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第14話 怪盗紳士、取材を受ける
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美山は釘谷の提案で、消火器に見せかけた爆弾を100本以上用意した。美山が経営してる会社所有の工場で作らせた物だった。そこの従業員は、自分達がそんな危なっかしい物を作らされてるとは知らぬのだ。
それを工場のある鹿児島から南美島まで運ばせると、港で釘谷の運転するトラックに積みこんだ。助手席にはミスティー・ナイツのリーダーが乗る。やがて車は以前訪れたオフィスビルに到着した。
「消火器の交換に伺いました」
美山は身分証を見せた。それはこのビルと取引している消火器業者の身分証を入手して偽造したものである。
「そんな話聞いてないけど」
こないだと同じ守衛が、不信そうにこっちを見た。カツラやメガネで変装してるので、多分顔バレはしてないはずだが、それでも内心ひやりとする。
「臨時の点検です。今までこちらにあったのと同型の消火器が爆発するというアクシデントが鹿児島であったので、全て新品と交換する事になったのです」
美山は説明しながら、トラックの荷台から本物の消火器を1本出した。そして試しに1本だけ用意した、その本物の消火器を地面に向けて噴射させる。白い粉末が勢いよく飛びだした。
「なんでしたら、直接うちの上司と話してみてください」
美山は自分のスマホを取りだすと、守衛の眼前で身分証の番号に電話をかけた。このスマホにはしかけがしてあり、どの番号に連絡しても、ミスティー・ナイツのアジトにかかるようになっている。アジトの電話の前には、西園寺が待機していた。美山は電話に出た西園寺が出ると
「鈴木さんですか。今日の消火器点検の件が、連絡行ってなかったみたいなんですが」
「ごめんごめん。守衛さんと代わってくれる」
『鈴木』という架空の人物に扮した西園寺が警備員に聞かれているのを前提に、見事な演技を披露した。美山はスマホを守衛に渡した。守衛と話す西園寺の声が小さく聞こえてくる。
「すいません。私鈴木と申します。ファックス送ったはずなんですけど、そっちに行ってませんでしたかね。もう一度送りなおしますけど」
「佐藤さんはどうしたの」
守衛が、電話の相手に聞いた。
「確か担当は佐藤さんだったけど」
「今ちょっと急病で休んでまして、臨時でぼくがやってるんです。それで引継もままならない状態で、本当にすみません」
「そうなんだ。それでは佐藤さんによろしく伝えてください。ファックスも送ってください」
警備員はそれだけ話すと電話を切って、スマホを美山の方に返した。
「それでは作業、よろしく頼みます」
「わかりました。色々手違いあって、申し訳ございませんでした」
美山と釘谷は何度も腰を折って謝った。その2人は手分けして、消火器を1本1本全て交換していった。
*
そんな感じでビルの爆破に関しては、順調に進んでいた。問題はカジノの地下金庫の方だ。こちらは試験運転中の、太平洋縦断鉄道を利用するプランである。こっちには1年前からこの日のために、春間を中途採用の従業員として潜りこませていたのだが、銃を撃たれて負傷したので大幅に計画が狂ってしまった。
「すまねえな美山さん。みんなの足引っぱっちまって」
美山がモグリの医者が経営してる病院へ見舞いに行くと、白いベッドに横たわった顔色の悪い春間が小声で謝罪した。
「なあに気にするなって。慌ててやんなきゃならねえ話でもないんだから、今はじっくり休んでくれよ。今回の分け前は、ちゃんと渡すから」
「すんません。世話になります」
春間は目に、涙を浮かべた。今後は春間を除外して、話を進める形になる。ハッキング担当は言うまでもなく衣舞姫である。鉄道の管制システムに侵入して、自由自在にコントロールするのが目的だ。
実行日時は複数の新聞社とテレビ局、カジノと美術館、全国警察に郵便で投函したが、7月7日だ。すでに各メディアで報道されていた。今年の夏は、ド派手な七夕祭りにしてやるつもりである。
予告状の送付は北海道から沖縄までの全国から郵送で行われた。もちろん投函した者の住所や名前は書いてない。ミスティー・ナイツの協力者は日本中にいるので、かれらに連絡を取って、同じ内容の文章を投函させたのだ。
国内外の新聞記者やテレビの取材班が南美島に押しかけており、予告状騒ぎに乗じて、大量の観光客も国内外からおしかけていた。ミスティー・ナイツは海外でも『日本のアルセーヌ・ルパン』とか『現代のロビン・フッド』などというキャッチフレーズで有名なのだ。
過去には海外の美術館や博物館に侵入して、お宝をせしめた時もある。南美島という美しいが小さい島に大勢のジャーナリストや物見遊山の旅行客が詰めよせたので、鶴本と明定の操る暴力団一派は動きづらくなったろう。
そんな折『月刊カオス』という雑誌の編集長から取材要請があった。反権力を貫いているメディアの一つだ。カオスの記者は一体どんなつてを辿ったのか、清武に接触をはかったらしい。
もちろん断るのも可能だが、何だか興味深いので、編集長に会う気になった。南美島ではなく、都内でだ。当然相手に会う時はサングラスをかけて変装し、声色もヴォイス・チェンジャーで変える気である。
*
一週間後美山は、月刊カオスの版元があるビル内のカフェで編集長に会ったのだ。編集長は太った男性で、乙成(おつなり)と名乗った。彼はメガネをかけており、頭には野球帽をかぶっている。
『ボーリング・フォー・コロンバイン』等の社会派ノンフィクション映画を撮った映画監督のマイケル・ムーアにちょっと似ていた。もっとも同じような体型で、似たような帽子とメガネをつけていたら、誰でも印象はかぶりそうだが。
「はじめまして。乙成です。あなたに会えて光栄だ。まさか会えるとは思わなかった。ジャーナリスト冥利につきます」
乙成は、満面に笑顔を浮かべて開口一番そうしゃべった。
「何て呼べばいいですかね。ミスティー・ナイツさんとでも呼べばいいかな」
「どうとでもご自由に」
美山はヴォイスチェンジャーで変換した声で答えた。
「もっとも今日は一人だから、単数形のミスティー・ナイトだけどね」
美山の返事に、乙成は微笑んだ。
「どんな人物かと思ったが、ギャグも飛ばすとは思わなかったな。さて、何から聞いたらいいだろう」
「何でも聞いてよ。答えたくない質問には答えないだけだから」
「そりゃ、そうだ。では最初に、何で君は泥棒になったんだい」
「そこに宝石があるからかな。もしくはそこにカネがあるから。歌ったり踊ったりできないから泥棒をやってるだけさ」
美山は映画『ロッキー』の台詞をもじって返答した。
「なるほどね。以前からぼくは思ってたんだが、ミスティー・ナイツがやってきた盗みの数々は、豪胆さと高い知性がなければできない類の物ばかりだ。それほどの知能と度胸があれば、もっと世のため人のためになる生き方を選べたんじゃないのかな。なぜまっとうな生き方を選ばなかった」
「あんたがおっしゃるまっとうな生き方って、一体何だよ。政治家や官僚になって、庶民の税金を食い物にするって意味か。宗教家になって、信者のお布施で贅沢三昧するって話か。ジャーナリストになって、人の話を面白おかしく伝えただけで稼げってのか」
乙成は笑みを浮かべた。
「あんた、面白い男だな。お笑い芸人としても通用するんじゃないのか」
「そうならいいけどな……」
美山は一瞬、若い頃に売れない芸人だったエピソードを話しそうになったのだが、触れずにすませた。そんな些細なところから、自分の正体がばれるかもしれない。もっとも取材を受けてる時点で、バレる可能性は高まるのだが。
「芸人で成功して、綺麗な女優の姉ちゃんと結婚てのも悪くねえ。生まれ変わったらそうすっか」
「盗んだ金の一部を、慈善団体に匿名で寄付してるってのは本当かい」
乙成の質問に、美山は無言でうなずいた。
「一体どこへ、どのぐらいの金額を寄付してるんだ」
「そりゃ、しゃべれねえよ……ご想像に任せるぜ。そんな話をした日にゃあ、寄付した先が、今後は断っちまうだろうし」
「実は嘘じゃあないだろうな」
乙成は、まっすぐな目で美山を見た。獲物を襲う鷹のように鋭い目だ。
それを工場のある鹿児島から南美島まで運ばせると、港で釘谷の運転するトラックに積みこんだ。助手席にはミスティー・ナイツのリーダーが乗る。やがて車は以前訪れたオフィスビルに到着した。
「消火器の交換に伺いました」
美山は身分証を見せた。それはこのビルと取引している消火器業者の身分証を入手して偽造したものである。
「そんな話聞いてないけど」
こないだと同じ守衛が、不信そうにこっちを見た。カツラやメガネで変装してるので、多分顔バレはしてないはずだが、それでも内心ひやりとする。
「臨時の点検です。今までこちらにあったのと同型の消火器が爆発するというアクシデントが鹿児島であったので、全て新品と交換する事になったのです」
美山は説明しながら、トラックの荷台から本物の消火器を1本出した。そして試しに1本だけ用意した、その本物の消火器を地面に向けて噴射させる。白い粉末が勢いよく飛びだした。
「なんでしたら、直接うちの上司と話してみてください」
美山は自分のスマホを取りだすと、守衛の眼前で身分証の番号に電話をかけた。このスマホにはしかけがしてあり、どの番号に連絡しても、ミスティー・ナイツのアジトにかかるようになっている。アジトの電話の前には、西園寺が待機していた。美山は電話に出た西園寺が出ると
「鈴木さんですか。今日の消火器点検の件が、連絡行ってなかったみたいなんですが」
「ごめんごめん。守衛さんと代わってくれる」
『鈴木』という架空の人物に扮した西園寺が警備員に聞かれているのを前提に、見事な演技を披露した。美山はスマホを守衛に渡した。守衛と話す西園寺の声が小さく聞こえてくる。
「すいません。私鈴木と申します。ファックス送ったはずなんですけど、そっちに行ってませんでしたかね。もう一度送りなおしますけど」
「佐藤さんはどうしたの」
守衛が、電話の相手に聞いた。
「確か担当は佐藤さんだったけど」
「今ちょっと急病で休んでまして、臨時でぼくがやってるんです。それで引継もままならない状態で、本当にすみません」
「そうなんだ。それでは佐藤さんによろしく伝えてください。ファックスも送ってください」
警備員はそれだけ話すと電話を切って、スマホを美山の方に返した。
「それでは作業、よろしく頼みます」
「わかりました。色々手違いあって、申し訳ございませんでした」
美山と釘谷は何度も腰を折って謝った。その2人は手分けして、消火器を1本1本全て交換していった。
*
そんな感じでビルの爆破に関しては、順調に進んでいた。問題はカジノの地下金庫の方だ。こちらは試験運転中の、太平洋縦断鉄道を利用するプランである。こっちには1年前からこの日のために、春間を中途採用の従業員として潜りこませていたのだが、銃を撃たれて負傷したので大幅に計画が狂ってしまった。
「すまねえな美山さん。みんなの足引っぱっちまって」
美山がモグリの医者が経営してる病院へ見舞いに行くと、白いベッドに横たわった顔色の悪い春間が小声で謝罪した。
「なあに気にするなって。慌ててやんなきゃならねえ話でもないんだから、今はじっくり休んでくれよ。今回の分け前は、ちゃんと渡すから」
「すんません。世話になります」
春間は目に、涙を浮かべた。今後は春間を除外して、話を進める形になる。ハッキング担当は言うまでもなく衣舞姫である。鉄道の管制システムに侵入して、自由自在にコントロールするのが目的だ。
実行日時は複数の新聞社とテレビ局、カジノと美術館、全国警察に郵便で投函したが、7月7日だ。すでに各メディアで報道されていた。今年の夏は、ド派手な七夕祭りにしてやるつもりである。
予告状の送付は北海道から沖縄までの全国から郵送で行われた。もちろん投函した者の住所や名前は書いてない。ミスティー・ナイツの協力者は日本中にいるので、かれらに連絡を取って、同じ内容の文章を投函させたのだ。
国内外の新聞記者やテレビの取材班が南美島に押しかけており、予告状騒ぎに乗じて、大量の観光客も国内外からおしかけていた。ミスティー・ナイツは海外でも『日本のアルセーヌ・ルパン』とか『現代のロビン・フッド』などというキャッチフレーズで有名なのだ。
過去には海外の美術館や博物館に侵入して、お宝をせしめた時もある。南美島という美しいが小さい島に大勢のジャーナリストや物見遊山の旅行客が詰めよせたので、鶴本と明定の操る暴力団一派は動きづらくなったろう。
そんな折『月刊カオス』という雑誌の編集長から取材要請があった。反権力を貫いているメディアの一つだ。カオスの記者は一体どんなつてを辿ったのか、清武に接触をはかったらしい。
もちろん断るのも可能だが、何だか興味深いので、編集長に会う気になった。南美島ではなく、都内でだ。当然相手に会う時はサングラスをかけて変装し、声色もヴォイス・チェンジャーで変える気である。
*
一週間後美山は、月刊カオスの版元があるビル内のカフェで編集長に会ったのだ。編集長は太った男性で、乙成(おつなり)と名乗った。彼はメガネをかけており、頭には野球帽をかぶっている。
『ボーリング・フォー・コロンバイン』等の社会派ノンフィクション映画を撮った映画監督のマイケル・ムーアにちょっと似ていた。もっとも同じような体型で、似たような帽子とメガネをつけていたら、誰でも印象はかぶりそうだが。
「はじめまして。乙成です。あなたに会えて光栄だ。まさか会えるとは思わなかった。ジャーナリスト冥利につきます」
乙成は、満面に笑顔を浮かべて開口一番そうしゃべった。
「何て呼べばいいですかね。ミスティー・ナイツさんとでも呼べばいいかな」
「どうとでもご自由に」
美山はヴォイスチェンジャーで変換した声で答えた。
「もっとも今日は一人だから、単数形のミスティー・ナイトだけどね」
美山の返事に、乙成は微笑んだ。
「どんな人物かと思ったが、ギャグも飛ばすとは思わなかったな。さて、何から聞いたらいいだろう」
「何でも聞いてよ。答えたくない質問には答えないだけだから」
「そりゃ、そうだ。では最初に、何で君は泥棒になったんだい」
「そこに宝石があるからかな。もしくはそこにカネがあるから。歌ったり踊ったりできないから泥棒をやってるだけさ」
美山は映画『ロッキー』の台詞をもじって返答した。
「なるほどね。以前からぼくは思ってたんだが、ミスティー・ナイツがやってきた盗みの数々は、豪胆さと高い知性がなければできない類の物ばかりだ。それほどの知能と度胸があれば、もっと世のため人のためになる生き方を選べたんじゃないのかな。なぜまっとうな生き方を選ばなかった」
「あんたがおっしゃるまっとうな生き方って、一体何だよ。政治家や官僚になって、庶民の税金を食い物にするって意味か。宗教家になって、信者のお布施で贅沢三昧するって話か。ジャーナリストになって、人の話を面白おかしく伝えただけで稼げってのか」
乙成は笑みを浮かべた。
「あんた、面白い男だな。お笑い芸人としても通用するんじゃないのか」
「そうならいいけどな……」
美山は一瞬、若い頃に売れない芸人だったエピソードを話しそうになったのだが、触れずにすませた。そんな些細なところから、自分の正体がばれるかもしれない。もっとも取材を受けてる時点で、バレる可能性は高まるのだが。
「芸人で成功して、綺麗な女優の姉ちゃんと結婚てのも悪くねえ。生まれ変わったらそうすっか」
「盗んだ金の一部を、慈善団体に匿名で寄付してるってのは本当かい」
乙成の質問に、美山は無言でうなずいた。
「一体どこへ、どのぐらいの金額を寄付してるんだ」
「そりゃ、しゃべれねえよ……ご想像に任せるぜ。そんな話をした日にゃあ、寄付した先が、今後は断っちまうだろうし」
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