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1話完結
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今日はバレンタインデー。俺は、自分の父親が経営する会社の自社ビルの1階にあるカフェで昼食後のコーヒーを飲んでいた。
今朝から大勢の女子社員がひっきりなしにチョコを俺に持ってくる。
毎年恒例の光景だ。今も1人の若い女性が近づいてきて、綺麗に包装された手作りのチョコを俺に渡してくれた。
帽子をまぶかにかぶっていたが、とても美人だ。見知らぬ顔だが、多分うちで働いている派遣社員だろう。
彼女が去った後、俺は早速チョコを食べた。とても美味しい。
が、やがて、お腹の具合がおかしくなった。トイレに行こうと立ち上がる。頭の中がガンガンして、全身が焼けつくように熱い。
動きがとれず、俺は壊れた人形のようにテーブルの上に突っ伏した。コーヒーカップがテーブルから落ち、割れた音が響いてくる。
周囲から悲鳴があがった。
あたしはお手製の毒入りチョコを、憎むべき男に渡した後、その場から立ち去った。
なるべく不審に思われぬようゆっくり歩いたつもりだが、自信がない。
あの男は高校時代の同級生で、ブスよばわりされて、よくいじめられていた。高校卒業後あたしは整形して美人になる。
その経緯をあいつは全く知らないので、あたしを見ても一体誰かわからなかった。
あいつの会社に勤務している派遣の1人だと勘違いしたみたい。
この日は大勢の女子があいつにチョコを渡したはずなので、犯人が誰か警察もわからないはず。
あいつが座るカフェの席は決まっていて、防犯カメラの死角なのもわかっていた。
帽子を深くかぶっているので、顔は見られてないはずだ。
ビルの外に出ると、途中で公衆トイレに入り、リバーシブルのコートを表裏反対に着た。コートの表が黒から白に変わったのだ。
黒い帽子は丸めてコートのポケットに入れ、白い帽子を被り直した。トイレの出入り口に防犯カメラがないのは確認済だ。
手袋も黒から白に変えたのだ。長髪のカツラも脱いで持ってきたバッグに入れる。これで元々のショートカットに早変わりだ。
翌日ニュースで、あいつが無事に亡くなったのを知った。この日はやはり大勢の女性が手作りのチョコを持参したそうで、あいつに毒入りのを渡した女が誰なのかは、警察もなかなか絞りこめないとの事だった。
報道番組のコメンテーターの中には、犯人は女装した男性だったんじゃないかと推理する者もいた。
しばらくの間捜査の手が伸びてくるのが不安だったが1週間経っても、半月過ぎても現れない。
最初のうちは大々的に報道で取り上げられていたが、そのうち別のニュースに代わるようになっていた。
そして3月14日のホワイトデーがやってくる。その日の昼休み。あたしは自分が勤務する会社があるオフィスビルの1階にあるカフェにいた。
あたしの働くオフィスビルは、あいつが死んだオフィスビルからかなり遠い。高校卒業後大学入学前のタイミングで整形して『美女』になったあたしの元へはひっきりなしにホワイトデーのお返しを持参する男性達がいた。
それはあたしが自分から大勢の男性に義理チョコを贈った結果でもあるが、チョコを贈ったわけでもないのにお菓子を持ってくる男達もいた。
今日も顔を覚えていない男性が、あたしの元にチョコレートを持ってきた。帽子をかぶっており、なかなかのイケメンだ。
男性には珍しく手作りのチョコだった。顔は知らないが、多分職場に来る派遣会社の社員だろう。
包装を開けて中身を食べ始めると、やがてお腹が痛み出す。ものすごい激痛で、全身が燃えあがりそうだ。
大量の汗が身体中から噴き出した。あたしは胸をかきむしりながら、テーブルの上に突っ伏したのだ。
周囲から悲鳴が上がり、あたしの肘がぶつかったティーカップが落下して割れる音が響く。
大学時代、僕を馬鹿にした女がいた。その女は、僕に告白したのだが、その告白は嘘だったのだ。
その女と、取り巻き共が企画して、僕に恥をかかせたのだ。
『誰があんたみたいな不細工な男に告白するもんですか』とまで、捨て台詞を投げつけられた。
僕は大学を卒業するタイミングで整形し『イケメン』になる。
だから毒入りの手作りチョコを渡した時も、渡し主の僕が大学時代の同じ学部にいたかつての知り合いとは知らなかっただろう。
今朝から大勢の女子社員がひっきりなしにチョコを俺に持ってくる。
毎年恒例の光景だ。今も1人の若い女性が近づいてきて、綺麗に包装された手作りのチョコを俺に渡してくれた。
帽子をまぶかにかぶっていたが、とても美人だ。見知らぬ顔だが、多分うちで働いている派遣社員だろう。
彼女が去った後、俺は早速チョコを食べた。とても美味しい。
が、やがて、お腹の具合がおかしくなった。トイレに行こうと立ち上がる。頭の中がガンガンして、全身が焼けつくように熱い。
動きがとれず、俺は壊れた人形のようにテーブルの上に突っ伏した。コーヒーカップがテーブルから落ち、割れた音が響いてくる。
周囲から悲鳴があがった。
あたしはお手製の毒入りチョコを、憎むべき男に渡した後、その場から立ち去った。
なるべく不審に思われぬようゆっくり歩いたつもりだが、自信がない。
あの男は高校時代の同級生で、ブスよばわりされて、よくいじめられていた。高校卒業後あたしは整形して美人になる。
その経緯をあいつは全く知らないので、あたしを見ても一体誰かわからなかった。
あいつの会社に勤務している派遣の1人だと勘違いしたみたい。
この日は大勢の女子があいつにチョコを渡したはずなので、犯人が誰か警察もわからないはず。
あいつが座るカフェの席は決まっていて、防犯カメラの死角なのもわかっていた。
帽子を深くかぶっているので、顔は見られてないはずだ。
ビルの外に出ると、途中で公衆トイレに入り、リバーシブルのコートを表裏反対に着た。コートの表が黒から白に変わったのだ。
黒い帽子は丸めてコートのポケットに入れ、白い帽子を被り直した。トイレの出入り口に防犯カメラがないのは確認済だ。
手袋も黒から白に変えたのだ。長髪のカツラも脱いで持ってきたバッグに入れる。これで元々のショートカットに早変わりだ。
翌日ニュースで、あいつが無事に亡くなったのを知った。この日はやはり大勢の女性が手作りのチョコを持参したそうで、あいつに毒入りのを渡した女が誰なのかは、警察もなかなか絞りこめないとの事だった。
報道番組のコメンテーターの中には、犯人は女装した男性だったんじゃないかと推理する者もいた。
しばらくの間捜査の手が伸びてくるのが不安だったが1週間経っても、半月過ぎても現れない。
最初のうちは大々的に報道で取り上げられていたが、そのうち別のニュースに代わるようになっていた。
そして3月14日のホワイトデーがやってくる。その日の昼休み。あたしは自分が勤務する会社があるオフィスビルの1階にあるカフェにいた。
あたしの働くオフィスビルは、あいつが死んだオフィスビルからかなり遠い。高校卒業後大学入学前のタイミングで整形して『美女』になったあたしの元へはひっきりなしにホワイトデーのお返しを持参する男性達がいた。
それはあたしが自分から大勢の男性に義理チョコを贈った結果でもあるが、チョコを贈ったわけでもないのにお菓子を持ってくる男達もいた。
今日も顔を覚えていない男性が、あたしの元にチョコレートを持ってきた。帽子をかぶっており、なかなかのイケメンだ。
男性には珍しく手作りのチョコだった。顔は知らないが、多分職場に来る派遣会社の社員だろう。
包装を開けて中身を食べ始めると、やがてお腹が痛み出す。ものすごい激痛で、全身が燃えあがりそうだ。
大量の汗が身体中から噴き出した。あたしは胸をかきむしりながら、テーブルの上に突っ伏したのだ。
周囲から悲鳴が上がり、あたしの肘がぶつかったティーカップが落下して割れる音が響く。
大学時代、僕を馬鹿にした女がいた。その女は、僕に告白したのだが、その告白は嘘だったのだ。
その女と、取り巻き共が企画して、僕に恥をかかせたのだ。
『誰があんたみたいな不細工な男に告白するもんですか』とまで、捨て台詞を投げつけられた。
僕は大学を卒業するタイミングで整形し『イケメン』になる。
だから毒入りの手作りチョコを渡した時も、渡し主の僕が大学時代の同じ学部にいたかつての知り合いとは知らなかっただろう。
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