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第1話 ロボットセンター
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春野菜摘は車の後部座席に座っていた。運転するのは彼女の5歳年下の後輩で25歳の津釜である。
2人は東都新報の社員だ。菜摘は記者で、津釜はカメラマン兼運転手である。
今日はこれからロボットセンターへ取材に行く。このセンターは日本政府の肝入りで埼玉県内に建設中の建物だった。
所長は、日本のロボット研究の権威である及能博士だ。現在ちょうど65歳。
センターはL字型の白い建物だ。Lと言っても地上に横たわる横棒の方が長く、空へ伸びる縦棒は5階建てで、5階にドーム型の所長室があった。
ドームのてっぺんまで含めると、高さは20メートルある。『L』の横棒部分が駐車場になっており高さ8メートル。
2階以上は各3メートルあったのだ。
幅は10メートルあり、左右にそれぞれライト・ブロックとレフト・ブロックと呼ばれるやはりL字の構造体が取り付けられていた。
そういう建物の構造も、事前にセンターからメールでパソコンに送られてきた画像で確認している。
Lの横棒の部分は大体25メートルぐらいだ。
「なんでこんな、変な形してるんですかね?」
最初に建物の画像を上司の志賀(しが)から見せられた時、思わず菜摘は一回り年上で42歳になる彼に聴いてしまった。
「光を意味する英語のlight(ライト)からとった
そうだ。及能博士の発案で、光あふれる明るい未来をイメージしたようだ」
人好きのするスマイルで、志賀が話した。ちなみに42歳といえば男の厄年だが、彼はそういう事を気にしない性格である。
「素敵な発想です! 僕は好きなデザインです。新進の若い建築家さんの設計ですかね?」
嬉しそうな顔をしたのは津釜である。
「それが違うんだなあ。設計したのは、及能さん自身なんだよ」
「マジっすか!?」
すっとんきょうな声。
「すごい先生ですね」
「確かにな。取材当日は菜摘にはインタビュー、津釜にはカメラマン兼運転手を担当してもらう」
そんなやりとりが最初にあって、今はこうやって車でロボットセンターに向かっている。
都内にある東都新報の本社から来ているので、ロボットセンターの南側を見ることができた。
『L』の左の縦棒がある側が北で、右の方が南になる。
「わくわくしますね!」
鼻歌でも歌い出しそうな口調で津釜がそう口にする。
「そうだよね。どんなロボットがいるのか、今後どんなロボットを開発しようとしてるのか、楽しみだあ」
菜摘は女には珍しいかもしれないが、ガンダムやマクロスやスターウォーズ等のロボットが出てくるアニメや映画も好きなので、津釜の気持ちはよくわかる。
10歳年上の兄の影響もあった。やがて車はロボットセンターに到着する。『L』の横棒部分は駐車場になっており、その中に車を停めた。
駐車場には工事関係者が乗ってきたと思われるハイエースやキャラバンのようなワゴン車が何台かあり、作業服を着てヘルメットを着た人達の姿が散見される。
今日は5月7日の火曜。天気はよく、日中は暑くなりそうだ。
「まだまだ工事中って感じね」
菜摘は、そう口にする。
「ロボット博覧会が始まるのって来年の春ですからね。その時までに完成すれば良いと思ってるんじゃ?」
津釜が答える。博覧会の終了後はロボットセンターは研究施設として残し、他のエリアは研究施設と娯楽施設に分けられる。
娯楽施設はロボット遊園地として存続するのだ。
駐車場内のエレベーターで2階へ上がる。2階に受付があり、制服姿の警備員が受付処理をしてくれた。
そしてその後再びエレベーターに乗り、5階にある所長室に向かう。所長室のドアをノックした。
「東都新報の春野(はるの)と申します」
「どうぞ、中へお入りください」
中から年配の男性の声がした。
「失礼します」
ドアを開ける。すると中から、思わぬ物が飛び出してくる。
2人は東都新報の社員だ。菜摘は記者で、津釜はカメラマン兼運転手である。
今日はこれからロボットセンターへ取材に行く。このセンターは日本政府の肝入りで埼玉県内に建設中の建物だった。
所長は、日本のロボット研究の権威である及能博士だ。現在ちょうど65歳。
センターはL字型の白い建物だ。Lと言っても地上に横たわる横棒の方が長く、空へ伸びる縦棒は5階建てで、5階にドーム型の所長室があった。
ドームのてっぺんまで含めると、高さは20メートルある。『L』の横棒部分が駐車場になっており高さ8メートル。
2階以上は各3メートルあったのだ。
幅は10メートルあり、左右にそれぞれライト・ブロックとレフト・ブロックと呼ばれるやはりL字の構造体が取り付けられていた。
そういう建物の構造も、事前にセンターからメールでパソコンに送られてきた画像で確認している。
Lの横棒の部分は大体25メートルぐらいだ。
「なんでこんな、変な形してるんですかね?」
最初に建物の画像を上司の志賀(しが)から見せられた時、思わず菜摘は一回り年上で42歳になる彼に聴いてしまった。
「光を意味する英語のlight(ライト)からとった
そうだ。及能博士の発案で、光あふれる明るい未来をイメージしたようだ」
人好きのするスマイルで、志賀が話した。ちなみに42歳といえば男の厄年だが、彼はそういう事を気にしない性格である。
「素敵な発想です! 僕は好きなデザインです。新進の若い建築家さんの設計ですかね?」
嬉しそうな顔をしたのは津釜である。
「それが違うんだなあ。設計したのは、及能さん自身なんだよ」
「マジっすか!?」
すっとんきょうな声。
「すごい先生ですね」
「確かにな。取材当日は菜摘にはインタビュー、津釜にはカメラマン兼運転手を担当してもらう」
そんなやりとりが最初にあって、今はこうやって車でロボットセンターに向かっている。
都内にある東都新報の本社から来ているので、ロボットセンターの南側を見ることができた。
『L』の左の縦棒がある側が北で、右の方が南になる。
「わくわくしますね!」
鼻歌でも歌い出しそうな口調で津釜がそう口にする。
「そうだよね。どんなロボットがいるのか、今後どんなロボットを開発しようとしてるのか、楽しみだあ」
菜摘は女には珍しいかもしれないが、ガンダムやマクロスやスターウォーズ等のロボットが出てくるアニメや映画も好きなので、津釜の気持ちはよくわかる。
10歳年上の兄の影響もあった。やがて車はロボットセンターに到着する。『L』の横棒部分は駐車場になっており、その中に車を停めた。
駐車場には工事関係者が乗ってきたと思われるハイエースやキャラバンのようなワゴン車が何台かあり、作業服を着てヘルメットを着た人達の姿が散見される。
今日は5月7日の火曜。天気はよく、日中は暑くなりそうだ。
「まだまだ工事中って感じね」
菜摘は、そう口にする。
「ロボット博覧会が始まるのって来年の春ですからね。その時までに完成すれば良いと思ってるんじゃ?」
津釜が答える。博覧会の終了後はロボットセンターは研究施設として残し、他のエリアは研究施設と娯楽施設に分けられる。
娯楽施設はロボット遊園地として存続するのだ。
駐車場内のエレベーターで2階へ上がる。2階に受付があり、制服姿の警備員が受付処理をしてくれた。
そしてその後再びエレベーターに乗り、5階にある所長室に向かう。所長室のドアをノックした。
「東都新報の春野(はるの)と申します」
「どうぞ、中へお入りください」
中から年配の男性の声がした。
「失礼します」
ドアを開ける。すると中から、思わぬ物が飛び出してくる。
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