18 / 66
第18話 惑星ダラパシャイ
しおりを挟む
その時だった。突然地震か台風のような、猛烈な衝撃が襲う。
立つ事ができず、蒼介も夏映も床に叩きつけられた。
けたたましい音が天井のスピーカーから鳴り響く。
どうやらこれは、警報を鳴らしているようだ。
スピーカーから地球の言葉ではなさそうな言語で、鬼気迫る声が聞こえてきた。
ネックレス型の翻訳機をつけているが、何をしゃべっているのか理解できない。
おそらくショードファ人の言葉だろう。
今度ばかりは絶体絶命かもしれない。さらに大きな衝撃が襲い、蒼介は気を失った。
ショードファ宇宙軍所属ワランファ准将の乗る長さ1キロの宇宙戦艦グドンファは、チャマンカ軍との戦いに敗れ戦線を離脱し敗走していた。
ショードファ艦隊が集結している宙域をチャマンカ軍に見破られ、奇襲攻撃を受けての敗北である。
チャマンカ艦隊はショードファ軍の3倍の数の軍艦を誇り、惨敗は時間の問題だ。
唯一の収穫らしき物が、ドローンを操縦していた地球人ソースケと、一緒にいたカエの捕獲だが、大した獲物というわけでもない。
この2人がいなくなったところで大軍を擁する帝国軍は、痛くも痒くもないだろう。
「ワランファ准将、チャマンカ軍の戦艦が前方に10隻ワープ・アウトしました。ダラパシャイ人の乗る艦です」
同じブリッジにいるワランファの部下が、脳波で准将の脳内に情報を送りこんでくる。
全長700メートル程の銀白色の戦艦が全部で10隻、銀貨をばらまいたような漆黒の大海に実体化した。
敵艦のカタパルトが開き、次々に戦闘機が射出される。
グドンファからも迎撃のため多数の戦闘機が射出された。すぐに見えないビームの応酬が始まった。
ショードファ機もダラパシャイ機も半数は無人機でもう半数は有人機だが、1・5Gの重力下で生まれ育ったダラパシャイ人が操縦する戦闘機は普通の有人機ではありえない動きをするので戦闘能力が高かった。
ダラパシャイ艦から吐きだされた小型強襲艦が次々と接近してくる。
内部には、敵のバトル・ドール部隊が、ごまんと乗っているだろう。
強襲艦はショードファ機の迎撃をシールドではねかえしながら、グドンファのシールド内にゆったりとしたスピードで突入してきた。
ゆっくりした速度なら、シールドを突き破れるのだ。
強襲艦から放たれたビームとミサイルが、グドンファの艦体に突っこんで穴を開ける。
すると強襲艦の先端が開いて、中からバトル・ドール部隊が内部に踊りこんできた。
ショードファ人のバトル・ドール部隊と戦闘ロボットが応戦するが、多勢に無勢。
戦闘ロボットは次々と、倒されてゆく。
「もはや、これまでか」
ワランファが、苦い声で命令する。
「敵艦に量子テレポート通信を送れ。降伏する」
目が覚めた。宇宙服を着た蒼介は、自分がベッドにベルトで縛りつけられてるのに気がついたが、無理もない。
室内は重力がなかった。少し離れたベッドに、やはり宇宙服を着た夏映が寝台に縛りつけられている。
彼女は目を閉じていた。どうやら眠っているようだ。
「目が、覚めたか」
聞いた事がない言語で呼びかけられたが、ネックレス型の翻訳機が、日本語に訳した。
そちらを見たが、相手は地球人ですらない。身長は140センチくらいだろうか。
その姿は全身サーモンピンクだった。
頭の上に大きく広がった硬そうな傘が広がっており、頭部の下に首がなく、直接胴体にめりこんでいる。
2つの目にはまぶたがあるが、目の半分ぐらいまでたれさがり、何だか眠そうな表情に見える。
全身が硬そうな物質が覆われており、甲殻類のようにも思えた。2本の腕と2本の脚は丸太のように太かった。
「おれは、ダラパシャイ人のズロッシャイだ。チャマンカ帝国軍の命令で、ワランファ准将率いる戦艦に攻撃をかけ、准将は降伏した。君ともう1人の地球人を救い出し、現在本艦は地球に向かっている。今眠っているもう1人の地球人も、命に別状はない」
「ありがとうございます」
蒼介は、深々とお辞儀をする。
「自分は、一色蒼介と言います。本当に助かりました」
「重力区画に案内したいところだが、君達の惑星の1・5倍の重力に設定してあるのでちょっと無理かな。それが、ダラパシャイ星の引力なんだが」
「そうでしたか。ワランファ准将が降伏したんなら、戦争はもう終わりですかね?」
「恐らくな。銀河系の各地で抵抗運動を続けていたショードファ人だが、組織的なレジスタンスを行うのはもう無理だろう。後は、戦争好きなバサニッカ宰相が今後どう動くかだ」
ズロッシャイの口調には、ワサビと唐辛子が混じっていた。
立つ事ができず、蒼介も夏映も床に叩きつけられた。
けたたましい音が天井のスピーカーから鳴り響く。
どうやらこれは、警報を鳴らしているようだ。
スピーカーから地球の言葉ではなさそうな言語で、鬼気迫る声が聞こえてきた。
ネックレス型の翻訳機をつけているが、何をしゃべっているのか理解できない。
おそらくショードファ人の言葉だろう。
今度ばかりは絶体絶命かもしれない。さらに大きな衝撃が襲い、蒼介は気を失った。
ショードファ宇宙軍所属ワランファ准将の乗る長さ1キロの宇宙戦艦グドンファは、チャマンカ軍との戦いに敗れ戦線を離脱し敗走していた。
ショードファ艦隊が集結している宙域をチャマンカ軍に見破られ、奇襲攻撃を受けての敗北である。
チャマンカ艦隊はショードファ軍の3倍の数の軍艦を誇り、惨敗は時間の問題だ。
唯一の収穫らしき物が、ドローンを操縦していた地球人ソースケと、一緒にいたカエの捕獲だが、大した獲物というわけでもない。
この2人がいなくなったところで大軍を擁する帝国軍は、痛くも痒くもないだろう。
「ワランファ准将、チャマンカ軍の戦艦が前方に10隻ワープ・アウトしました。ダラパシャイ人の乗る艦です」
同じブリッジにいるワランファの部下が、脳波で准将の脳内に情報を送りこんでくる。
全長700メートル程の銀白色の戦艦が全部で10隻、銀貨をばらまいたような漆黒の大海に実体化した。
敵艦のカタパルトが開き、次々に戦闘機が射出される。
グドンファからも迎撃のため多数の戦闘機が射出された。すぐに見えないビームの応酬が始まった。
ショードファ機もダラパシャイ機も半数は無人機でもう半数は有人機だが、1・5Gの重力下で生まれ育ったダラパシャイ人が操縦する戦闘機は普通の有人機ではありえない動きをするので戦闘能力が高かった。
ダラパシャイ艦から吐きだされた小型強襲艦が次々と接近してくる。
内部には、敵のバトル・ドール部隊が、ごまんと乗っているだろう。
強襲艦はショードファ機の迎撃をシールドではねかえしながら、グドンファのシールド内にゆったりとしたスピードで突入してきた。
ゆっくりした速度なら、シールドを突き破れるのだ。
強襲艦から放たれたビームとミサイルが、グドンファの艦体に突っこんで穴を開ける。
すると強襲艦の先端が開いて、中からバトル・ドール部隊が内部に踊りこんできた。
ショードファ人のバトル・ドール部隊と戦闘ロボットが応戦するが、多勢に無勢。
戦闘ロボットは次々と、倒されてゆく。
「もはや、これまでか」
ワランファが、苦い声で命令する。
「敵艦に量子テレポート通信を送れ。降伏する」
目が覚めた。宇宙服を着た蒼介は、自分がベッドにベルトで縛りつけられてるのに気がついたが、無理もない。
室内は重力がなかった。少し離れたベッドに、やはり宇宙服を着た夏映が寝台に縛りつけられている。
彼女は目を閉じていた。どうやら眠っているようだ。
「目が、覚めたか」
聞いた事がない言語で呼びかけられたが、ネックレス型の翻訳機が、日本語に訳した。
そちらを見たが、相手は地球人ですらない。身長は140センチくらいだろうか。
その姿は全身サーモンピンクだった。
頭の上に大きく広がった硬そうな傘が広がっており、頭部の下に首がなく、直接胴体にめりこんでいる。
2つの目にはまぶたがあるが、目の半分ぐらいまでたれさがり、何だか眠そうな表情に見える。
全身が硬そうな物質が覆われており、甲殻類のようにも思えた。2本の腕と2本の脚は丸太のように太かった。
「おれは、ダラパシャイ人のズロッシャイだ。チャマンカ帝国軍の命令で、ワランファ准将率いる戦艦に攻撃をかけ、准将は降伏した。君ともう1人の地球人を救い出し、現在本艦は地球に向かっている。今眠っているもう1人の地球人も、命に別状はない」
「ありがとうございます」
蒼介は、深々とお辞儀をする。
「自分は、一色蒼介と言います。本当に助かりました」
「重力区画に案内したいところだが、君達の惑星の1・5倍の重力に設定してあるのでちょっと無理かな。それが、ダラパシャイ星の引力なんだが」
「そうでしたか。ワランファ准将が降伏したんなら、戦争はもう終わりですかね?」
「恐らくな。銀河系の各地で抵抗運動を続けていたショードファ人だが、組織的なレジスタンスを行うのはもう無理だろう。後は、戦争好きなバサニッカ宰相が今後どう動くかだ」
ズロッシャイの口調には、ワサビと唐辛子が混じっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【新作】1分で読める! SFショートショート
Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる