55 / 66
第55話 別離と再会
しおりを挟む
翌日蒼介のホロホンに電話があった。夏映の名前がホロホンの上に立体映像で表示される。
「一色ですけど」
「治ったわ。彼、復活したの」
嬌声が、蒼介の耳に届いた。普段より何オクターブか、声が高い。
「チャマンカ人のドクターもびっくりしてる。あなたにもらったカプセルのボタンを押したら、体内のウィルスが消えちゃったの」
「大翔君は治ったんだね。それは良かった」
「もう起きて、普通に話せるの。それでドクターに、カプセルをどこから入手したか聞かれたけど、まだ話してない」
「正直に伝えて良いと、あの後メールで説明したはずだ」
「でも打ち明ければ、あなたが追求される」
切羽つまったような声で、夏映が話した。
「君が黙秘を貫けばチャマンカ人は、君の思考を読みとるだけさ」
「やっぱりあなた、アース・パルチザンに合流するの?」
「ぼくはチャマンカ人に追及されない。チャマンカ人の警官が来た時には、ぼくの姿はないからね」
それだけ話すと、蒼介はホロホンを切った。彼の眼前には雫石結菜の姿がある。
大粒の目が、真剣に蒼介を見ている。
「本当にいいの?」
結菜が聞いた。
「ああ。おれは君達の仲間に加わり、チャマンカのクーデター派と戦うよ。反乱軍と言っても、すでに首都のズワンカ市を占領してるんだろう。今や体制側だけどな。奴らが人種差別主義者で、自分達以外の知的生命体を一掃しようとしてるとわかった以上ショードファ人と手を組んでも、革命軍を倒したい。奴らの首謀者のバサニッカ宰相を倒さねえと、地球の未来はねえからな」
「こっちじゃなくてチャマンカ人の反クーデター派と組もうとは考えないの」
「誰がバサニッカ派で、誰がそうでないのかがわからねえしな。反乱が起きた時当然クーデター派は反バサニッカだと思いきや、実際は裏でこの宰相が糸を引いていたぐらいだ。それを考慮に入れると、最初から君達と組んだ方が無難だからな」
蒼介の言葉に、結菜は回答しなかった。彼の発言内容をじっくり吟味しているようだ。
「結菜の方こそおれを本当にショードファ人の所へ連れてっていいのかい。おれはチャマンカ軍の一員としてドローンを操作して、ショードファ軍に一撃を加えたんだぜ」
「最初にはっきり表明するけど、ショードファ人達は諸手をあげて、あなたを受け入れようとはしてない。あなたが今、発言した通りの理由でね」
「当然だろうな。それでも、難病にかかった地球人を救ってくれた」
「大翔さんは、ショードファ人に矛先を向けたわけじゃないからね。人道上の判断よ」
「ともかくおれは、考えを変える気はないよ。君と一緒にアース・パルチザンに加わる。無論君が翻意して、一色蒼介を信じられないと断定するなら、このまま1人で帰ればいい。おれは地球に残るだけだ」
「ショードファ人達は、あなたのドローンを操作する能力を買ってるの。敵に置いておくぐらいなら、味方に回ってもらった方がいいと考えてる。全員ではないけどね」
「それで、どうする」
「連れてくわ」
「仕事もせずに貯金を食いつぶしながら家にこもってゲームばっかりしてたのが、まさか役に立つとはね」
次の瞬間、2人はそれまでいた蒼介の部屋から転送された。マイクロ・ワープしたのは2人の地球人だけではない。
蒼介の部屋にあった物のうち、置いていきたくない物はまるっと転送されたのだ。
次の瞬間、2人はショードファ人の宇宙船の船室にいた。
「ここが今日からあなたの部屋。重力も気圧も空気の成分も地球と同じに合わせてるから、心配しないで」
2人は部屋を出て通路に出た。そこには1人のショードファ人の姿がある。
身長は150センチぐらいで結菜とほぼ一緒。目はピンクに光っている。
白いプラスチックのように見える体は、実際は硬軟自在に硬度を変えられると結菜に聞いていた。
「自分はショードファ宇宙軍のザースコ少佐だ」
ザースコは両手で、自分の顔の前で丸を造った。ショードファ風の挨拶だと、結菜には聞いている。
蒼介も同じポーズを取った。
「一色蒼介です。よろしくお願いします」
「早速だが、我々はズワンカ市への攻撃を近日中に行うつもりだ。当然君にも作戦に参加してもらう」
「一色ですけど」
「治ったわ。彼、復活したの」
嬌声が、蒼介の耳に届いた。普段より何オクターブか、声が高い。
「チャマンカ人のドクターもびっくりしてる。あなたにもらったカプセルのボタンを押したら、体内のウィルスが消えちゃったの」
「大翔君は治ったんだね。それは良かった」
「もう起きて、普通に話せるの。それでドクターに、カプセルをどこから入手したか聞かれたけど、まだ話してない」
「正直に伝えて良いと、あの後メールで説明したはずだ」
「でも打ち明ければ、あなたが追求される」
切羽つまったような声で、夏映が話した。
「君が黙秘を貫けばチャマンカ人は、君の思考を読みとるだけさ」
「やっぱりあなた、アース・パルチザンに合流するの?」
「ぼくはチャマンカ人に追及されない。チャマンカ人の警官が来た時には、ぼくの姿はないからね」
それだけ話すと、蒼介はホロホンを切った。彼の眼前には雫石結菜の姿がある。
大粒の目が、真剣に蒼介を見ている。
「本当にいいの?」
結菜が聞いた。
「ああ。おれは君達の仲間に加わり、チャマンカのクーデター派と戦うよ。反乱軍と言っても、すでに首都のズワンカ市を占領してるんだろう。今や体制側だけどな。奴らが人種差別主義者で、自分達以外の知的生命体を一掃しようとしてるとわかった以上ショードファ人と手を組んでも、革命軍を倒したい。奴らの首謀者のバサニッカ宰相を倒さねえと、地球の未来はねえからな」
「こっちじゃなくてチャマンカ人の反クーデター派と組もうとは考えないの」
「誰がバサニッカ派で、誰がそうでないのかがわからねえしな。反乱が起きた時当然クーデター派は反バサニッカだと思いきや、実際は裏でこの宰相が糸を引いていたぐらいだ。それを考慮に入れると、最初から君達と組んだ方が無難だからな」
蒼介の言葉に、結菜は回答しなかった。彼の発言内容をじっくり吟味しているようだ。
「結菜の方こそおれを本当にショードファ人の所へ連れてっていいのかい。おれはチャマンカ軍の一員としてドローンを操作して、ショードファ軍に一撃を加えたんだぜ」
「最初にはっきり表明するけど、ショードファ人達は諸手をあげて、あなたを受け入れようとはしてない。あなたが今、発言した通りの理由でね」
「当然だろうな。それでも、難病にかかった地球人を救ってくれた」
「大翔さんは、ショードファ人に矛先を向けたわけじゃないからね。人道上の判断よ」
「ともかくおれは、考えを変える気はないよ。君と一緒にアース・パルチザンに加わる。無論君が翻意して、一色蒼介を信じられないと断定するなら、このまま1人で帰ればいい。おれは地球に残るだけだ」
「ショードファ人達は、あなたのドローンを操作する能力を買ってるの。敵に置いておくぐらいなら、味方に回ってもらった方がいいと考えてる。全員ではないけどね」
「それで、どうする」
「連れてくわ」
「仕事もせずに貯金を食いつぶしながら家にこもってゲームばっかりしてたのが、まさか役に立つとはね」
次の瞬間、2人はそれまでいた蒼介の部屋から転送された。マイクロ・ワープしたのは2人の地球人だけではない。
蒼介の部屋にあった物のうち、置いていきたくない物はまるっと転送されたのだ。
次の瞬間、2人はショードファ人の宇宙船の船室にいた。
「ここが今日からあなたの部屋。重力も気圧も空気の成分も地球と同じに合わせてるから、心配しないで」
2人は部屋を出て通路に出た。そこには1人のショードファ人の姿がある。
身長は150センチぐらいで結菜とほぼ一緒。目はピンクに光っている。
白いプラスチックのように見える体は、実際は硬軟自在に硬度を変えられると結菜に聞いていた。
「自分はショードファ宇宙軍のザースコ少佐だ」
ザースコは両手で、自分の顔の前で丸を造った。ショードファ風の挨拶だと、結菜には聞いている。
蒼介も同じポーズを取った。
「一色蒼介です。よろしくお願いします」
「早速だが、我々はズワンカ市への攻撃を近日中に行うつもりだ。当然君にも作戦に参加してもらう」
0
あなたにおすすめの小説
【新作】1分で読める! SFショートショート
Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる