っていたけど、それじゃ何をやってくれるんだい? それ相応の見返りがなければ、相手は動かせないものだぜ」
「えっと……」
ヒヨリは十五年の人生の中で、自分がどういう人間なのか振り返る。
ご先祖に海賊が居て、その血を引き継いでいるからなのか女子なのに少し勝ち気なところがある。得意なのといえば水泳。
ヒヨリはちらりとヴァイルたちを見た。
海賊たちに泳ぎが達者だと言ったところ、鼻で笑われるだろう。
――他には、他には。
勉学も学年で平均……より下。運動は上位だが、屈強な男たちに勝てるほどの腕力は無い。
自慢できること、他人から褒められたと言えば……。
『でも最近ヒヨリちゃんの料理の腕も上達したよね、千代も褒めていたよ』
茂の言葉が頭をよぎった。
料理上手の千代から習い、よく料理を作るようになった。つい最近、唯一他人から褒められた技能だ。
「料理……。美味しい料理を作れます!」
ヒヨリは熱い意思が宿った瞳で、誇張するように強い口調で言い放った。
周囲は沈黙に包まれたが、ほどなくヴァイルの乾いた笑い声が響いた。
「美味しい料理だと?」
「そうよ。貴方たちが今まで食べたことがない、美味しい料理を作ってあげるわ!」
ヒヨリはヴァイルに挑戦的な眼差しを向けた。
小娘からケンカを売られたようで、海賊として、いや一人の男としての自尊心を逆なでられた。
「良いだろう。もし俺様が美味いと思わせる料理を作れたのなら、オマエの頼みを何でも聞き入れてやる。そのニホンという国に連れて行ってやろう。だが、美味い料理じゃなければ解っているだろうな?」
ヴァイルは鋭利の瞳……今度は単に脅しだけではない、殺意の込もった睨みだった。流石のヒヨリも背筋が凍ってしまう。
けれど、ここでなんとかしなければ、生きて日本に戻れないと予感がしていた。
すでに窮地に立っている。どこにも逃げられない。だからこそ既に覚悟はできている。
「わ、解ってるわよ」
「……よし、いいだろう。それじゃ、美味いメシを作った貰おうか」
ヴァイルはヒヨリを睨んだまま言いつけたのだった。
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